◆上川あや

区の事業における同性パートナーの取り扱いについて伺います。

先の総括質疑でも同性パートナーシップを取り上げました。
世田谷と渋谷の同性カップルを認める事務の開始以降、携帯電話会社各社の家族割適用の拡大、生命保険会社各社の同性パートナーへの死亡保険金支払いの適用等、企業のサービスがこの間大きく改善したことを御紹介しました。

同性カップルの処遇の改善は、企業の内部に向けても進んでおります。ソニーが二月から同性のパートナーを持つ社員に慶弔や育児、介護休暇、結婚祝い金などの福利厚生を認め、パナソニックでも四月から同性同士でも結婚に相当する関係と認め、福利厚生を平等にしていく方針を固め、大きく報じられました。さらに、先日のNHKニュースではNTTにも同様の動きがあることが報じられています。

さて、世田谷区はどうかといいますと、職員の処遇に対してのみ改善が見られます。
区役所職員で構成される世田谷区職員互助会と区立小中学校教職員で構成される世田谷区教職員互助会がともに同性をパートナーとする職員に福利厚生を認めていく方針を固めまして、その手始めに結婚祝い金相当額を給付することといたしました。
いずれもうれしい変化ではありますが、職員間の平等を保障する以上に、区民の平等をいかに保障していくのかということが重要だと考えます。残念なことに、この点、区が改善をしたことはまだ何一つないんですね。

現在、世田谷区、渋谷区に続けて、伊賀市、宝塚市、那覇市の三市が世田谷区に倣った宣誓の制度開始の準備を進めています。いずれも受領証の発行とあわせて、市が運営する病院での同性カップルの扱いを改善するとしています。同性カップルも家族に含め、手術の同意書にサインができたり、病状説明が受けられるようにするということです。

一方、世田谷区も、治療は行わないものの、区立の医療機関を持っています。世田谷区保健センターです。そこでは四つのがん検診を初め、各種の精密検査を実施しておりますが、結果報告での家族に同性パートナーが入るかどうか不明のままです。
ある保険会社の調査では、がんの告知を受けるとき、七七・八%もの方が家族の同席を望みました。区は、区内の二つの医師会を通じて、区内の医療機関に対しても同性カップルの受け入れを要請しております。区立の保健センターでもその受け入れを率先垂範していただかなければおかしいと考えます。同センターのがん検診についてお伺いいたします。

◎後藤 健康推進課長

世田谷区保健センターでは、現在実施しているがん検診につきましては、胃がん検診、乳がん検診、大腸がん検診と、地域の医療機関で実施した子宮がん検診の細胞検体の検査を行っております。
これらのうち、胃がん検診と大腸がん検診につきましては、結果を郵送で受診者の方に御連絡し、要精密検査の方は医療機関での受診を勧奨しております。また、子宮がん細胞診検査につきましては、検診を行った指定医療機関に結果を通知しております。さらに乳がん検診のうち、マンモグラフィー単独の検診につきましては、結果を視触診実施の医療機関に通知し、医療機関から検診結果を御本人に伝えております。ただし、乳がん検診を視触診とマンモグラフィー同時に保健センターで受診した方につきましては、要精密検査となった方の場合に、結果を医師から直接お伝えしており、その際、受診者本人の希望があれば、家族等に同席をいただくこととしております。過去には、ひとり暮らしの方の御希望により、御友人に同席していただいたという事例もございます。
委員からお話のございました同性パートナーの対応につきましては、現在、明文化したルールはございませんけれども、戸籍上の家族に限ることなく、受診者御本人の意思を尊重して対応してまいりたいというふうに考えております。

◆上川あや

保健センターで始まりましたがん相談の御案内を見ましても、その対象者をがんで療養中の本人とその御家族としています。従来どの事業においても家族として扱われることはなく、時に差別を受けることさえあった同性カップルの方々にとっては、自分たちが家族に含まれているとは全く感じられません。利用をためらわせる表記だと考えます。
医師会にも同性カップルの受け入れを要望した世田谷区なのですから、みずからも受け入れる姿勢があるとはっきりわかる表記としていただければと考えます。区の見解を伺います。

◎後藤 健康推進課長

区では、さまざまな悩みや不安を抱えながら在宅で療養されているがん患者やその家族からの相談に応じる身近な窓口として、保健センターにがん相談コーナーを設置しております。御相談を利用される方の要件でございますけれども、区の要綱ではがんに罹患した区民及びその家族等と規定しております。実際の運用に当たりましては、療養中の御本人あるいは御家族等のどちらかが区民である場合に相談をお受けしており、御本人以外では、これまでは同居、別居を問わず、夫や妻、親、子どもに当たる方からの御相談をお受けしております。
区は、がん対策推進条例において、区民ががんに罹患した場合に、さまざまな苦痛及び不安の軽減に努めることとしており、区の施策を通して、区民ががんになっても自分らしい生活を継続することができるよう支援することが重要であると考えております。
今後は、御指摘の事業の案内表記を改善するとともに、患者本人が同性パートナー同席での対面相談を希望される場合には、そのような形で御相談をお受けしてまいりたいと考えております。
また、同性パートナー等患者をサポートしていただける方からの相談につきましても、患者との関係を確認し、プライバシーの保護に十分配慮するなどした上でお受けしてまいりたいというふうに考えております。

◆上川あや

よろしくお願いいたします。

最後に、そのほかの相談事業、支援事業についてです。
もう求められていることはおわかりになるだろうと考えます。区のホームページを開きますと、福祉保健の領域を中心に、御家族を対象者に明記した相談事業、支援対策がさまざま出てまいります。しかし、通常、家族として扱われず、時に差別を受けることもあった同性カップルの方が相談するにはハードルが高いと考えます。全体としての改善を求めますが、いかがでしょう。

◎久末 計画調整課長

区では、本所や総合支所のさまざまな窓口で福祉に関する相談をお受けしております。家族でなければ相談を受けられないというものはないと認識しておりますが、その結果をお返しするには、法的制約がある場合や、同一世帯の方という制限がある場合は個人情報として取り扱うことになりますので、難しくなることがあるかと思います。
相談等を受けるに当たりましては、職員も同性パートナーは家族と同様であるという認識を持っていると思っておりますが、今後も徹底するよう努めてまいります。
また、同性パートナーの方も家族同様、区の窓口で相談ができるということを、広報やホームページの記載を工夫してお伝えしてまいります。

◆上川あや

しっかりお願いいたします。