◆上川あや

区の文化・国際課の国際感覚、人権感覚を問います。

まず、おととし五月七日のNHKニュースを読み上げます。
同性愛や不倫は死刑、ブルネイの段階的イスラム法導入、欧米で反発広がる。東南アジアのブルネイでは、同性愛や不倫が発覚した場合、死刑とすることなどを定めた厳格なイスラム法が段階的に導入されることになりましたが、欧米では非人道的だなどとして反発が広がっています。ブルネイのボルキア国王は、先月三十日、厳格なイスラム法を段階的に導入することを発表し、今月から未婚の女性が妊娠した場合、罰金や禁錮刑を適用するほか、来年には同性愛や不倫が発覚した人には石打ちによる死刑とすることを明らかにしました。これに対し、アメリカ・カリフォルニア州のビバリーヒルズにあるボルキア国王が所有するホテルの前では、五日、イスラム法の導入に抗議する集会が開かれました。集会を主催した同性愛者の支援団体の代表は、女性を苦しめ、同性愛者を殺害する非人道的な法律に反対すると述べ、法律の即時撤廃を求めるとともに、ホテルに宿泊しないよう呼びかけました。
この後、記事はイギリスでの反発の動きを伝えるのですが、長くなりますので割愛します。

この報道のあったブルネイに、区と区教委は二月、職員四人を派遣しました。渡航の目的と訪問内容、かかった経費のそれぞれについて報告を求めます。

◎清水 文化・国際課長

これまで議会から、新たな交流先の検討につきまして、アジア諸国において子どもたちの交流等、要望をいただいてきておりました。
交流に際しましては、治安・衛生・政治・経済情勢等を考慮する必要があり、関係機関と調整をしてきたところ、地域に精通をしております自治体国際化協会、通称クレアと申しますが、こちらのシンガポール事務所より、シンガポールとブルネイの学校の視察等について調整をいただけるとの回答を得たものでございます。また、外務省が公表しております海外安全ホームページなどでその安全情報等を確認し、二カ国を視察することとしたものです。
経費につきましては、六泊七日、教育委員会の指導主事二名と区担当者二名の職員四名で、移動手段の手配、通訳、旅費、保険料等で総額百八十四万五千八百四十九円でございます。

◆上川あや

さきに御紹介したとおり、この国家ぐるみの人権抑圧に欧米から批判の集まっている同国と、この世田谷区が国際交流することが、ましてや子どもたちを派遣して教育交流を行うことがよいチョイスになり得ると考えているのでしょうか。その可能性が少しでもあると考えるから公費をかけて視察をなさったんですよね。一週間の視察旅行です。費用は一人四十六万円のコストです。さぞやしっかり調査をしていただけけたものだと思います。
そもそもこの国は、スルタンと呼ばれる国王が首相、蔵相、国防相、外務相を兼務する専制君主制の国家です。
国内にはそもそも地方自治体さえない体制だと承知をしています。区議会から、その拡大を求められてきた姉妹都市交流などしようがない国です。現地の学校と交流するにしても、同国の教育省を通す必要があるのでないのですか。区は、国際交流と称してこの専制国家とのおつき合いを考えるのでしょうか伺います。

◎清水 文化・国際課長

現在、視察報告の内容をまとめているところでございまして、区長を初め、議会の皆様にも御報告する予定でございますので、区としての判断には至っていない状況でございます。

◆上川あや

私は政策判断など聞いておりません。学校を直接訪問し、話を聞いたのであれば、今後の連絡先はどちらになるのか聞いてきたはずだと聞いているんですね。今後の連絡先は国ですか、学校ですか、お答えください。

◎清水 文化・国際課長

今般の視察に際しましては、自治体国際化協会のシンガポール事務所で視察について調整をいただけると回答がありまして、自治体国際化協会より教育省に調整を依頼したものでございます。その先のことにつきまして、まだ特段決まっていることではございませんので、そういう状況でございます。

◆上川あや

結局、教育省と交流することになるんじゃないですか、おかしいですよ。

同国で段階的に導入されるイスラム法の第二段階では、窃盗罪に対して手足の切断だそうです。また、昨年十二月に国王が突然クリスマスを禁止しました。サンタクロースの衣装を着たり、クリスマスカードを送ることも禁錮五年ということです。
国家と市民は別という考え方もわかります。実際ブルネイの市民の大半は温かく親切で思いやりのある人々だろうと考えます。私自身、二十代後半でこの国を訪ね、同じような印象を持っています。
しかし、同国のイスラム原理主義的に傾いてゆく国家運営は交流先として安定性、安全性を欠き、度を越していると考えます。

また、同国に子どもたちを派遣した際の健康の問題もございます。
イスラムの断食月は太陽暦に従っておらず毎年変わります。断食月、現地では日が昇ってから日没まで飲食禁止、法律上も禁止です。外国人であっても禁止です。現地のムスリムのレストランは、日中、テイクアウトしかできませんし、バスなどの車の中での飲食も罰せられる可能性があるそうです。また、水を飲むことすら禁止です。飲食をするならその都度ホテルの自室に戻る必要があるそうです。加えて外は熱帯雨林気候です。そもそも汗が乾きにくい上に、宗教上も、法律上も、女性は肌を見せる服装はできません。違反者には罰金刑もしくは六カ月以内の懲役、またはその併科だそうです。現地の小学生は制服があり、男の子は長ズボン、女の子は長袖の白いシャツにくるぶしまでの超ロングスカート、頭にもすっぽりスカーフ着用です。こうした学校教育環境に世田谷の子どもたちはさらされるんでしょうか。

外務省公式サイトの諸外国・地域の学校事情というページから現地ブルネイの学校に日本人が就学した場合の評価を見てみました。
マレー文化になじみがない外国人子弟が現地校へ入学することは、言語、宗教の面から極めて困難、これが外務省の見解です。こうした状況下で安定した交流などできるのでしょうか。子どもの安全が、健康が保障できるのか大いに疑問です。調査をなさったということですが、これは担保できるのですか、お伺いします。

◎清水 文化・国際課長

この視察をもってすぐに何かを決定するというものではなく、今後の検討材料の一つとして視察をしたものです。引き続き議会と相談しながら検討してまいりたいと考えておりますので、御理解のほどお願いしたいと存じます。

◆上川あや

調査結果を問うているんですね。こういうひきょうな答弁はやめてください。

◆上川あや

副区長にお伺いしたいと思います。
私は、基本的人権の尊重や民主主義は世田谷区が最も大切にする理念だと考えます。治安とか衛生がよければ、人権や民主主義がない国でも世田谷区の外交ポリシーとして適していると考えていますか。

◎宮崎 副区長

先ほど申しましたように、この姉妹都市交流の関係については、特に子どもの交流については、議会とのコンセンサス、これがあったからこそ、この間長くつき合いができたわけですので、今般についても御報告をきちっとして、その上でいろいろ御意見を賜りながら、さらに引き続き検討させていただければと存じます。

◆上川あや

こうした国家体制のところとのおつき合いは御免こうむりたいと思います。民については排除はしませんが、国家とのおつき合いはやめてください。