◆上川あや

同性間のパートナーシップについて伺います。

同性カップルを公的にパートナーと受けとめる制度が昨年十一月五日、世田谷区と渋谷区でスタートしました。以来、三カ月、企業や社会の同性カップルに対する受けとめ方は急速に変わってきたと感じております。
まず、携帯電話会社三社が同性カップルも家族割サービスの適用範囲に入ると認めました。いずれも世田谷区発行の受領証がその確認書類になるとしています。また、従来、二親等以内の血族にしか死亡保険金の支払いを認めてこなかった生命保険業界ですが、その態度を変え、現在、私が知るだけでも十社が同性カップルへの死亡保険金の支払いを認めるようになりました。うち少なくとも二社は、世田谷区発行の受領証が確認書類になるということです。加えて、日本航空と全日空も同性カップルがマイレージを相互融通できる家族の中に入るということを認めまして、このうち日本航空では、世田谷区発行の受領証が確認書類になるということです。加えて日経新聞が、損害保険会社各社が同性のパートナーでも自動車保険の割引を受けられる家族に該当するよう制度改正を検討中ということを伝えています。自治体が発行する証明書の提出がその条件になるという報道でした。

ここで二点区長にお伺いしたいと思います。
こうした同性カップルの承認の動きをどのように評価されるのか、また、あわせて世田谷区発行の受領証等が証明書類として重要視され始めているこの現実をどのように受けとめるでしょうか、お伺いします。

◎保坂 区長

今回の同性パートナーシップ宣誓書の受領証に関して、私どもは、一枚の紙ではあるけれども、しっかりこの意味を、例えば不動産業界であるとか、携帯電話各社なども含めて、できる限りの事前事後の説明を行ってきたところであります。
今御紹介があったように、好意的な受け入れが広がって、区の取り組みが前向きに評価をされ始めたこと、パートナーシップ宣誓書受領証が民間事業者の確認書類として既に活用されてきていることなどによって、当事者の尊厳や権利の回復につながっているものと捉えております。
小さな一歩になりつつあると思いまして、オリンピック・パラリンピックの開催を視野に入れ、日本の社会が多様性を認め合う成熟した社会に向けて動き出していることが重要だというふうに認識をしています。

◆上川あや

ありがとうございます。

さきに述べましたとおり、区発行の受領証が急速に実際的なメリット、実利を伴い始めた現状を踏まえますと、ただ単に区民の気持ちを受けとめるというだけではない制度の点検、改善がなければいけない時期に差しかかっていると私は感じています。
渋谷と世田谷の取り組みに刺激を受けて、現在、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市の三市が世田谷区に倣った要綱の整備を今スタートさせました。来月制度をスタートさせる伊賀市では、互いを人生のパートナーと宣誓したカップルに受領証を交付する世田谷方式を採用の予定ということです。

しかし、審査の手順は異なります。住民票及び独身証明書の提示を求めて、より厳格な審査をするということです。
一方、世田谷区の手続は、よもやうそをつく人はいるまいという性善説に立っています。提出書類等は特になく、二人そろって来庁し、身分証を提示の上、宣誓書を提出し、簡単なヒアリングに応じれば、その説明を了とするということで手続は終了です。つまりそれぞれの適格性の有無を厳格にチェックしようという制度設計ではありません。
多くの実利が伴うようになった今、制度を悪用させない審査に努めることは当然のことで、確認書面の設定等、見直しも必要ではないかと考えているんですけれども、いかがでしょうか。

◎保坂 区長

お話しのように、渋谷区及び世田谷区の動きが一つの先例となって、各自治体から取り組みが始まっているというふうに聞いております。今、伊賀市の事例を御紹介いただきました。区としても、この証明書、パートナーシップ宣誓書の受領の証明書ですが、これが予想を超えて実効性を伴っていると認識しています。したがって、御指摘のように、より厳格な信頼性のある内容という手続を、必要な見直しをするように指示したところでありまして、よりよい内容、信頼できるような内容にしながら、さらに実効性が発揮できるように磨きをかけてまいりたいと思います。

◆上川あや

速やかな改善を期待いたします。

続けまして、職員の福利厚生についてです。
世田谷区職員互助会では、来年度より同性をパートナーとする職員にも平等に結婚祝い金相当の寄附を始める予定ということになっています。さらに、この間、その他の給付金やサービスもございますが、適用範囲を拡大できるかどうかの検討を進めており、その拡大ができるものが出てきたということを伺っております。検討状況について御報告を求めます。

◎岡田 総務部長

世田谷区職員互助会では、結婚祝い金と同等の給付につきまして、現在、規約改正の手続を進めているところです。職員互助会では、このほかに、例えば会員の被扶養者等が病気や介護が必要になったときに、一時的に費用を必要とする際の貸付金制度などは、職員から申請があれば、同性パートナーにも適用を可とするなど、運用面での対応についても整理をしているところでございます。
職員互助会につきましては、会の運営につきましては、会員が自主的に決定していくということが原則になりますが、可能なものがあれば対応を図るよう、働きかけてまいります。

◆上川あや

これも五月雨式にするんではなくて、しっかり見直しをテンポよくお願いしたいと思います。

最後に、同性のパートナーが死亡保険金の受取人にできるということを御紹介しましたが、こうしたケースで死亡を証明して、保険金をいただくためには、それを証明する除籍謄本、除住民票の写しが残されたパートナーにスムーズに交付できなければいけないわけですけれども、慣習では、死亡保険金の受け取り人は原則配偶者または親族に限られてきたために、同性パートナーが申請した場合に、役所の窓口で断られるケースがあるのではないかとNHKの「おはよう日本」でも、先ごろ特集で指摘しておりました。これは法的には権利者ですので、交付は可能であるはずで、現場が混乱しないようにしっかり意識の徹底を図っていただきたいんですけれども、いかがでしょう。

◎萩原 地域行政部長

同性パートナーの方が窓口で不愉快な思いをされないよう、現場職員が認識を共有し、適切な事務運営に努めてまいります。

◆上川あや

皆さん、一緒に働く職員の中にも当然いらっしゃるということで、私はかなりの数の方からこれまでカミングアウトをいただいておりますし、早速区の職員の方の中で、四月から制度改正されましたら、この同性パートナーに対する福利厚生の平等を得たいということでお喜びの声もいただいておりますので、遠くにある問題ではなく、身近にある問題としてぜひ捉えて、自分たちの業務にも生かしていただくようお願いいたします。