◆上川あや

足腰の弱った高齢者等にも優しいまちづくり、座れるまちづくりについて伺います。

昨年3月の総括質疑で、足腰に故障を抱え、スムーズに歩き続けることが難しいロコモティブシンドローム、通称ロコモの高齢者の急増を取り上げまして、家を出た後も座れるまちづくり、道づくりが必要であるということを求めました。ロコモに至る三大疾患は、骨粗鬆症、変形性のひざ関節症、脊柱管狭窄症の三つとされますが、この症状に一つでも該当する人は国内に四千七百万人ともされています。こうした高齢者が百メートル、百五十メートルと歩けば、座りたくなるのは当然のことです。一旦座って休憩をすればまた歩き出せる方も多いはずです。ところが、屋外に出ますと、座れる場所はほとんどありません。通常歩道にベンチは設置されておらず、公園等もまばらです。こうした区の現状は積極的に変えていくべきだと考えています。
区はユニバーサルデザイン推進計画で誰でも使えるトイレとベンチ等の休憩施設のネットワークを整備するとしています。しかし、この七月、委員会に報告されたスパイラルアップの点検を見ますと、残念なことに区が二十六年度、座れるまちづくりに向けUDで実施したことは、公園整備に当たり適宜ベンチを設置したとあるだけでした。置ける公園にベンチを置くだけではネットワーク形成にはなりません。もっと多くの所管が協力する必要を強く感じました。
また、誰でもトイレについては、この紙面の中で利用距離五百メートル以内に一カ所という具体的な整備目標があるのに対して、ベンチについては整備目標そのものがございません。これではいつまでたってもネットワークの整備につながらないのではないかと危惧します。
そこで、UDの所管部を中心に区内の屋外で座れる箇所をしっかりとチェック、点検していただきたいと考えます。その上で道路や公共施設、公園所管も交えた計画的な整備をぜひ推進していただく素地としていただきたいんですけれども、区の考えはいかがでしょうか。

◎田中 都市デザイン課長

委員が言われますように、ユニバーサルデザイン推進計画では、施策の一つとして誰でも使えるトイレとベンチ等の休憩施設のネットワーク整備というのが掲げられております。この計画の中での取り組みといたしましては、バス停や緑道のベンチ、それから、商店街のお休み処などの状況を把握いたしまして、インターネットで公開をするとともに、それからまた新たなベンチの設置についても検討を進めることとしています。
ベンチの設置につきましては、例えば道路上のベンチだけではなくて、公共施設がいっぱいございますが、そういった敷地にも区民が気楽に利用できるようなベンチを設置するということが考えられると思います。今までも緑道のお散歩ベンチや学校などの外構を活用いたしまして腰かけることができるような場所の整備も行ってきておりますけれども、道行く人が自由に使えるベンチなどの整備につきましては、改めて委員言われますように現状を確認いたしまして、設置についての検討が必要だと考えています。
そこで、今後公共施設などにおけるベンチの設置の調査を行ってまいります。具体的なよい事例を導き出すとともに、民間施設でもベンチを最近は自主的に置いているところも多うございますので、それらの情報などを積極的に収集しながら、さらなる設置方法についてユニバーサルデザインの視点から取り組んでまいります。

◆上川あや

よろしくお願いいたします。

昨年春の質疑では、区役所裏に開通した高規格の道路、歩道も広い補助一五四号線にベンチ一つ整備されぬまま延々と梅ヶ丘まで延伸されてしまったというところに区の対応のおくれがあらわれているということを指摘いたしました。その後、区は地域住民、また議会からの指摘を受けて事後的に後づけでベンチをこの道路に設置するとしたんですが、本来ベンチは計画の当初から含まれてしかるべきものだったと考えます。
私の議会質問後、区は改めてこの補助一五四号線の開通区間、全長一・五キロメートルについてベンチを新設する候補地を都市整備領域の三課の連携で洗い出してくださったということを伺っております。その結果、新たな候補地が二十カ所以上あったようにも伺っています。この調査の結果と今後の改善の計画についても御報告をいただきたいと思います。

◎村田 工事第一課長

都市計画道路、補助一五四号線のベンチ設置状況ですが、昨年度の整備工事に合わせ、世田谷通りから世田谷駅までの区間に一カ所設置してございます。また、このほかに世田谷区役所西の交差点から梅ヶ丘駅の区間においても補助一五四号線沿いの区立世田谷どんぐりひろば公園及び梅丘まちづくりセンターにベンチが設置されてございます。
委員お尋ねの調査でございますが、昨年度に梅ヶ丘駅から世田谷通りの間において関係各課合同によるベンチ設置箇所調査を実施いたしました。その結果、ベンチ設置候補箇所として二十数カ所を選出しております。今年度はこのうち三カ所を設置する予定でございます。全ての区民が歩きやすい生活環境を整備するユニバーサルデザインの観点から、今後さらに梅ヶ丘駅から世田谷通りの区間において数台のベンチの設置を予定しているほか、沿道の学校や民間施設等の既存ベンチの活用なども働きかけてまいります。

◆上川あや

こうした後手に回った対応の教訓をぜひ今後生かしていただきたいと思います。

区内の道路は今回取り上げたような高規格道路ばかりではございません。むしろ歩車道の分離もない道路こそが区が管理する道路の中心だと思います。その意味では、高規格の道路へのベンチ設置だけに終わらせない座れる場所の確保、その努力が求められると考えます。
昨年の質疑では、お隣、三鷹市にありますベンチのあるみちづくり整備計画を御紹介いたしました。広い歩道のある幹線道路では百メートルから二百メートル置きに、河川沿いや遊歩道では五十メートルから百メートル置きに、また、生活に密着した歩道のない生活道路上でも住民要望に応じてベンチの整備を計画的に図るということで、幅員の狭い歩道環境にも合わせた省スペースのベンチも実際に五種類案出をしております。植え込みの縁取りになる小さな腰かけや座面の奥行きを減らした省スペース型のベンチなど、よく考えられた工夫が垣間見えます。ぜひ世田谷区でも狭い道だから置けないとあきらめることなく、しっかりと工夫をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

◎田中 土木計画課長

歩道にベンチを設置するに当たりましては、区の道路の構造に関する条例施行規則等から、ベンチを除いて歩道の幅員を原則二メートル以上確保する必要がございます。こうした条件に合う道路におきましては、沿道施設の状況を調査するとともに、隣接する住民の方などの御理解を求めた上で設置を進めてまいります。
また、それ以外の歩道や道路にもベンチを設置すべきとのお話ですが、他自治体の事例も参考にしながら、公園や緑道、公共施設などを有効に活用してまいります。さらには、歩道へなどコンパクトに設置できる形状のベンチについても研究してまいります。

◆上川あや

ベンチのあるまちづくりは地域コミュニティーの強化にもきっとつながることと思いますので、積極的な展開を改めて求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。