◆上川あや

まだアルバイトの経験すらない中学生自身に借金を背負わせる、区の奨学資金貸付制度について伺います。
三問、いずれも区長に伺いたいと思います。

初めに伺いますのは、子ども・若者部のこの間の答弁調整の態度についてです。
先週、質疑は三問とも区長に問いたいと、取材に入った担当課長にはしっかりお伝えしました。勉強会の前夜には質問の原稿もきちんと提示した上で答弁の調整をお願いいたしました。ところが、金曜日の夜、ふたをあければ、部長が全問答弁をするというお話なんですね。区長に直接質問したいという議員にとても重要な要素を、区長に伝えた上で、答弁調整の結果、部長に答えさせることになったという合意形成があるんだったらまだわかります。ところが、今回は、議員の区長に問いたいという意向の核心の部分を区長にすら伝えずに、子ども・若者部で握り潰していることがわかりました。
所管部の一存で、所管部が問われているかのごとくその質問を調整し、勉強会も済ませたということを、担当課長にも確認をさせていただきました。これはしっかり確認をとった事実なんですね。恐らく区長に答えさせたら、担当所管にとって意に沿わない答弁をしかねないということを警戒しての区長外し、区長の口封じなんでしょう。
こうした担当部の御都合の区長外し、口封じ、質問権の侵害を区長は認めるんでしょうか、お答えください。

◎保坂 区長

その詳細な経過は存じ上げていないので、ちょっと簡単に担当部長から答えさせます。

◎岡田 子ども・若者部長

木曜日の夜、質問の趣旨をいただきました。また、それで翌日金曜日に区長との調整を行う予定でございましたけれども、答弁の作成が間に合わなかったということでございます。土曜日に、質問の趣旨、それから所管部案を区長にお示しして修正を行った、こういうことでございます。

◆上川あや

非常に不誠実だと思うんですね。区長も議員を長くしていらっしゃいましたけれども、こうした所管が区長外しをすることをお認めになるかどうか、一言お答えいただけないでしょうか。

◎保坂 区長

週末には所管から相談もありましたし、書面のやりとり等をして答弁をつくりました。ですから、区長に聞くとおっしゃれば、どなたでも私は答えますので、今後とも区長に答弁を求めるということであれば、答弁をしていきたいと思います。

◆上川あや

この間の答弁調整の経緯について、区長ともきのうちょっと連絡をとらせていただきましたけれども、区長も御存じなかったんですよね。結局、所管部が都合のいいように処理していたことは確定なんですよ。

担当部が区長に答えさせまいとした質問を行いたいと思います。
一問目は、区の奨学資金が子ども自身を借り主にすることの適切性です。区の奨学資金は高校に進学する中学生自身を貸り主にした借金です。区と親が一緒になって、子ども自身を借り主に仕立て上げる制度です。区の債権管理重点プランを当然区長もごらんのことと思うんですけれども、一番収納率が悪い、つまり焦げつく割合が高いのがこの奨学資金です。
この債権管理重点プランは焦げつきの要因をしっかり分析してプランの中に書いております。「奨学生は貸付申請時に中学生または高校生のため、主に保護者が手続きしたケースが多く、債務そのものを認識していない者が多い」。つまり、自身も借り主である中高生がその自覚もないままに、親と区の同意によって借金の借り主に仕立て上げられているさまを自覚しているんですね。なのに、まだアルバイト経験さえない中学生自身に、子どもに借金を背負わせる同制度が来年度も予算計上されております。
区長は借金の自覚のない中学生に借金を課すこの手続が適切性を欠いているとは思わないのでしょうか、お聞かせください。

◎保坂 区長

格差や子どもの貧困解消の問題で、その給付型奨学金については、国の貧困対策の中でも問題になってきたし、非常に重要な問題であると思っております。
今御指摘の、世田谷区の高校生に関する奨学金の現行の制度について御指摘がありました。若者支援の政策も行っております。その中で学習支援だとかさまざまな支援をしていく中で、この奨学金のあり方についても今後考えていくべきだろうと。
現状はこういう制度でやっておりますけれども、まずは昨年九月に、最も困難な環境にいる児童養護施設で生活をしている高校生の十八歳以降の支援について具体的な対策をするようにと指示しました。現在、それを進行中と聞いておりますけれども、それとあわせて取り組んでいくテーマだと考えております。

◆上川あや

アルバイト経験がない中学生に貸すようなおかしなことはやめてください。

もう一つ、日本学生支援機構の有利子奨学金についてです。この有利子、借金が膨らんでいく利子に対して、利子補給ができないかということを本会議で問いました。この答弁も、初め、子ども・若者部が当初示した必要予算額は十億三千万円と言っていたんですね。それが答弁調整の状態のときでした。
ところが、ここの数字にもトリックがありました。日本学生支援機構のサイトから最新の金利をチェックしますと、政令に定められた最長の最高の金利の三%で所管部は計算をしたんですが、実勢の金利は全然異なっています。利率見直し方式で〇・一%の金利、三十分の一ですね。固定方式で〇・六三%の金利、五分の一なんですね。ところが、十億三千万円かかるから、財政負担が重いからできないというような本会議の答弁が、答弁調整の結果、勉強会を通りました。
ということで、私のほうで計算し直してみました。区に必要な予算額は、所管部が言っていたこととは大きく異なります。固定方式で二億円程度、利率見直し方式でしたら年間三千万円とちょっとです。つまり、区が来年度想定している保育・幼児教育予算二百十億円に比べて、何とこの予算額は百分の一から六百六十八分の一という負担で済むんですね。これで財政負担が多いというのはわけがわかりません。区長としてはこれをどう考えるんでしょう

◎岡田 子ども・若者部長

今お話しの利子補給に係る私どもの試算でございますけれども、議員から名寄市のお話を伺いまして、求めに応じまして日本学生支援機構の資料に記載のあった上限三%という利率をもとに試算いたしました。それで議員に御提供したところ、時点の利率を使うべきだというお話があり、直近の大学卒業生を想定し、昨年三月の利率で計算し直しまして、それをもとに資料提供し、また御答弁を申し上げたところです。

◆上川あや

区の施策、乳幼児支援にすごく偏り過ぎていて、子ども・若者部と名乗っていただきたくないくらい偏っているなと私は感じておりますので、しっかり若者の支援、区長、やってください。お願いいたします。