具体的な成果

★寄付を原資とした「給付型奨学金」始まりました。

 

区はアルバイト経験すらない中学生も債務者とする高校進学の「貸付型」奨学資金を運営してきましたが、その多くが不良債権化。
上川の批判で区はこれを廃止。
代わりに上川が提案した「寄付を原資とした給付型奨学金」が児童養護施設出身者を対象に始まりました。

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◆上川あや

通告に基づき質問します。
初めに、区の子ども自身に借金を背負わせる全貸付型奨学金を返済不要の給付型に切りかえるよう求めます。今回で三回目の要望です。

私は、2012年9月の定例会で、区の税を原資とした全返済型の奨学金を、札幌市のような市民、団体の寄附が原資の返済不要の給付型に変えることはできないかと議会質問いたしました。区長は、ぜひ意欲的に考えたい、実現したいテーマの一つと考えていると前向きでした。当時の子ども部長も、区内の篤志家や団体から御協力いただける仕組みのあり方を次期子ども計画における検討テーマに結びつけたいと、めどまで示し前向きでした。
ところが、昨年六月に示された次期子ども計画素案で、寄附文化の醸成の項目はたった四行だけ。若者の起業支援、就労支援とあるだけで、奨学金は「し」の字もありませんでした。
そこで昨年9月の区議会で約束はほごなのかと問いますと、区長は、二年前の答弁以降、進捗が特段ないのは大変よくないことだと反省の弁を述べ、御提案のような寄附を原資にした奨学金、さらに、最も困難な若者から順次支援していく体制の準備をするよう所管に指示したいと改めてお約束になりました。
ところが、策定間近の次期子ども計画案を見ても、奨学金の改善は一切盛り込まれておりません。新実施計画案でも、現状の中高生に借金を負わせる奨学金を親に借金を負わせる奨学金に切りかえるだけ。借金を負わせる対象を変えただけで、経済的負担の軽減とは笑止千万であります。借金こそ経済的負担そのものではないでしょうか。

そこで伺います。
まず、この二年半、区は一体何をしてきたのか、二年半かける意味がどこにあったのか、無為に過ごしたのと全く同じではないのか、説明を求めます。
また、区は結局何一つ問題を改善できておりません。三月策定の子ども計画にも何一つ改善策を盛り込まず、約束は結局ほごなのでしょうか、お答えを願います。
五カ月前、区長は、寄附を原資にした奨学金、さらに最も困難な若者から順次支援をしていく体制の準備をするよう指示したいと答弁されました。これも単なる口約束に終わるのでしょうか。この五カ月間、区はどう検討してきたのか、今後いつまでにどのように改善を図るのか、見解を問います。

この質問の最後に、日本学生支援機構の有利子奨学金に対する区による利子補給を提案いたします。都内の大学進学率が七割を超え、その過半数が奨学金利用者です。しかも、その七割が奨学金とは名ばかりの有利子教育ローンの借り主の子どもたちです。
北海道名寄市では、従来の貸付資金にかわり、学業成績が優秀で経済的に就学困難な学生、生徒に対し、就学金や就学資金のための貸付金に対し利子補給を行っています。同様の支援を区で実施することはできないか。また、実施をした場合、想定される予算額は幾らか、見解を伺います。

◎岡田 子ども・若者部長

私からは、奨学金について二点御答弁させていただきます。

まず、給付型奨学金についてのこれまでの検討の経過と今後の方針について御答弁申し上げます。
平成二十四年第三会定例会での御議論を受けまして、区として札幌市の状況を視察するなど検討してまいりましたが、奨学金について、一般財源を投じた給付という形で支給することについては、公平性の観点から課題が多く、実施するとすれば、対象をどのように絞り込むか慎重に検討する必要があるとの認識から、昨年、第三回定例会でその旨を御答弁させていただいたところでございます。
次期子ども計画においては、貧困の連鎖を断ち切る必要があるとの課題認識のもと、ひとり親生活困窮家庭の子どもの支援として、就学のための経済的負担の軽減を取り上げたところでございます。
昨年の第三回定例会以降、区長からは、最も困難な若者から支援をしていくことを検討するよう指示を受けましたので、この間、区内の児童養護施設にアンケートやヒアリングを行ってまいりました。児童養護施設を卒業した若者の非常に厳しい状況を踏まえ、御提案の奨学金のことも含め、区としてどのような支援が可能か、二十七年度中に検討したいと考えております。

次に、北海道名寄市の有利子奨学金に利子補給を行う、こういった取り組みの世田谷区での実現可能性について御答弁申し上げます。
名寄市では、学業成績が優秀であって経済的に就学困難な学生及び生徒に対し、貸付金を受けた奨学金等に係る利子補給を行っていると聞いております。
日本の奨学金の約七割を占めると言われる利子つき奨学金が、学業成績等の貸し付け条件が厳しくなく、貸し付け額も多いというメリットがある一方、利子負担に苦しむケースがあるとの認識からとられた政策かと考えます。
御質問の同様の仕組みを世田谷区で実施した場合の試算でございますが、あくまでも仮定として、区内の十八歳人口六千三百五十一人のうち、大学進学率が都内平均の七二・五%、奨学金を借りる方が二分の一、そのうち有利子貸し付け者が七割と仮定しますと、利子補給対象者は千六百六十七人ということになります。
一方、日本学生支援機構の貸し付けは、利率は上限三%の変動金利となっておりますが、例えば二十六年三月に卒業されたケースで、その時点の金利〇・八二%を適用しますと、月額五万円、四年間で二百四十万円を借りていた場合、十五年償還で返済総額が約二百五十六万円、利子分が十六万円となります。全てこの条件で千六百六十七人の利子分を補給すると、一学年について償還期間内に二億六千七百万円程度が必要ということになります。
区内には大学も多く、他の自治体から移り住む方も多いことを考えますと、実施については財政負担等課題が多く、世田谷区では同様に実施することは難しいと考えております。
以上でございます。