★同性愛、性分化疾患について区立学校の対応状況が調査されました。
文科省主導で全国の学校を対象に性同一性障害の相談事例の調査がはじまりました。
しかし、同じように悩んでいる同性愛、性分化疾患の子どもたちは対象外とされ置き去りになっています。上川あやの提案で、全国で初めて、性同一性障害以外の性的マイノリティを含む調査が行われました。
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◆上川あや
本日は、自殺念慮を持つことや不登校の経験割合等が非常に高いと指摘されている性的マイノリティの子どもたちの相談対応・実態把握調査について伺います。
私がこの問題を取り上げるのはもう五回目になります。いいかげん同じ質問をすることも疲れてきたんですけれども、区教委の不誠実な対応が繰り返しておりますので再質問いたします。
私からは、繰り返し、文科省から直接、教育相談の徹底が求められている性同一性障害だけではなく、同性愛、両性愛等、性的指向の悩みについても区内の全校で相談状況を把握していただきたい、支援していただきたいと申し上げてきました。
これに対し区教委は、昨年3月の予算質疑で、学校で性的マイノリティにかかわる悩みを持つような児童生徒がいないか、また相談を受けているかどうか、受けている場合にはどういう対応をしているかなどを把握する方法について専門家の御意見もいただきながら、推進委員会において検討し対応していきたいとお答えになりました。つまり、性同一性障害よりも広い性的マイノリティという概念で、性的指向も含め調査することをお約束になったのです。
また、おととし六月の一般質問に対しても、教育委員会では、区立学校に性同一性障害の子どもだけではなく、性的指向による悩みを持つ子どもも在籍しているとの認識のもとで、今後の調査の内容や進め方等についてさらに検討してまいりますと、当時の古閑部長がお答えになりました。ここでも性的指向の相談状況の調査は行われるはずだったのです。
まず確認いたしますが、ここまでの説明に相違はありませんか。
◎橘 教育指導課長
委員御指摘のとおり、御答弁しております。
◆上川あや
性的指向も調査対象であることが確認できました。
ところがです。昨年末に、ようやく区教委が全区立学校を対象に実施したという調査の質問票を取り寄せて愕然としました。質問票のタイトルは、自分の性に違和感をもつ子どもに関する調査。どう見ても性同一性障害の調査としか思えないタイトルです。しかも、質問の第一問目は、今年度、在籍している児童生徒、保護者等から、自分の性に違和感を訴える等の相談を受けたことがありますかというものでした。
二問目以降は、質問一で、はいと答えた方のみの回答項目で、学年、性別などの属性と性同一性障害の診断があるかどうか等が続きました。そして、肝心の性的指向にかかる質問項目は一切ありませんでした。
同性愛は、自分と同じ性の人を好きになるということであって、自分の性に違和感があるわけではありません。つまり、これでは調査対象になりようがないではありませんか。結局区は混同しているんです。これでは約束が違うではないですかと課長に抗議をしますと、性的指向も含めどう調査するべきか、医師や心理の専門家を交えた人権教育推進委員会にも諮った上で文面を決めましたとのお答えでした。
ところが、人権教育推進委員会の専門家委員の方に電話をかけ、お話を伺うと、性的指向も調査対象であるとは認識していませんでした。性同一性障害の調査だと理解していたので、区教委から示された質問票に対しても違和感は抱きませんでしたとのお答えです。
これは一体どういうことですか。従前の御答弁とも課長の説明とも全く食い違っています。御説明ください。
◎橘 教育指導課長
教育委員会では、児童生徒の健全育成の一環として、教育相談の充実のために調査を実施いたしました。調査内容につきましては、区立学校の代表校長や心理の専門家、医師、学識経験者などによる人権教育推進委員会で検討いたしましたが、委員御指摘のように、人権教育推進委員の方に調査の趣旨が十分に伝わっていないとすれば、私どもの説明が足りなかったと反省しております。委員の方々に改めて調査の趣旨を御説明し、調査内容について御意見をいただきたいと考えております。
◆上川あや
さらにです。課長は質問票では触れていないが、各校長先生に対しては事前に性的指向に悩む子どもたちも含む調査であることを周知していると御説明になりました。校長先生には口頭で説明したのだから、各教員は、質問票に全く書かれていない内容であっても答えよとでも言うのでしょうか。余りにも苦しい御説明です。
今回の調査は、結局のところ全く不適切で、従来の約束を反した調査であると私は考えています。当然、来年度以降の質問票は根本から改めていただかなければなりません。性的指向についてもそれとわかるようにしっかりと書きかえていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
◎橘 教育指導課長
児童生徒の性に関する相談の有無を確認する調査につきましては、事前に小中学校の校長対象の人権教育研修会におきまして、本調査の趣旨や留意点などを十分説明して対応してまいりました。今回の調査では、実際に相談を受けたとする学校が小中学校ともに数校ございました。その中には性的指向にかかわる相談もございましたが、委員御指摘のとおり、実際に児童生徒の相談に対応する教職員が、自分の性に違和感を持つといった場合、性同一性障害だけでなく性的指向を含むと認識していないことも考えられるため、来年度以降の調査につきましては、性的指向も含むことを追記し、校長から教職員の説明内容なども丁寧に行い、より充実した調査の実施に努めてまいります。
◆上川あや
一昨年の八月、五年ぶりに改訂されました政府の自殺対策大綱では、自殺念慮を抱えがちなハイリスクグループとして、性的マイノリティの若年層が政府の文書に明記されました。また、同大綱は、早期対応の中心的役割を果たす人材を養成するという項目の中で、教職員の役割について次のように述べています。
自殺念慮の割合等が高いことが指摘されている性的マイノリティについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて教職員の理解を促進する。
残念ですけれども、区立学校の今の教員に十分な知識があるとはとても思えません。政府の大綱が求める早期対応の中心的役割をどのように担えるのでしょうか。職員研修等、さらなるスキルアップが不可欠だと考えますけれども、いかがでしょうか。
◎橘 教育指導課長
今年度、校長や各学校の人権教育担当、初任者を対象にした研修会において、人権課題の一つとして、性同一性障害などの性的マイノリティについての研修を行いました。それに加えて、学校に配置されているスクールカウンセラーにも研修を行い、各学校の相談支援の充実に取り組んでおります。
例えば、先ほどの調査実施前の校長対象の研修におきましては、医療の専門家より、性同一性障害の方の生育の特徴や学校のサポート体制について具体的なお話をいただきました。
教育委員会といたしましては、教員が人権課題の一つである性同一性障害や性的指向など、性的マイノリティについて理解することは大変重要であることから、今後教員研修の充実を図り、全ての教員が児童生徒の悩みや相談に適切に対応することができるよう取り組んでまいります。
◆上川あや
これまでも約束が反故にされ続けてきましたので、もう六回目の質問がなくて済むようにしっかりと取り組んでください。