◆上川あや

公益通報者の保護について伺います。
まずは、さきの本会議でも取り上げられました世田谷保健所が起こした不祥事についてです。

本件では、区内の弁当製造、配送業者に勤める従業員の方から内部告発を受けた区保健所が抜き打ち検査に入った際、事業者に告発の事実を漏らしてしまい、通報した従業員が即日解雇をされたと報じられました。本会議では、保健所長も立入検査の際、職員の口から○○と言っている人がいると受けとめられる発言があった。つまり告発をにおわせる発言があったと認め、また、その後、通報者が東京都に相談に行っていると、業務上知り得た情報まで暴露したことを認めましたが、これは公益通報者保護の理念、原則に明らかに反しています。職員の守秘義務違反もまた明らかです。にもかかわらず、保健所は、これら発言を含む調査そのものが適切に行われたと答弁を繰り返してはばかりませんでした。反省がないにもほどがある、厚顔無恥な答弁、許しがたい答弁だと私は受けとめています。
この質問の最後で総務部長が答弁に立ちまして、今回の不適切な発言に関しましては、服務規律の観点から必要な対応をしたところでございますと言ったところで時間切れとなりましたが、この答弁自体、服務規律上問題があった、つまり処分が必要なほどお粗末な対応があったと区として認めている発言にほかならないと考えるんですが、いかがですか。

◎堀込 人事課長

先日の一般質問の際、世田谷保健所長より通報者が東京都に相談に行っているという趣旨の発言があり、不適切なものとしておわび文を出したとの答弁がございました。
総務部といたしましては、一般質問の総務部長答弁の繰り返しになりますが、服務規律の観点から、当該職員に対し必要な対応をしたところでございます。

◆上川あや

繰り返しの答弁を求めたわけじゃないんですが、ともかくお粗末だったことは間違いないんですね。
実はこの件をめぐりましては、私もこの六月に保健所と総務部に事実確認を行いまして、課長と話し合いをそれぞれ持ちました。
その際、非常に問題があるなと感じましたのは、職員からの通報を受ける職場として、また、職権を持って外部労働者からの通報を受け付けて調査する、そういった職権を持つ職場として、どのように対応するべきかに対しての職員への研修が全く行われていないということがわかったんですね。
総務部から研修資料の提供もるる受けましたけれども、どの資料を見ても公益通報の「こ」の字も出てまいりませんでした。結局、公益通報制度全体を統括する総務部でも、研修全般を取り扱う研修調査室でも、また、今回のように職権を持っている保健所等でも、公益通報に焦点を当てた研修は全く行われていないようです。こうした平素からの対応力強化、養成の欠如が一連の不手際の原因にあることは明らかだと感じます。
この点、総務部にも課題認識を共有いただきました。その上で、研修調査室に、この研修の充実について話し合っていただいたんですけれども、当の研修調査室は、公益通報の単独講座とするには内容が少ない、また倫理研修などの流れで説明するほうが理解しやすいのだと消極的で、これまで同様、一言研修に差し挟めば事足りると考えているようでありました。
公益通報制度そのものの普及啓発を図っている消費者庁では、平成十八年以降、毎年行政職員を対象とした公益通報研修会、特化した研修会を二時間から二時間半かけて実施をしています。また、多くの企業は、この問題で一歩対応を誤れば、通報者の人生を暗転させ、会社の存亡危機に陥れかねない非常に重要でセンシティブな問題であると捉えて、対応力の強化に力を入れています。にもかかわらず、区の認識は依然として甘過ぎるんじゃないでしょうか。
区も今回の反省に立てば、当然再発防止策の徹底を図っていただかなければ私はうそだと考えていますけれども、この点、いかがですか。

◎星 総務課長

区は公益通報制度上、事業者として、区職員からの通報を受けるだけでなく、法に基づく指導監督権限を有する行政機関として、御指摘の保健所による食品衛生指導業務のほか、環境保全に関することなど、民間事業者からの通報を受けることとされています。
区では、こうして寄せられた情報に基づく調査、指導など、一連の事務処理がそれぞれの根拠法令等に基づき行われることや、通報者の保護にかかわる守秘義務等は、公務員として基本的に遵守すべき服務上の問題であることなどから、単独での講習ではなく、公務員倫理のカリキュラムの中で総合的に実施することが効果的であると考え、実施しているところでございます。
しかしながら、職員の研修につきましては、さまざまな手法が考えられ、公益通報に特化した研修もその選択肢だと認識しております。
いずれにいたしましても、区といたしましては、御指摘の保健所の事例も教訓とし、より効果的な研修実施に向け、研修室とも連携しながらさらに取り組んでまいります。

◆上川あや

その徹底を願います。

最後に、区の職員等からの通報について伺います。
区の職員等からの不正の告発をお手盛りで握り潰せる現行の公益通報制度の改善を求めます。
私の三回にわたる関連の質疑を経まして、世田谷区でも外部に弁護士を置いた第三者窓口ができました。また、区の出入り業者にも通報の窓口が示されていなかったのを示していただきました。さらに、通報の受け付けの範囲を法に定める最低限の範囲から、格上げをしていただいて、広く捉えるようにしていただきました。この点は評価をします。
しかし、区の不正の告発を区自身が秘密裏に調査、処理できる、つまり握り潰すことさえ可能な現行制度の最大の欠陥をまだ改めていただいておりません。この点、杉並区、中野区、千代田区等、都内五区がそうであるように、第三者の通報窓口が権限を持って調査をするようにするべきです。
この点の改善を何度言ってもなぜ拒むのか、その理由を求めます。

◎星 総務課長

公益通報相談員につきましては、平成二十三年九月に設置して以来、現在まで通報受理の実績がございません。通報がないこと自体が悪いこととは認識しておりませんが、職員が本制度を認知し、理解していくことが前提となることは言うまでもありません。
御指摘のとおり、他区の制度では、相談員に調査権を付与している事例も承知しているところでございます。区といたしましては、制度がよりよく稼働するよう、引き続き取り組んでまいりますが、現時点では、相談員に調査の権限を付与することは難しいと考えておりまして、職員への制度の周知徹底について、機会を捉えて積極的に行っていきたいと、こういうふうに考えております。

◆上川あや

なぜ難しいのかの理由を聞いているんですが、それは御答弁になっていないんですね。こういうサボタージュみたいなことはやめていただきたいんです。
これは引き続き補充のほうでも質疑をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。逃げられません。終わります。