◆上川あや
続いて、区教委がなお保管を続けている建築部材、棚網家板倉の復元について伺います。
二〇〇九年十一月、私から初めて旧清水邸書院の復元問題を取り上げた際、ともに復元すべき部材として示したものに旧棚網家板倉がありました。区教委の報告書によれば、棚網家板倉は桜丘四丁目の元農家に明治四十四年ごろ建てられたもので、今では数少ない明治時代の穀倉だということです。こちらも区教委がその価値を認め、将来的な移築を目指して平成二年に解体、保管してきたものですが、以後二十三年間再建されないまま今に至っています。
同部材の保管状況はどうなのか、部材は良好にそろっているのでしょうか。部材を再調査する必要もあると考えますが、いかがか。改めて伺います。続いて、移築、復元の具体策についてです。
一案として、私からは区立の岡本民家園に移築、復元することを提案いたします。岡本民家園には、既に元農家の旧長崎家母屋と、同じく元農家の旧浦野家の土蔵、旧横尾家の腕木門が移築をされておりますが、農家に肝心な納屋が欠けています。旧棚網家板倉をそこに移築、復元することで、一とおりの体裁が整うものと考えます。
本提案を含め、区教委として移築、復元をどのようにお考えであるのか、見解を伺います。
また、教育所管ではこれまでも岡本民家園、次大夫堀民家園を念頭に移築、復元を検討してきたといいます。しかし、他の物件との兼ね合いや予算面の制約から実現はしてきませんでした。とはいえ、部材保管から既に二十三年が経過し、これ以上保管を長引かせるべきでないことははっきりとしています。
この点、全庁調整する政策経営部にも、価値ある資産を価値あるうちに区民に還元する見地から、積極的に検討、助言をいただかなければ困ると考えています。いかがでしょうか、見解を求めます。
◎伊佐 教育政策部長
次に、棚網家板倉の移築、復元に関しまして、部材の状況でございます。議員お話しのように、棚網家板倉の建築部材は、所有者から寄附の申し出がございまして、平成二年に区が譲り受け、調査の上解体し、建築部材を保管して二十年余りを経過しております。この間、民間倉庫を含めて数回保管先を移しましたが、現在次大夫堀公園民家園で一体的に保管しているところでございます。
部材の状況に関する御質問でございますが、保管している部材のどの程度がそのまま復元に使える部材なのか、また、補修すれば使える部材なのか、現段階では復元そのものの検討の前に、改めてしっかりとした部材の調査が必要であるというふうな認識でございます。
続きまして、移築、復元の計画ということでございます。部材の状況を改めて把握をさせていただいた上で、復元計画を具体化してまいりたいというふうに考えているところでございます。二十年以上も経過してとの議員の御指摘につきましては、しっかりと受けとめさせていただきたいというふうに考えております。
また、岡本民家園内に復元してはどうかとの御提案につきましては、カヤぶき屋根であるということから、防火に関する建築基準法上の問題などを含め、関係所管と協議、調整してまいりたいと考えております。以上でございます。
◎宮崎 政策経営部長
私からは、棚網家板倉の全体調整をする立場からというお話しがございましたので、御答弁申し上げます。
現下の財政状況の中で、依然として厳しい、特にこれから来る公共施設の老朽化に伴う改築経費の増加、こういうことが見込まれておりまして、区民要望も的確に捉えていくために施策の優先順位をさらに厳格化していく、こういうことが必要だろうと思っています。
一方で、お話しの棚網家板倉でございますけれども、その解体、保管の経過や区内におきまして文化的価値の高い重要な建築物であることも認識しております。復元に当たっての諸課題を確認した上で、総合的に判断させていただければと思います。以上です。