◆上川あや
続いて、区公式サイトのキーワード検索に関して伺います。
現在、区のサイトを開くとその上部にキーワード検索の窓があります。一見、区が管理するサービスにも見えますが、実際には米グーグル社が無料で提供する検索サービスを埋め込んだものです。しかし、ここには重大な落とし穴があります。区は、この無料のサービス提供と引きかえに、区民の検索履歴というプライバシーを同社に明け渡しているのです。
本年三月一日、グーグル社は多くの懸念の声を振り切って、ネット検索や電子メールなど、同社の提供する六十以上のサービスの個人情報の一元管理をスタートさせました。ここでは、同社のGメール等に利用登録する際に提供が必要な氏名、生年月日、携帯番号などの個人情報とともに、いつ、だれと、どういった内容のメールを交わし、どんな動画を閲覧し、過去から未来に至る個人スケジュールの中身、同社の基本ソフトを利用したスマートフォンでは、位置情報や通話先、電話帳の中身までもが一括管理されます。
現実に、多くの区民が同社のサービスに利用登録する中で区のサイトに同社の検索サービスを導入したのでは、区民の検索履歴が同社に筒抜けになるおそれがあります。同社のサービスにログインした状態のまま区のサイトで検索を行えば、生活保護、HIV検査、不妊治療費助成といった機密度が求められる検索履歴さえもが、個人名の特定とともに同社に筒抜けになります。理論上は、同社のサービスからログアウトをしてさえ、クッキーという同一ブラウザを追跡する仕組みから個人が特定されるおそれがあります。
区民に何の断りもなく、区民の検索履歴を私企業に明け渡す仕組みなど区のサイトにあってはならないと考えますがいかがか、区の見解を伺います。
◎宮崎 政策経営部長
私からは、区公式サイトのカスタム検索がプライバシー漏えいのもとにならないのかというお尋ねについてお答え申し上げます。
区では、平成二十年度末に、ホームページ検索性能の改善のために、旧来のシステムからグーグル社が提供するシステムに切りかえております。当時、各システムを比較検討した結果、機能面、コスト面から最もすぐれていた当システムを導入したものでございます。
ご質問の危惧されている点でございますけれども、グーグル社のプライバシーポリシーにおきまして、本人同意や法律上の事情による場合などを除いては、個人情報は同社で提供されているシステムの範囲以外には使用しないとされており、また厳重に保護するとされておりますけれども、同社のサービスの登録者に関しましては、使い方によりまして、区の情報検索時にもその検索履歴などが同社のシステム内で蓄積、共有される可能性がございます。
区といたしましては、利用者の方々が正しい理解を持ってこれらシステムを活用していくことが必要であると考えております。各利用者の理解を深めていただくため、区ホームページにおきましても、グーグル社のプライバシーポリシーにつきましての説明や適切な使用方法などをわかりやすく説明できないか至急検討させていただきます。以上です。
◆上川あや
区のサイトのキーワード検索について再質問させていただきます。
政策経営部長の先ほどのご答弁では、グーグル社の掲げるプライバシーポリシーの中身が論じられており、一定程度安心かなと思う答弁にも聞こえるんですが、論点がややずれていると感じます。それ以前に、グーグル社という私企業に区が区民の検索情報の収集、記録を許していることそのものが問題だと思います。区の個人情報保護条例の精神にも抵触しかねないと私は考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
◎千葉 総務部長
ご指摘の点につきましては、区が個人情報を収集、記録しているものではなく、また、区が個人情報を処理するために、区の電子計算機と外部の電子計算機を回線結合しているものではございません。
したがいまして、世田谷区個人情報保護条例上の手続等におきましては問題となる事項はないと考えております。しかしながら、区民の皆様が安心して区のホームページを利用していただく、こうした観点からはご指摘のような懸念があると認識をいたしております。こうした観点からも、所管部の答弁にもございましたように、使用方法などをわかりやすく説明していくことが必要であると考えております。
◆上川あや
まだ釈然としない部分があるんですが、個人情報漏えいのリスクはお認めになったと、その上で条例上の手続は問題がないとおっしゃる。これはやはりずれていると思うんですね。条例そのものに想定外の抜け穴があることを示していると私は考えるんですけれども、この点についてはいかがお考えなんでしょうか。
◎千葉 総務部長
ただいまご指摘いただいた部分を含めて、今後、確認、検討等をしてまいりたいと考えております。