◆上川あや

質問の第二は、多摩川産のアユ活用の勧めです。

六月一日、ことしも世田谷区を含む多摩川のアユ漁が解禁となりました。かつて幕府への御用アユとして知られた多摩川のアユが、水質の改善に伴い、今続々と多摩川を上がってきています。
東京都島しょ農林水産総合センターの調査によれば、昨年のアユの推定遡上数は七百八十三万尾に達し、八三年の調査開始以来最高数を記録したといいます。川崎市衛生研究所で行った微量汚染物質の検査でも、その食品としての安全性は確認をされ、都が行った直近の放射性物質の検査でも多摩川産のアユは検出下限値未満となっています。昨年は日本橋三越にも多摩川産アユの一夜干しが卸され、好評だったとも言います。

区内には、多摩川漁協の砧、玉川の両支部があり、砧支部だけでも五十四、五人の組合員を数え、中にはかつての川漁師の方も含まれるといいます。また、二子玉川にはかつてアユ料理を食べさせた料亭、やなぎやが一軒ながら残り、かつての郷土の味の再現も可能かもしれません。食品としての安全確認を前提に、環境フェスタへの出品、目黒のさんま祭りにも似たイベントの開催、さきに触れた川床への食材提供等、区としても積極的にその活用を検討してはどうかと考えますがいかがでしょうか、区長の見解を求めます。

◎保坂 区長

二つ目に、アユの資源ということでご質問いただきました。
多摩川の歴史をひもとくと、近代化、工業化の進展とともに、砂利の採掘、これがもう大々的に行われて、やがては乱採掘になり、そして、その後高度経済成長のときには水質汚濁という問題があって、数々の皆さんの大変な努力で現在水質がよくなってきているということの中で、アユも大変多く遡上してくるようになっていると聞いておりますし、こういった自然環境がよくなってきたこと自体、大変世田谷区の――世田谷区だけではありませんが、多摩川流域の各自治体にとっても資産であるというふうに考えております。
そして、地元玉川地区の皆様からも、多摩川のアユを観光資源として、例えば、やなという仕組みがございますが、そういうことをずっと仕掛けておくのではなくイベント的にできないか、こういった提案もございました。まずは、これは仕組み的には、多摩川漁協砧支部、玉川支部、それぞれ六十人と三十人の組合員さんがいらっしゃいます。これまで率直に言って、区と漁協との接点が少なかったということで、今後丁寧にお話をして、まず漁協の皆様のご理解とご協力の中で、アユ資源のまちなか観光的な活用ということを地域の皆さんとともに考えていきたいと思います。