次に、大規模災害時における区の生活保護運用についてです。
能登半島地震の被災地に、善意で寄せられた災害義援金を、現地の生活保護受給者が受け取った結果、地元自治体により「収入」とみなされ、保護費が廃止・停止、減額される例が、相次ぎ報じられ、金沢弁護士会や日弁連も対応の是正を求める会長声明を出しています。
石川県によると、被害の大きかった珠洲市、輪島市などの奥能登4市町だけで、
同理由による廃止・停止は、昨年11月末までに計60件。東京新聞も輪島市だけで20件と報じています。
では、なぜそのようなことが起こるのか。
生活保護上、義援金は原則として収入認定の対象となる一方、大震災の都度出された厚労省通知により、収入認定から除外する枠組みも示されています。
しかし、活かしきれない自治体が多いのです。
除外認定の骨格は、以下4点です。
第一に、被保護世帯の「自立更生に充てられる額」は、収入認定しないこと。
第二に、除外を受けるには被災者自身が「自立更生計画書」を作成し、家財道具の再購入費、資格取得に要する生業費、住宅修繕費、等々を積み上げ、認定を受ける必要があること。
第三に、この計画に計上しきれない額は収入認定され、生活保護費から差し引かれるか、保護自体が停止・廃止されること。
第四に、各自治体の判断で包括的に一定額を収入認定から除外するなど、被災者の実情に応じた弾力運用も可能であることです。
つまり、制度上、「全額(ぜんがく)の収入認定」は必須ではなく、「除外の枠組み」自体は示されている。
ところが被災地では、被災者、中でも高齢者や障害者が自立更生計画書の存在や書き方を知らされないまま手続きが進み、福祉の窓口も書類をただ「書いて」と伝えるのみで費目の積み上げ方を支援できていない。
その結果、本来除外されるべき額まで機械的に収入認定され、停止・廃止に至るケースが続発し、弁護士会も是正を求めているのです。
ここで重要なのは、この問題は、能登半島地震に始まるものではないということです。
2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震でも、義援金の収入認定をめぐり、ほぼ同じ構図の問題が発生し、その都度、日弁連が是正を求めています。
先に述べた国通知の骨格は、2011年の東日本大震災以降、ほぼ確立していたにもかかわらず、その後の熊本地震、能登半島地震でも同じ運用の不備は繰り返されています。
そこで、この問題を本区で繰り返させたくないとの見地から、以下要望を述べ、見解を問います。
第一に、大規模災害の発生時、義援金等の収入認定に関する国の通知・自立更生計画の仕組みについて、被災者、なかでも高齢者や障害者に対し丁寧に説明する伴走支援の体制整備をご検討いただきたい。
第二に、複数回に分けて配分される義援金等については、一律・機械的に判断せず、一人ひとりの生活再建に寄り添い、自立更生計画の段階的な策定など、弾力運用を行う方針を表明いただきたい。
第三に、震災後(ご)・等の混乱時には、福祉事務所単独ではなく、社協や弁護士会等とも連携して、被災者の権利擁護・不服申立て等の支援体制の整備も目指していただきたい。
第四に、具体的なマニュアル整備や庁内研修等もご検討いただきたい。
第五に、東日本大震災では、一定額を包括的に収入認定除外できる仕組みがありながら、それを活用しなかった自治体が大多数でした。
しかし、この仕組みは、被災者と行政、双方の負担を軽減する上に、義援金本来の趣旨を活かせる対応です。
本区には、単に「検討する」にとどまらず、この仕組みを原則に据える方針こそ、お示しいただきたい。
以上、5つの要望について、ご見解を伺い、壇上からの質問を終わります。