◆上川あや

区の令和二年度各会計決算認定全てに賛成する立場から、三点の要望を申し上げます。

まず求めるのは、区政のあちこちに見られる効果検証を伴わない言いっ放しの協力要請からの脱却です。

さきの福祉保健領域の質疑で、私からは、同性カップルも家族として扱う医療機関の可視化について問いました。この取扱いの平等は、六年前、パートナーシップ宣誓の開始当初から最も切実に改善を求められ、区も区内医師会等に協力を求めてきたテーマですが、この五月、区は区内二十八の医療機関にアンケートを行うと、同性パートナーも婚姻関係にある親族と同様に受け入れているとした病院は二か所だけ、今後行う予定とした病院も三か所のみという貧しさでした。
区条例で同性カップルへの差別は禁止です。同性カップルを家族と同様に扱うことは厚労省のガイドラインにもかなう判断です。同条例で、区には、区内事業者に協力を求める責務があり、事業者にも区の施策への協力に努める責務があるのですから、区は改善への関与を強め、条例理念の実現を急ぐよう求めます。

次に、評価、点検を伴わない行政現場への指導についてです。
区教委は、全ての区立学校の人権教育の全体計画と年間指導計画に性同一性障害と性的指向を位置づけ、現場を指導してきたと答弁をしてまいりました。ところが、区立学校の先生方に話を聞くと、当該計画にそれら記述は全くなく、区の男女共同参画プランに記された教育実践までないことが分かりました。こうした議会答弁や行政計画の空文化も、区政においてまま見られる行為です。区民、議会の信頼を裏切らない評価、点検を改めて求めます。

最後に、在留資格のない人々にも保障されるべき人権についてです。
人権は、人が人である以上守られなければならない最低限の権利です。区民生活領域の質疑では、地方自治体が外国人の在留資格に関わりなく提供できる行政サービスについて、国が三十の実務を挙げて通知をしているにもかかわらず、通知を受けた区の所管課がサービスの各所管課に情報共有をしてこなかった事実を問いました。区教委が外国籍児童の就学状況調査をしてこなかった過去にも通じる冷たさです。

区は、民族、国籍差別を初めて禁じた自治体です。人命や安全を守る人道上不可欠なサービスに、本来、民族、国籍、在留資格の別などないことに理解の徹底を求め、私の意見といたします。