◆上川あや

区立図書館の不合理、不適切な障害者サービスの改善を求めて、伺います。

先頃、視覚障害のある区民の方から、区立図書館の対面朗読サービスが昨年の春から止まったままで困っているとの御相談を受けました。御相談内容のみを議会で問うのは性に合わないと、今回、区立図書館の全ての障害者サービスについて点検を進めると、問題だらけです。そこで、以下、改善を求めて伺います。

第一の課題は、区立図書館で配布している障害者サービスのしおりです。
図書館利用に困難のある方の代表格は目の不自由な方々ですが、区立図書館で配布しているしおりは、墨字版、音声版、点字版の用意はありません。全ページに、その内容を読み上げる音声コードこそつけていますが、その存在と位置を知らせる切り欠きはなく、音声コードの位置もまたずれています。加えて、印刷面は、音声コードに不適切な再生紙。コピーを重ねて画質も落ちていると見え、障害施策推進課から借り受けた読み上げ装置をかざしても、全ページで音声が読み取れず、あきれました。
日本盲人会連合は、都道府県、政令市に対し、音声コードの添付だけでは的確な情報保障にはなり得ないとし、点字や音声の併用を求めています。音声コードがあれば足りるとする区の認識は疑問です。それぞれ善処を求めますが、いかがでしょうか。

第二に、所蔵資料の案内が不適切です。
まず、区立図書館所蔵の点字図書は、全点、図書検索の対象外、検索できるようにするべきではないですか。また、点字図書の目録はウェブ公開されていますが、単なる画像のPDFであり、文字列は拾えません。つまり読み上げ機能は使えず、図書検索もできません。
日本点字図書館では、図書目録を文字列の拾えるPDFの墨字版と点字データ版の二通りでダウンロードできるよう工夫しています。区立図書館もかくあるべきではないですか、それぞれ見解を問います。

第三に、提供される図書自体、限定的にすぎるものとなっています。
区立図書館に点字図書は千点以上ありますが、新規の購入は二十年以上も途絶え、自館制作も行ったことがない上に、さきに挙げたしおりでも、点字図書については、区立図書館所蔵の点字図書も御利用になれますとのみ書かれ、区外の公共図書館等から借り受ける姿勢すらありません。
区教委は、同じしおりの中で、音声図書のカセットテープ、デイジーの二種類については、区立図書館所蔵のもののほか、全国の公共図書館、点字図書館から取り寄せますと案内しているのに比べ、あまりにも中身が貧弱で不親切です。加えて、同しおりは音声図書でもマルチメディアデイジーについてのみ他館からの借受けを否定しています。一部著作権に係る図書はあるにせよ、借受けの全否定は過剰です。それぞれアクセシビリティーの改善を求めますが、いかがでしょうか。

第四に、サービスの根拠規定が理不尽な内容の非公開文書であることです。
障害者サービスの根拠規定は、世田谷区立図書館障害者サービス要項ですが、要項の項は、綱という文字ではなく項目の項、このため、区が全文公開している要綱集データベースにも掲載のない非公開規定となっています。
区教委は、同要項の第三章、録音図書サービスで、視覚障害等により普通に図書を利用できない者のために、録音図書の作成・貸出しを行うと定め、区民要望に応じ、録音図書の作成も行うとしていますが、その御案内は、さきに挙げたしおりにも、図書館ホームページにもなく、いわば区民には知らせない裏メニューとなっています。広報するべきではないですか。また、行政手続条例に照らせば、こうした行政サービスの基本文書こそ公表するべきです。それぞれ見解を問います。

第五に、点字図書の作成についてです。
同要項の第四章、点字図書サービスは、同サービスを、点字資料の閲覧、貸出しをいうと、ごく短く定義をしています。ここで注意をするべきは、第三章、音声図書サービスにはあった図書作成がすっぽりと抜け落ちていることです。つまり区民要望に応じて点字図書を作成するつもりなどさらさらない、そういう意味だろうと思います。
これと符合するように、都立図書館が毎年、都内の全区市町村立図書館を調査し、公表している障害者サービスのデータ集でも、区立図書館は障害者向け図書を自館作成する場合の謝礼について、音声図書についてのみ各手順ごと単価を細かく記載した一方で、点字図書の謝礼は不存在を示す横棒の連続となっています。ところが、この差異を中央図書館長に伺うと、区立図書館に自館作成の点字図書が一切ないことを認めながらも、点訳図書作成の謝礼単価は音訳のそれと同じであると、少々無理のある御説明です。ならば、なぜ中央図書館は、かつて区内点訳サークルの活動用に寄附された点字プリンターやコピー機を同サークルに無断で捨て、その作業部屋を閉鎖したのでしょう。せめて図書館のコピー機使用を認める等、できる支援策を検討するべきではないですか。

また、区は、同点訳サークルとの没交渉を改め、その活動継続と後継者の育成を支援するよう求め、それぞれ見解を問います。
その上で、前出の要項にも、点訳を区民サービスとして明記し、謝礼の規定も整備するよう求めます。これまで軽視してきた点字図書の作成、活用にも敬意をもって当たることを、現在、策定中の図書館ビジョン行動計画にも明記するべきです。それぞれ見解を問います。

目の不自由な区民の図書利用、希望者は、点字図書の作成に全く後ろ向きな区立図書館に失望し、高齢化が進み、活動メンバーも半減した区内点訳サークルに新たな図書の点訳をお願いし続けています。そこでは、点字出力に必要となる台紙の代金等、材料費の約二割を点訳を依頼する区民障害者が支払い、その他、一切の手間、暇、コストを点訳サークルの方々が丸抱えする形で支援が続けられておりますが、このような依頼者、支援者双方の御負担をどうお考えであるのか伺います。

第六に、昨年度、今年度と丸々休止をしたままの対面朗読についてです。
冒頭、御紹介した全盲の方は、区内では長らく途絶えた対面朗読サービスをほかで求めるため、はるばる広尾の都立中央図書館まで一人、足を運ぶことを余儀なくされ、大変な御負担だと嘆いておられました。こうした目の不自由な方の御不便をどうお考えであるのか、まず問います。
また、今回の質問に先立ち、都立図書館と都内二十二区の全区立図書館について、コロナ禍での対応を調べましたが、コロナ禍でも対面朗読を中止しなかった区が二区、一時中止はしても現在再開している区が十六区あり、当区同様、今に至るまで休止したままの区は五区だけと分かりました。
サービス提供を再開した十六区のうち八区は、マイクとスピーカーを活用し、朗読者と利用者で別室に分けるなど工夫をしています。当区もこれらを参考に早期再開を求めますが、いかがでしょうか。

さらに、今後は、電気製品の説明書やお手紙等、持参された資料も朗読対象とするよう求めます。区の移動支援では居室での朗読はできず、居宅介護の活用にも新たな手続が必要で、短時間、不定期に発生する代読ニーズには合いません。区立図書館も他区の図書館同様、持込み資料の朗読にも柔軟対応するべきです。それぞれ見解を問います。

最後に、点字図書や録音図書を三十万タイトル以上所蔵するネット上の図書館「サピエ」の活用についてです。
この障害のある方が自宅にいながらにして豊富な図書資料をダウンロードし、楽しめる「サピエ」ですが、個人会員の登録については、「サピエ」に加入した図書館、団体の利用登録者に限られています。ところが、区立図書館は昨年度、ようやく「サピエ」に加盟しながらも、その個人会員の登録は認めない施設のままとなっています。既に都内六区がその個人会員登録を受け付ける中、こうした不親切も改めるよう求め、見解を問います。

◎内田 生涯学習部長

私から、区立図書館の障害者サービスの改善について順次お答えいたします。

まず、障害者サービスの御案内の資料についてです。
区立図書館における障害者サービスにつきましては、利用者への周知のため、障害者サービスの御案内の資料を作成し、各図書館で配布しております。議員御指摘の音声コードへの対応につきましては、音声コードの位置修正や印刷用紙の選定、切り欠き加工の確認等を行い、内容についても一部修正し、確実に音声が読み取れることを確認した上で早急に修正版へ差し替えます。また、音声コードだけでない、音声版や点字版の併用につきましても、課題を整理した上で作成に取り組んでまいります。

次に、所蔵資料の御案内についてです。
区立図書館の障害者サービス資料には、主に録音図書であるデイジー、文字や音声、画像を同時に再生するマルチメディアデイジー、点字資料の三種類があります。そのうち、デイジー及びマルチメディアデイジー資料についてはシステム検索対象としていますが、点字資料については、PDF化した画像データの目録のみで検索することができません。今後、システムからの検索ができるように、システムへの登録作業を進めてまいります。
 また、図書目録について、文字検索や読み上げ機能が利用できるPDF墨字版の作成については、情報関連所管と相談しながら、必要なアプリケーションの選定などを進めてまいります。点字データそのもののダウンロードにつきましては、点字の知識だけでなく、データ形式やソフトウェアなどのICTに関する技術的調査も必要なことから、引き続き、その改善策を検討してまいります。

次に、点字図書などの借受け等についてです。
点字図書の区外図書館等からの借受けについては従来から行っておりますが、障害者サービスの御案内の資料中に借り受けできないと誤解を招くような表現があり、修正してまいります。また、点字図書の新規購入についても検討してまいります。
マルチメディアデイジーのアクセスのしやすさについては、利用者から資料借受け等の要望を受けた場合に、世田谷区外の図書館等から借り受けることができるように、早急に改善をしてまいります。

次に、世田谷区立図書館障害者サービス要項における公表と規定内容の点について、併せてお答えいたします。
世田谷区立図書館障害者サービス要項は、区立図書館における障害者サービスの実施に必要な事項を定めたものです。これまで内部業務のマニュアルとして積極的な公表をしていませんでしたが、内容を再整理した上で、区や図書館のホームページなどを利用して公表をしてまいります。また、要項に記載されている録音図書、いわゆるデイジーの作成について、購入するだけでなく、利用者からのリクエストを踏まえて図書館で作成する旨を、区や図書館のホームページ、障害者サービスの御案内を活用して周知するとともに、点訳資料の作成についても、議員御指摘の点も含め、要項改正を実施し、周知をしてまいります。

次に、点字資料の作成に関して、点訳サークルの活動支援、利用者等の御負担、図書館ビジョンへの反映の点について、併せてお答えをいたします。
区内点訳サークルの作業スペースについては、点訳プリンター等を活用し、中央図書館地下一階の対面朗読室で活動拠点となっておりましたが、点訳プリンターが破損し、修理が不可能となったため、平成二十年三月を最後に、点訳設備等のある福祉関連施設に活動拠点を移されたことを確認いたしました。区内点訳サークルの方々との連絡が途絶えたことで、点訳図書を必要とされている区民、点訳サークルの方々には必要以上の御負担をおかけしてきたことは大変申し訳なく思っており、早急に改善を図る必要があると認識をしております。
図書館が蔵書すべき図書資料の点訳図書等の作成に当たっては、点訳ボランティアの皆様の協力を欠かすことができず、活動グループと協議を再開し、福祉保健領域の担当所管とも連携しながら、区としてできる支援、後継者の育成等についても検討してまいります。また、今年度策定中の第二次世田谷区立図書館ビジョン第三期行動計画において、点字文化について明記することを検討してまいります。

次に、対面朗読サービスに関して、休止により御不便をおかけしたこと、再開のこと、対象とする資料の点について、併せてお答えをいたします。
昨年度、今年度と、新型コロナウイルス感染症対策とはいえ、視覚障害者の皆さんの貴重な情報収集の機会である対面朗読を実施することができず、区外の図書館に足を運ばれた方には御不便をおかけしたと反省をしており、より早い時期に再開する必要があったと認識をしております。
今後、換気対策などの感染防止対策を徹底した上で、施設の状況に応じて、マイクやスピーカーによる対面、あるいはズームを活用したオンライン実施などの様々な手法により、条件が整った図書館から、順次、対面朗読を再開してまいります。また、対面朗読の対象は、今まで図書館の蔵書に限定してまいりましたが、利用者が持参された電気製品の説明書や資料、手紙などを対面朗読の対象とすることについても、プライバシーへの配慮などの課題を整理した上で取り組んでまいりたいと考えます。

最後に、ネット上の図書館、「サピエ」の活用についてです。
世田谷区立図書館では、令和二年度より、視覚障害者及び視覚による表現の認識に障害のある方々に対し、点字、デイジーデータなどの様々な情報を提供するネットワークである「サピエ」に加入しております。「サピエ」のサービスを自宅等で利用するためには、「サピエ」への加入施設、団体の利用登録者である以外に、「サピエ」に加入する施設、団体でも個人会員を受け入れる施設、団体であることが条件となります。
これまで区立図書館は個人会員登録を受け入れない施設となっておりましたが、議員の御指摘を受け、個人会員登録受入れ可能な施設に変更いたしました。また、個人会員の登録は、利用者がインターネット経由で「サピエ」のサイトから直接行うことができるほか、図書館職員が利用者を代行して利用者情報を入力する方法があります。代行入力は、ネット環境や個人情報の扱いなどの課題から、現在、世田谷区では行っておりませんが、さらなる図書館サービスの向上として、図書館窓口のインターネット環境の整備や個人情報保護の課題を整理した上で、代行入力実施に向けて取り組んでまいります。以上でございます。

◆上川あや

各課題、それぞれ改めていただけるというふうに確認をいたしました。
毎年、七万タイトルもの図書が新たに刊行される中で、点訳、音訳が行われる資料は一割に満たないと言われているそうです。健常者に比べて図書アクセスが圧倒的に不利となる区民に対し、区立図書館の音訳、点訳サービスは使えない、区外の図書館からの借受けもしない、対面朗読も止めたまま再開しない、それでいて彼らを支援する点訳者を支援する姿勢のない区政はあまりにもひどいです。今日、行政の合理的配慮の欠如は差別そのものですよ。この点、しっかりと自覚ある対応をしてください。

また、点字図書館が行った調査によりますと、やはり点字図書館の調査です。同図書館の利用者が録音図書、点字図書をどう使い分けているかを聞いたところ、音声図書は速報性のあるもの、雑学的、娯楽的に聞き流せる内容でニーズが高く、学習や調べものなどの正確性が求められるところでは点字図書の選択が八割から九割だそうです。音声図書があれば足りるという認識も見直しが必要だと思います。この点も抜かりなくしっかり取り組んでいただくよう改めて求めまして、私の質問を終わります。