具体的な成果

★区立幼稚園の不正。9園19名の雇用偽装が明らかに。

 

区立幼稚園の元職員から雇用偽装で訴えられた世田谷区。
その不正の規模を上川が追及すると9園、19名もの不正が明らかに。その質疑は翌日のNHKニュースにも取り上げられ、裁判は区への一部賠償命令で結審。教育長らが原告に謝罪し、決着を見ました。


上川が質疑した区立幼稚園の不適切任用はNHKニュースでも取り上げられました。 ※クリックすると拡大します

 
上川が質疑した区立幼稚園の不適切任用はNHKニュースでも取り上げられました。

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◆上川あや

昨年二月、当区を被告に起こされた、とある区民女性の雇用形態の偽装をめぐる裁判について伺います。

まず、当時、提訴を報じた都政新報から、その一部を読み上げます。訴状などによると、女性は二〇一一年十二月から区立桜丘幼稚園で勤務、二人の職員が週二、三日ずつ、交代で勤務していたが、書類上、二人は隔月で勤務していることになっており、実態と異なっていた。また、賃金は一人に支払われ、二人が案分する状態だったといい、原告側は労働条件明示書や出勤状態報告書などに偽装があったと主張している。書類上、女性が勤務するのは奇数月だったが、女性が解雇されたのは一七年四月で、本来なら勤務していないはずの偶数月であり、原告側は解雇の無効を主張、女性は、不当な雇用契約を長期に強いられている非正規職員の環境が少しでも改善されればとコメントしている。引用は以上です。

まず第一に、今読み上げた提訴が議会に報告のなされたものであるのかを確認します。
次に、読み上げた雇用形態の偽装も事実であれば大問題ですが、同裁判の関係者からは、区もその偽装の事実については争っていないと伺っています。基本、そのような理解でよいでしょうか。

◎本田 幼児教育・保育推進担当課長

令和元年五月二十八日の文教常任委員会でも御報告いたしましたが、提訴があったことは事実であり、現在、訴訟係属中でございます。
委員御指摘の記事の中で取り上げられております、平成二十九年四月当時の区立幼稚園における事務を補助する臨時職員の任用形態につきましては、一か月置きに任用するという制度上の運用が繰り返されておりました。その上で、関係者への事情聴取の結果、実際上の勤務は一か月置きではなく、任用月に当たらない月においても勤務していたという事実もあったことを確認しております。

◆上川あや

原告側は労働条件明示書や出勤状態報告書などに偽装があったと主張されていますが、区で整えた書面と勤務実態との間に乖離があったということも事実なわけですよね。

◎本田 幼児教育・保育推進担当課長

平成二十九年四月当時、書面上の任用形態と勤務実態との間に乖離が認められたことは確認しております。

◆上川あや

つまり、書面上、雇用形態の偽装もあったということだと思います。ようやく確認が取れました。
では、それらは同幼稚園だけの誤った扱いだったのか、それとも、区教委了承の下、組織ぐるみの不正だったのでしょうか。どこまで広がっていたのかも併せて説明を求めます。

◎本田 幼児教育・保育推進担当課長

制度上の任用形式と異なる任用実態となっていた点につきましては、平成二十九年五月時点において、当該幼稚園だけではなく、九園全ての幼稚園で合計十九名の臨時職員の方々の任用について、そのような事実があったことが確認されております。また、その後の調査で、教育委員会内の他の臨時職員の任用手続について、幼稚園以外については、任用形式と異なるような不適切な任用実態はなかったことが確認されております。
このような運用の開始時期は不明ですが、以前から長期にわたり行われていたと思われます。幼稚園現場におけるこのような任用手続について、教育委員会として、どの時期に、どこまで認識していたのか、正確には分からない部分がございますが、平成二十九年度当時の幼児教育・保育推進担当課長は、平成二十九年四月に着任後、早期に現場の運用状況を把握したと聞いております。その上で、この方からの申出などに基づき、このような運用につき、速やかに調査を行い、平成二十九年度に見直しを行っており、勤務実態に合わせたものに改善をしております。

◆上川あや

同裁判の進行協議では、区も原告側も和解を裁判所側から勧められていると伺っています。本件が裁判にまで発展した背景には、区からはきちんと謝罪すら受けていないという原告側の怒りがあるといいます。区の原告に対する雇用形態の偽装が現実にあった以上は、区に非があることは明らかであって、区には、当然、謝罪しなければならない責任があると思います。
ところが、区は、本件が裁判に発展する以前、担当課長から原告に謝罪した経緯はあったと私に説明をする一方で、同裁判となって以降は、謝ろうとする姿勢を見せていない、そのため、原告側は、反省する様子もなく、極めて不誠実で、また同じことが繰り返されるのではないかと不信を募らせている、そのように伺っています。
区のしたことに誤りがある以上は、納得が得られるよう、謝罪の意は示してはいかがなのでしょうか。一度謝った以上、二度と謝らないという考え方もないのではないのですか。

◎本田 幼児教育・保育推進担当課長

提訴される以前の平成二十九年度に、当時の幼児教育・保育推進担当課長とその方とは数回面談をしております。その際に、不適切な任用があった点については、その方に謝罪をしております。また、任用形態を改善したことを御説明いたしました。
再度の謝罪ということでございますが、現在、訴訟係属中であることも踏まえて、訴訟の進行の中で適切に対応してまいりたいと考えております。

◆上川あや

こちらは裁判を組織として対応しているわけですけれども、相手方は個人の方で、かなり負荷がかかるということを伺いますので、ぜひ誠意ある対応をお願いしたいと思います。
最後に、本件類似の雇用形態の偽装はもうないと断言ができるのでしょうか。再発防止に向けた決意と、それを担保するすべがあるのかどうかを確認いたします。

◎本田 幼児教育・保育推進担当課長

このような不適切な雇用形態はもうございません。教育委員会内では、本件が判明した後、全ての幼稚園を含めた教育委員会内全体の臨時職員の任用手続について、各課に緊急点検を行い、このような不適切な任用手続はないことを確認しております。
また、今年度より会計年度任用職員制度が導入されました。本制度の導入は、各地方公共団体における統一的な取扱いを定め、今後の制度的な基盤を構築することにより、臨時・非常勤職員制度の適切な運用を確保しようとするものであります。そして、その適正な実施が、委員御指摘の再発防止の担保につながっていきます。幼稚園も含む教育委員会内全体において、本制度を正しく理解した上で、適正な任用手続を行うとともに、各会計年度任用職員の任用実態の把握を十分行ってまいります。
区立幼稚園は、常勤職員である教諭だけではなく、多くの非常勤職員等により運営されております。職員の任用は、働いていただいている方をはじめとして、園児や保護者と区との信頼関係の根本であり、このような不適切な任用はあってはならないことです。今後とも、各幼稚園における職員の勤務の状況などをよく確認し、職員の適正な任用に努めてまいります。

◆上川あや

御自身のお子さんがお世話になったからということで、園長先生からのお誘いに応じて、協力したいという気持ちでここに勤務なさったそうです。やっぱりこういう不誠実なことは二度とないように、反省に立った御答弁をいただいたとは受け止めましたけれども、重ねて不正が看過されることがないようにお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。