★オストメイトに対応した介護者養成が始まりました。
がんの手術等で腹部に人工の排泄口を設けた「オストメイト」への支援は、上川の10年来のテーマです。当事者自身の高齢化し、介護の必要性が増すなか、上川が区に障害特性に応じた介護人材の養成を提案。
おそらく日本初の養成講座が開かれました。
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◆上川あや
私からは、人工肛門、人工膀胱の使用者であるオストメイトの支援に関して伺います。
この問題は、私の平成十五年の初当選以来、継続的に取り上げているテーマでありますけれども、今回は、その中でも介護の課題ということです。改めて若干の説明をと思います。オストメイトとは、直腸がんや膀胱がんなどによって手術をして臓器に機能障害を負った結果、腹部に人工的な排せつ口、ラテン語で言うストーマをあけた方々ということです。ストーマをおなかにつくりますと、本人の意思にかかわりなく便や尿が出ているようになるために、これを受けとめる袋をおなかに装着して生活を過ごす必要が出てきます。排せつは生きている限り避けられない行為ですので、多くのケースでこの状態は生涯にわたって続くということです。
しかし、こうした方々の介護に関しては非常に大きな問題がありました。ストーマ装具の交換が医師法に基づく医療行為とこれまでとらえられてきたために、本人や家族が装着交換することは問題がないとしても、医師や看護師以外の介護の人に装着交換をお願いすることが禁じられてきたという事情があったんですね。一方で、所管部にいただいた資料によりますと、世田谷区内の膀胱・直腸機能障害者は九月現在千二十三人、このうち所得税徴収額が一定額以下のストーマ装具の給付の対象者は七百五十六人、この年齢別の内訳を見てみますと、五十歳以下の方は三十九人で、たった五・一%、大多数が高齢者なんですね。残る年齢分布についても紹介しますと、五十歳から五十九歳が六・四%、六十歳から六十九歳が一九・〇%、七十歳から七十九歳が三二%、八十歳から八十九歳が二九・七%、九十歳以上が七・四%です。実に六十五歳以上の高齢者は八割弱で、六十代より七十代、八十代がずっと多いという状態です。
こうした方々の介護は非常に差し迫った問題だと私は考えるんですけれども、区の考え方はいかがでしょうか。
◎藤野 保健福祉部長
今お話がございましたストーマ用具の装着交換、あるいは皮膚の清拭、排せつ物の処理など、基本的には日常的にご本人が行っているということで、委員のほうからもご紹介がありましたけれども、区のほうで障害者の日常生活用具として給付決定されている方の約八割が六十五歳以上、そのうち七十五歳以上の方がまた六割強という形で、高齢者の利用が多くなっております。
そうしたことから、装着をされている方の中には、現に高齢などによりまして、ご自身で日常的な手当てができにくいということで、介護保険サービスの利用を望まれるというような状況があると考えております。
◆上川あや
先ほど、ストーマ装具の交換が医師法に基づく医療行為ととらえられてきたために、本人やご家族は介護の専門職に交換をお願いできなかったと申し上げました。ただ、ここに来て、光明が差す出来事がございました。本年六月二十五日になりますが、当事者団体である日本オストミー協会というところから厚労省に、肌との接着面に皮膚保護機能のあるストーマ装具の交換ついては、原則として医行為、つまり医療行為に当たらないと考えるが、いかがという照会文書が出されまして、これに対し、厚生労働省も基本的にその訴えを認める回答を出したようです。
回答文のコピーは所管部のほうにもお渡しいたしましたが、区としてはこれをどのように理解なさっているんでしょうか。
◎藤野 保健福祉部長
高齢者の利用が多い中で、今回、協会の質問に対する厚労省の見解というのは、委員ご案内のとおりでございました。具体的に、私どもも国のほうに確認をさせていただきまして、そのとおりなんですが、ただ、症状が不安定であることなどによりまして、ストーマ交換が医行為であるとされる場合もあり得るということで、注意すべき点もあることから、医師あるいは看護師との密接な連携を図る必要があるというようなことのお話もいただいております。
医行為に該当しない場合には、介護職によるストーマ装具の交換は可能というふうになりますので、個々人により障害を起こすなどの状況も想定されますことから、適切な医師等の指示を仰ぐ必要はあるというふうに考えております。
◆上川あや
今部長にもお答えいただいたとおり、要は医療との連携のもとで皮膚の状態が安定しているということが確認をされれば、介護職による装具の交換も行い得るという見解が国から示されたということですね。
オストメイトの方々は、その障害特性からして排せつを我慢するということができません。一たん排せつ物が漏れて皮膚が汚れたときには、短時間で皮膚は炎症を起こして、再度それをつけ直す状態に、そこから外れてしまうということになりがちなんだそうです。つまり、排せつケアのタイミングそのものも任意では選べないということです。
それを考えますと、訪問看護ステーション、医療的ケアの数少ない配置の看護師が来るまで待つという悠長なことは実質的にできないわけで、介護職を含めた即応体制の確立というものが非常に求められてきたということで、当事者団体の方々が一生懸命、長年訴えられてきました。
今回光明が差したということなんですが、区としても、区の総合福祉センターや福祉人材育成・研修センターを立ち上げましたので、こうした機能を生かすなどして、現状で専門知識を持っていない介護職に対して、しっかりとした研修の機会を提供していただきたいと考えるんですけれども、区のご見解をお聞かせください。
◎堀川 地域福祉部長
お話にございました日本オストミー協会が、平成十八年に介護福祉士を対象としてアンケート調査を行っておりますが、その結果によりますと、ストーマ装具の交換の研修について、実技は約九五%、講義が約五〇%と、その必要性を強く感じているとされておりまして、区といたしましても、講義と実技演習を組み合わせた研修が求められているものと認識しております。
また、介護保険サービスを利用する際には、ケアマネジャーは、ストーマ用具の交換に関して、サービス担当者会議の開催時などに必要に応じて、医師や看護職員に対して、ストーマ及びその周辺の状況が安定しているなど、専門的な管理が必要とされていない状態であることを確認した上で、ケアプランに実施方法などについて具体的に記録すること、また、訪問介護サービス提供事業者においても記録を行うことなどが求められております。
そういうことで、このようなことから、今後、研修受講の支援のあり方や事業者などへの周知について検討してまいります。
◆上川あや
前向きなご答弁だと受けとめました。
日本人の二人に一人ががんにかかって、三人に一人はがんで亡くなるという時代、女性の大腸がんが今、女性の発症部位のトップになりまして、男性のがんでも大腸がんは第三位で、食生活の変化でどんどんふえています。これは他人事ではなくて、自分や家族がいつなるかわからない課題だということをしっかりご認識いただいた上で対応していただくことをお願いして、終わります。