◆上川あや
本日、私からは、区立の大蔵第二運動場に第二の地下水膜処理プラントをつくることを提案いたします。
区内の井戸のデータを管理している環境保全課に確認したところ、第二運動場の敷地内に、昭和五十八年に掘削された深井戸があることがわかりました。その深さは七十メートル以上、平成十三年の都の環境確保条例施行前につくられたこの井戸のくみ上げ量の制限値は、当時の行政指導が既得権益の形で残された一日三十トンのままと理解していますが、よろしいでしょうか。
◎齋藤 環境総合対策室長
大蔵第二運動場の井戸につきましては、東京都環境確保条例が施行されました平成十三年度以前に設置されました揚水施設ですので、現行の揚水制限量でございます一日平均十立米以下、最大二十立米以下の基準は適用されません。地盤沈下防止を目的として井戸の揚水量を制限いたしました現在の環境確保条例の施行以前につきましては揚水量について制限はございませんが、当時の行政指導が一日平均三十立米以下としておりましたので、これを準用して適用させていただくことになります。
ご質問の井戸は長年使用していないと聞いておりますので、仮に揚水施設の構造変更などが必要となる場合には、現行の揚水量制限が適用される場合もございます。
◆上川あや
現状のまま構造変更等がなければ三十トンまでくみ上げられる。これは、区が本庁舎で掘削を予定している深井戸にかかる規制値、一日十トンの三倍という大きな値になります。このメリットを最大限区民に還元するべきと私は考えています。
一方、答弁にもあったとおり、平成十三年度以降、この井戸のくみ上げ量はゼロとなっています。所管課に確認したところ、この井戸が使われなくなった経緯として、徐々に水が出にくくなったという状況があるようです。
しかし、今回、地下水に詳しいコンサルタントの方にお伺いをしたところ、地下七十メートルで水脈が枯れるということはまずあり得ないそうです。水が出にくくなった要因として考えられるのは、ストレーナーと言われる周囲の水を集める網目の部分、あるいはくみ上げる管の目詰まりだそうです。井戸は少なくとも十年に一度メンテナンスを必要とするそうですけれども、こうしたメンテナンスの必要性が一般には知られておらず、同様のトラブルは多いということでした。
こうした目詰まりに対してはさまざまな洗浄方法が開発をされておりまして、規制に係る揚水施設の構造変更等を加えなくても、井戸の復元は可能だろうというお話でした。
また、さきの本会議で取り上げました二子玉川の温泉、山河の湯のくみ上げ量は一日百十五トンで、この井戸の三・五倍をくみ上げておりますが、周辺で地盤沈下は起きておりません。さらに、お隣狛江市にある慈恵医大第三病院の地下水膜処理プラントも、一日二百トンの地下水を安定的にくみ上げながら地盤沈下等は起きていないんですね。こうした実績から考えても、一日三十トンという限定的な利用であれば、周囲との環境の調和はしっかり図れると私は考えています。
では、一日三十トンをくみ上げられるという前提で地下水膜処理プラントを入れた場合、どれだけのメリットが出るのか、同じくコンサルタントの方に積算をお願いしてみました。その結果、大蔵第二運動場の年間水使用量三万四千四百トンに対し、単純計算で、およそその三分の一に当たる一万九百五十トンの飲料水がこの井戸からつくれるそうです。これで節約できる水道料金は年に四百万円、年間のランニングコストの二百六十万円を差し引いてもおよそ百四十万円が浮く計算になります。初期投資も十七年でペイができ、その後も利益は極大化していくということです。
この導入効果を区としてどのように評価するのかお伺いいたします。
◎菅井 スポーツ振興担当部長
大蔵第二運動場の既存井戸水の再利用に向けての導入効果についてのお話でございますが、私どもは、委員のお話しのような再利用に当たっての費用対効果等の検証はできておりません。今後利用するとした場合、お話しの内容も含めて具体的に調査し、再利用に向けての検討が必要というふうに考えております。
具体的には、お話しの井戸は平成十三年度以降使用しておりません。当時使用中止以降、再利用の見込みがないといった判断からか、井戸の上部には上水管を布設しておりまして、調査に当たりましては上水管の切り回し工事も必要になってまいります。その上で、揚水機械の設置、水質検査、揚水量や地盤沈下との関係等の確認、さらには、委員お話しの井戸水を常時使用するとした場合の初期投資費用、毎年度の維持管理費用を積算して、費用対効果の視点から私どもも確認をしていくことが必要というふうに考えております。
まずは井戸上部の水道管の切り回し工事、くみ上げに係る工事の内容等、現況の中でできる範囲で確認を進めていきたいというふうに考えております。
◆上川あや
しっかりとお願いしたいと思います。
大蔵の二つの運動場には巨大な体育施設があります。災害時には拠点となることも予想されます。また、隣接する都立の砧公園は広域避難所に指定されています。ところが、一帯の給水拠点に指定されている大蔵給水所、砧浄水場、砧下浄水所は、いずれも耐震性がないことが明らかになっています。小田急線以南の砧地域を見ますと、耐震性の確保されている給水拠点が驚くことにないんですね。この点、砧地域の中央に位置する第二運動場に膜処理プラントを新設することは、周辺施設の業務継続も期待できますし、また、砧地域の格好の給水拠点の確保にもつながると考えています。
また、この間の深井戸水処理プラントの新設をめぐる都と区の話し合いの結果では、災害時の水のくみ上げ規制は一時棚上げにできるという見解が示されていると伺っています。つまり、災害時はプラントの持つ浄水能力いっぱい水の確保ができるということです。その量はプラント一カ所につきおよそ七万人分ということで、過去の説明にありました職員二千八百人分というのは過小評価だと思うんです。本庁舎と大蔵のプラントを合わせますと、およそ十四万人の水が確保できる計算になります。
そこで、区長に伺いますが、大蔵第二運動場へのプラント建設、ぜひ積極的に検討していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
◎保坂 区長
私も本庁舎の深井戸を検討したときに、現在世田谷区内にある使える深井戸としてこの大蔵第二をピックアップしていました。ただ、使われていないというのは、今の指摘で初めてわかったわけで、これは東京消防庁も深井戸を水源として活用するというのを出していますので、緊急防災時における水源の確保、ペットボトルなどの飲料メーカーとの契約、防災協定とともに進めていきたいと考えます。
◆上川あや
ありがとうございます。
昨年の福島原発事故によりまして、放射性物質で一カ所の浄水施設が汚染されたことで広域に被害が広がりました。分散型水源をぜひ積極的に進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。