◆上川あや

続きまして、区立美術館、文学館に託児機能を持たせることについてです。

六本木にできました新国立美術館、静岡県立や高知県立の美術館、横須賀市立や金沢市立の美術館、これらにはいずれも託児施設があります。子育て中の区民が芸術に触れようと思えば必要不可欠な機能であると思うんですが、世田谷美術館、文学館にはこの機能がありません。
平成二十一年九月の区議会で、他会派から同様の要望が出された際、当時の担当課長からも美術館と文学館における一時保育については新せたがやアートプラン案にも掲げていると前向きな答弁が書かれておりましたが、今も実現はしておりません。これはもう諦めていらっしゃるんでしょうか。

◎清水 文化・国際課長

現在、文化生活情報センター内には一時保育施設が設置をされておりまして、パブリックシアターやシアタートラムでの観劇時などに御利用をいただいております。一方、美術館、文学館には専用の保育施設は併設しておりませんが、未就学児の入館は無料としており、お子さんと一緒に美術や文学に触れていただく機会を提供しております。
これまで文学館においては以前、ひととき保育を実施しておりましたが、制度内容の変更や転用する部屋、保育者確保の難しさ、また経費の面から取りやめた経緯がございます。また、経済状況が厳しく、補助金額が削減される状況が続く中で、各館ともに事業展開の工夫を余儀なくされ、一時保育については実施に至っておりません。しかしながら、子育て世代の方が子どもを預け、ゆっくりと美術や文学に親しんでいただく機会を提供することは大切なことと考えております。
一方で、一時保育の実施に当たっては、託児場所とする館内スペースの確保、安全性や保健衛生面等の環境整備、業者選定、費用負担などの課題もございます。美術館、文学館、それぞれの施設の現状を踏まえ、まずは文学館において、例えば展覧会開催の中で一時保育サービスを試行するなど、利用ニーズを見きわめ、どういう形なら可能なのか、財団とともに検討してまいりたいと考えております。