◆上川あや

初めに、区の手話通訳者派遣サービスについて伺います。

まず、単刀直入に申し上げますが、区の手話通訳者派遣サービスの回数制限、時間制限は不当な制約だと感じています。冷静に考えまして、おかしな効果を生む以上、撤廃が必要だと考えています。区では現在、三カ月間に四十五回、九十時間までとその利用に制限をかけています。なるほど、制限がありますと役所は予算を立てやすくなるでしょう。登録者数を掛け合わせれば簡単におおよその予算額を知ることができます。また、制限を課すことで利用者間の公平を図るといった言いわけも成り立つかもしれません。しかし、これはあくまでもお役所目線だと思います。
これを当事者の立場で考えてみましょう。回数制限があると、病気など不測の事態が起こった際、手話通訳者を頼みたいから、今回は頼みたいけれども、我慢しておこうとどうしたってなるでしょう。月末になって結局使わなかった、だったらあのとき頼んでおけばよかったと悔やみましても、もう利用機会は失われてないわけです。一見公平に見えて、不当に権利を制限する抑圧的なルールというべきだと思います。実際、二十三区中十一区にそもそも利用の制限などありません。世田谷区も取り払うべきと考えますが、いかがでしょうか。

◎若林 障害施策推進課長

聴覚障害者の情報保障につきまして、重要な課題であるとこちらでは認識しております。区ではこれまで、手話通訳者の養成を目的とする手話講習会を世田谷区聴覚障害者協会に協力をいただきながら実施するなど、施策の充実に努めてまいりました。
お話しの手話通訳者の派遣は、障害者総合支援法の地域生活支援事業でありまして、この事業に対する国や都からの補助率が低下している一方で、同じく地域生活支援事業である移動支援事業の実績が大きく伸びているなど、財政的な課題もございます。当事業は平成二十二年に、回数、時間の拡充を行っております。現状では、回数や時間を制限いっぱいまで利用されている方はほとんどいらっしゃいませんが、御指摘のように回数、時間の上限があることで、利用がしにくかったり、必要とする利用を抑制したりするといったことも聞いております。
区としましては、適切な情報保障の観点から、今後考えていくべき課題があると認識しており、他区の状況を勘案するとともに、障害当事者の方の御意見も伺いながら、より使いやすい制度設計に向けて検討してまいりたいと思います。