◆上川あや
最後に、同性をパートナーとする区職員の処遇の平等についてです。
今月十日、千葉市は市職員が同性パートナーと同居している場合、法律上の結婚や事実婚のカップルに認めているのと同じ休暇制度を利用できるよう就業規則を改正すると発表。新聞やテレビのニュースでも大きく取り上げられました。市は、結婚休暇に当たるパートナー休暇のほか、パートナーやその親族の介護のための休暇を最長六カ月与える方針で、来年一月から導入を予定。実現すれば全国初の取り組みになるとしております。
当区でも、昨年二月の議会で、私より区職員の処遇、福利厚生は当人のセクシュアリティーにかかわらず平等であるべきだと、休日制度を含む処遇の改善、平等を求めてまいりました。これに区長は、職員の福利厚生面における例えば同性愛の方々に不利益な扱い、あるいは差別などがあってはならないとの認識を示され、区長として判断できることから始めると御答弁をなさいましたが、以後一年半、改善できたものといえば結婚等祝い金の給付等、区長判断ではなく、職員互助会の自主的判断で改善したもののみとなっています。
区の職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例十五条は、慶弔休暇や介護休暇を特別休暇と定義し、十五条の二は「特別休暇に関しその内容、期間その他の必要な事項は、人事委員会の承認を得て、規則で定める」としています。つまり、規則ですので区長判断で、そもそも改善は可能です。職員の休暇制度は特別区の共通基準からも外れており、区独自で判断できることも確認をしております。
担当部は、特別区人事委員会の承認がハードルになるとおっしゃるのかもしれませんが、現に、調べたところ、二十三区中十四区は当区にはない休暇制度を持っております。当然、各区とも人事委員会の承認を得て、独自に休暇制度を変えているのです。加えて、当区が手を打たない間に、岐阜県関市も沖縄県の那覇市も、さらに、お隣渋谷区も、同性をパートナーとする職員への休暇制度の改善を既に検討し始めたと聞いております。当区は、何度、他市、他区に追い越されれば改善をなさるのでしょうか。
休暇制度の改善に区長のリーダーシップを改めて期待いたしますが、いかがでしょうか。休暇制度以外の福利厚生についても、現段階での検討状況とあわせ、区長の展望をお聞かせいただくよう求めます。
◎保坂 区長
上川議員にお答えをいたします。
千葉市で発表された職員の同性パートナーの休暇制度についてでございます。
昨年十一月から、世田谷区におきまして、渋谷区と同時スタートでしたけれども、同性パートナーシップ宣誓をしていただき、多くの方々に受領証を受け取っていただいております。基本構想で掲げた多様性を認め合い、自分らしく暮らせる地域社会を築き、差別、偏見のない社会を実現するという観点から、性的マイノリティーの方々の人権尊重に向けて積極的に取り組みを進めていく考えです。以前も質問ございましたけれども、職員の福利厚生面における同性愛等性的マイノリティーの皆さんに対して、差別等があってはならないというのは答弁のとおりでございます。そして、判断できることから改善に着手すると申し上げました。
こうしたいわば世田谷区の十一月からのスタートということに応じる形で、職員互助会では結婚等祝い金として四月から同性パートナーを対象としたことに加えて、弔慰金についても来年度からの適用に向けて準備を進めるなど、可能なところから改善が図られているものと認識しています。もちろん互助会の判断ということでありますけれども、区の取り組みの趣旨を積極的に生かしてくれたというふうに考えております。一方、この間、第二次男女共同参画プランの検討の中で、性的マイノリティー当事者の方を対象としたインターネットを使ったアンケート、これは性的マイノリティー支援のための暮らしと意識に関する実態調査報告書といいますけれども、約千人から回答を得ているということで、これは世田谷区に限らずインターネットですから幅広く求めたものですが、大変貴重な回答が寄せられていると思いまして、これをしっかり分析して、今後の政策立案に生かしていきたいと思っております。
また、宣誓受領証を受け取った当事者の方々にアンケートを行いました。そして、現在どんなことに不便やお困りを感じていますかというところで、例えば、医療現場での不安だとか、住宅入居に関するまだ壁があるとか、あるいは、よかったこととして、会社にこのことで伝える機会になったということで、会社からも認められたなどの生の声も寄せられておりました。
区といたしましては、第二次男女共同参画プランの策定時に、昨年の十一月に開始したこの受領証を発行するという制度ですが、それ以外にやはり権利保障のために多々懸案、取り組まなければいけない課題はあるだろうという認識であります。この認識を持って、課題を整理しまして、職員の休暇制度に関しても区民の理解を得ながら進める必要があると思いまして、これら課題を一括して検討いたしまして、なるべく速やかにそういう権利保障の実現という視点でバランスよく実現を図ってまいりたい。つまり、御質問の趣旨に対して、他の課題とあわせて、人権保障の観点から推進に努めてまいりたいというふうに思います。