◆上川あや
次に、今から十六年前、二〇〇九年の四定で私が初めて取り上げた旧棚網家板倉の復原についてです。
区がその高い文化財的価値を認め、部材一式の御寄附を受けてから今年で三十五年がたつにもかかわらず、いまだ復原の見通しが全く立たない現状を区はどう見るのでしょうか。旧棚網家板倉は、桜丘四丁目の旧家に一九一一年頃建てられたと推定される貴重な明治期の穀蔵です。草ぶき、寄棟造りの板張りで、出桁と呼ばれる大きく張り出した軒が特徴で、区内でも類例のない希少な建築物として二〇一五年には区指定の文化財となっています。
そもそも、区がその部材一式の御寄附を受けたのは一九九〇年。その後、私から二〇〇九年、二〇一三年と続けて復原を求め、区もこれらに応じて部材の再点検、文化財的価値の再評価、文化財指定へと進めました。
ところが、二〇二〇年に次大夫堀公園民家園再整備基本構想に二つの復原案を盛り込んだところでまた動きは止まり、二〇二二年に開始予定だった再整備工事も滞っております。このため、結局、二つの復原案からの選択も未確定、復原時期も不透明、建物周辺の整備や利活用方針も未策定というないない尽くしが続いています。
ここまで場当たり的対応を繰り返し、一体いつになれば復原されるのでしょう。区民から貴重な財産の御寄附を頂きながら、その後の計画はあまりに不誠実で、区の文化財行政の姿勢そのものが問われます。
そこで問います。まず、これまで部材の解体と保管、その後の再調査、文化財指定とその広報に至るまで区はどれだけの公費を投じたでしょう。また、多摩川の氾濫原に部材を保管する現状は極めて不適切であり、早期に移設するべきです。今後の整備・活用スケジュールと併せ、区の対応方針を問います。
◎玉野 教育政策・生涯学習部長
私からは、文化財旧棚網家住宅板倉について御答弁申し上げます。
旧棚網家住宅板倉につきましては、平成二年、一九九〇年に部材を御寄贈いただき、解体して以降、他の古民家、安藤家住宅、旧谷岡家住宅表門、清水家住宅書院、これらの復原を優先したため、複数の民間倉庫や区施設での保管が続き、現在は宇奈根考古資料室に保管をしております。
平成二十七年、二〇一五年に区指定有形文化財の指定を受けた後、令和二年の次大夫堀公園民家園再整備基本構想において同園内への復原を検討いたしましたが、新型コロナウイルスや他の緊急修理工事等の影響もございまして復原には至っておりません。
これまでにかかった経費ですが、現在確認できる範囲では、部材調査や保存処理において三百八十三万円を要しております。今後は、浸水などにより被災しないように、宇奈根考古資料室から他の場所に速やかに移動した後、再整備基本構想に基づく配置の確定や活用方法を定めるとともに、関係所管との調整を行い、できる限り早期に適切な復原、公開に向けて取組を進めてまいります。



