◆上川あや
初めに、区民一般の同性パートナーに対する遺族補償について伺います。
区は、公務で死亡した職員の同性パートナーには遺族補償する制度を整えてきた一方で、区の諸活動に起因して区民等が死亡した場合の同性パートナーには、私が特に改善を求めた水防活動等への協力者を除き、遺族補償できる制度的根拠を持ちません。この重大な欠落を補う必要があると考え、以下伺います。
本区は二〇一五年、全国に先駆けパートナーシップ宣誓制度を創設し、二〇一八年には同性カップルへの差別的取扱いを禁じる区条例を施行しています。また、二〇二〇年には同性パートナーも事実上の婚姻関係とする社会通念が本区では形成されていると表明し、さらに、二〇二三年には学校医、学校歯科医、学校薬剤師など区の非常勤公務員が公務で死亡した場合の同性パートナーにも遺族補償する制度を整えてきています。
ところが、区の諸活動に起因して区民等が死亡した場合の同性パートナーには遺族補償できる制度的根拠はありません。このような無為無策、不合理が放置されていてよいとは到底思えないのです。そこで第一に伺うのは、同性パートナーへの遺族補償をめぐる区の認識です。そもそも区が提案、成立させた多様性尊重条例は同性カップルへの差別を禁じています。また、区の職員の同性パートナーに遺族補償を行うのであれば、区の瑕疵、過失により死亡した区民等の同性パートナーにも均等な遺族補償を行うのが当然の道理であるはずです。この均等処遇の原理、原則について、区はどう認識しているのかを、まず問います。
第二に、今述べた原理、原則に照らせば、現状の区民等の同性カップルに遺族補償等、行える根拠規定をほぼ持たない現状は甚だ不適切であり、速やかに改める方策を取るべきです。区としてどのような具体的対応、制度的方策が考えられるのか、対応方針を問います。
第三に、本区も加入する特別区自治体総合賠償保険への対応です。二十三区が加入する同保険について、区が同性パートナーに遺族補償的な支払いを行った場合に補填されるのか御確認いただいたところ、法の解釈を超えての賠償は対象外との回答を得たと聞いています。しかし、国家賠償法上、損害賠償を受ける範囲を制限する規定はそもそもなく、法的制約は、民法または民法以外の法律に別段の定めがあれば、それに従うとされるのみ。同性パートナーを排除できる明文規定などないはずです。
また、過去の判例でも、事実婚の関係が法律婚と同視できる程度に安定、継続している場合には損害賠償が命じられたケースが一定数存在し、最高裁も犯罪被害者遺族への給付をめぐり、同性カップルも事実上の婚姻関係に含まれ得ると判示をしています。
加えて、二〇二三年には、各区の判断で職員死亡時の退職金支給について同性パートナーも配偶者と同等に扱えるよう、全区で条例改正が実現しています。であるならば、特別区自治体総合賠償保険も同性カップルを均等に扱い得るものに変えるべきと考え、区に御努力を求めるものですが、見解はいかがでしょうか。
◎渡邉 生活文化政策部長
私からは、三点の御質問に順次お答えします。
まず初めに、同性パートナーへの遺族補償について二点、同性パートナーが被る損害への均等処遇をめぐる原理、原則について、また、同性カップルへの遺族補償を担保する根拠規定の制度的方策について、併せて御答弁申し上げます。
世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例では、性別等の違いによる不当な差別的取扱いをすることにより他人の権利利益を侵害してはならないと、差別の解消について定めてございます。したがって、区は、行政運営を進める中で同性パートナーであることを理由に区民等への処遇に差異が生じることは、あってはならないと考えてございます。
区では、これまでもこの条例の趣旨に基づき、災害弔慰金や水防、または応急措置の業務に従事した方への死亡補償一時金の支給、区職員の公務災害に関する補償制度等、区独自の同性パートナーの方に対する補償制度を整備してまいりました。
しかしながら、現状は御指摘のとおり、区民等の同性カップルへの遺族補償を担保する根拠規定はございませんので、条例の趣旨を踏まえ、どのような対応や制度的方策を行えば同性カップルをはじめとした性的マイノリティーの方々が差別なく平等に権利や利益を享受できるのか、関係所管と連携しながら引き続き検討してまいります。
また、区政運営を進める上では、あらゆる分野の計画等において性的マイノリティーを含むジェンダー平等の推進について盛り込んでいくことが重要となってまいります。今後、次期男女共同参画プランにおいて位置づけていくとともに、全庁に対しまして周知啓発を進めてまいります。
◎田村 財務部長
私からは、特別区自治体総合賠償責任保険の御質問にお答えいたします。
特別区自治体総合賠償責任保険は、区が法律上の賠償責任を負うことによって被害者に支払った賠償金を保険会社から保険金として補填してもらうものであり、保険会社は法律上の賠償責任に基づいて補填を行っております。法律上、原則として損害賠償における被害者が死亡した場合の賠償金の支払い先は民法第八百八十七条から第八百九十条に規定する法定相続人としての権利を持つ御遺族の方々であり、同性パートナーは法定相続人に含まれておりません。
一方で、同じく法定相続人に含まれない男女の内縁配偶者に民法第七百十一条の類推適用により賠償請求権を認めた判例がございます。現状では、区が同性パートナーの方に賠償金をお支払いした場合に保険会社から区へ賠償金の補填はされませんが、同性パートナーにも民法第七百十一条を類推適用するなどの補填要件の拡大について、保険会社に区の考えを伝えてまいります。
◆上川あや
区民等の同性パートナーに対する遺族補償ですが、先ほどの御答弁では、同性パートナーであることを理由に、その処遇に差異が生じることはあってはならないと明確に述べた上で、どのような対応や方策を行えば平等に権利や利益を共有できるか検討するということでしたので期待をしております。ぜひいたずらに時間をかけることなく、等しい処遇へと改めてください。
本日の午前中、東京高裁は同性婚を認めない現行法規定を違憲とした一審判決を覆しまして、合憲と判断したということで若干衝撃を受けておりますが、最高裁の判断を待つまでもなく、本区の条例において同性カップルの差別的取扱いは禁止です。自らが定めた法令規範に従って、迷うことなく前進をしてください。



