地域医療の維持・向上に向けて区で出来ることとのテーマで伺います。
1つ目の課題は、都内の病院に広がる経営維持の困難です。
6月2日のNHK「クローズアップ現代」の特集タイトルは『まさか都市部で…相次ぐ病院閉鎖・休止 医療の未来は』と題するものでしたが、ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。
番組では、今、東京都内の病院の実に67.2%が赤字経営に陥り、閉鎖や休止、規模縮小が相次いでいる現状が紹介されました。
都市部では医師、看護師らの人件費が高騰している上に人材難。
医療機器や資材、光熱費も上昇中。一方で診療報酬は低く、24時間救急など必要な医療を真摯に提供するほど赤字が膨らむ構造的な問題が指摘されました。
加えて、都内の病院建物の約3割が築40年以上と老朽化が進む中、建築費の高騰で建て替えも困難です。番組では吉祥寺駅近くで唯一24時間救急を続けてきた病院が、想定の倍に膨らんだ改築費用に耐えられず、経営継続を断念。閉鎖に至った経緯が紹介され、都市部の医療の危機を印象づける衝撃的な内容でした。
これを見て、私がすぐ思い浮かべたのは、同じく老朽化した区内救急病院の数々です。
例えば、区役所最寄りの救急病院、世田谷中央病院の建築年は都の資料によれば1958年。今年で築67年です。私が以前、救急搬送された駒沢病院も1971年の建築で築54年です。
1981年6月の新耐震基準以前に建てられた病院となるとさらに増え、井上病院、有隣病院、日産玉川病院の3病棟などと続きます。
そこで確認しますが、区は区内病院の収支状況、病院建物の老朽化、耐震安全性の確保や人材確保難等の経営悪化要因を、現状どこまで把握されているでしょうか?
また、先ほどご紹介した吉祥寺の救急病院よろしく、それが閉鎖になって初めて地元自治体として窮状を知るといった無関心であってはならないと考えますが、現状で危機感はお持ちなのでしょうか?その程度も含めて伺います。
当区のお隣、三鷹市では既に、昨年8月「市内病院機能の維持に向けた支援に関する方針」を策定しています。
地域医療を支える市内7病院の存続を大前提とし平常時・災害時・感染症流行時の役割分担を明確化したうえで、施設の改修・建て替え支援、病床機能の拡充、感染症対応の柔軟な転換、さらに市有地活用や助成制度などを通じた支援の強化を図るとしています。
本区においてもこうした区内病院機能の維持に向けた現状把握と対話の強化、具体的支援策の検討が必要になると考えるのですが、区のご見解はいかがですか?