◆上川あや

夏の参院選では、一部政党が外国人への規制強化を掲げて耳目を集め、外国人政策が一気に争点化しましたが、党首や候補者らがテレビ出演や街頭演説等で述べた主張には、デマとの批判も免れない主張も少なくなく、また、SNSで拡散されたデマは輪をかけてひどく、外国籍住民らを今なおおとしめ、傷つけています。
そこで以下、主だった言説の真偽を確かめつつ、区にできる対応を求めてまいります。

まず、この夏、大変目立ったのが、外国人が日本の社会保障を乱用しているかのような議論です。
例えば、ネットで広くシェアされた生活保護世帯の三三%が外国人とする言説はどうでしょう。全国と本区の外国人住民割合を紹介し、外国人への保護がそれら割合を超えて大きなウエートを占めているのか、同言説の当否と併せお答えください。

次に、外国人への生活保護は違法、憲法違反とする言説はどうでしょう。二〇一四年七月の最高裁判決は、外国人は生活保護法が適用される国民には含まれないとした一方で、外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置により、事実上の保護の対象となり得るとも判事しています。この後段部分を無視した違法、憲法判断との主張は、むしろ最高裁判決を無視した悪質なデマだと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

次に、ある党の党首が街頭演説で、出稼ぎに来ている外国人がお金がなくなり、生活保護をあげていたら、どんどん貧しい人が来て我々の社会保障が壊れてしまうと訴えたと報じられました、こちらもデマではないのでしょうか。そもそも生活保護の適用対象は、永住者や定住者、日本人の配偶者など、特定の在留資格者に限られ、出稼ぎ、就労目的は対象外のはず。区に確認を求めます。

続けて、同党の国会議員が述べた日本人はなかなかなか受給できないのに外国人はすぐもらえてしまうとする優遇論はどうでしょう。前出の在留資格を満たす外国籍住民が、日本人と全く同じ要件で妥当と判断されれば保護費を受け取れるのが現状で、審査は全く平等ではないのか、区に確認を求めます。
一方で、外国人への生活保護は法に保障された権利ではなく、国の通達等に基づく行政措置であるために、外国人では不服申立てができないと言います。この点、外国人にはむしろ不利との指摘もありますが、区もこの事実関係を認めるでしょうか。

続けて、医療費です。この夏、他党の党首からも、社会保険料は、原則、日本人の病気やけがのために使われるべきだとの持論が飛び出し、報じられました。同党党首はエックスでも、僅か九十日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度を受け取れると主張、より厳格な適用となるよう制度を見直すべきだとしましたが、問題視されるべき制度の乱用などあるのでしょうか。
七月十五日の東京新聞によると、厚労省の二三年度、外国人被保険者データで、国保の被保険者に占める外国人の割合は四%であったのに対し、総医療費に占める外国人割合は一・三九%、高額療養費支給額に占める割合はさらに低く一・二一%と報じられ、外国人の加入が圧迫要因である様子など見えません。このため識者からはむしろ、比較的若くて健康な外国人が日本の高齢者医療を支えてくれている実態は明らか、外国人の国保加入禁止など、日本人の自爆行為ですよ等の反論も寄せられています。区も、今挙げたデータを認めるでしょうか、また区内の状況についてもその把握をお示しください。

続けて、不安があおられてきたのが外国人犯罪です。
一部政党が外国人の増加で国内治安が悪化していると強調し、取締まりの強化を訴えましたが、実態はどうでしょうか。七月十九日の東京新聞は、「外国人犯罪は増えた?減った?統計データで確認したら…なにかと注目の埼玉・川口では犯罪が大幅減」とのタイトルで、おおよそ次のように検証しています。
日本で暮らす外国人はここ二十年で倍増した一方で、外国人犯罪は三割減、少数民族クルド人が多く住む埼玉県についても、この十年、外国人人口が倍近くに伸びた一方、外国人刑法犯検挙人数は一割減、クルド人が集住する川口市でも、この二十年、外国人人口が三倍にも伸びた一方、刑法犯認知件数は二〇〇四年の一万六千三百十四件から、昨年は四千五百二十九件へと減少し、大幅減だと報じています。では、本区を含む都内のトレンドはいかがでしょうか。
また、ある党の候補者が、外国人の不起訴率はなぜか右肩上がりと街頭演説をしたと報じられ、SNSには、外国人は不起訴になりやすいとの主張がありますが、刑法犯の起訴率は、むしろ外国人のほうが高いのではないでしょうか、確認を求めます。

続けて、税についてです。参院選投票日の四日前、ある党の党首が民放のテレビ番組に出演し、外国人からは相続税は取れないと主張、日本人は相続税でたくさん税金を払わないといけないが海外の人たちは払わなくていい、平等ではないなどと述べたと報じられました。そのような特権はもとよりないはずですが、区の見解はいかがでしょうか。また、相続においては、区民税の支払いも継承され、こちらも外国人に特権はないと考えますが、いかがでしょうか。

◎田中 保健福祉政策部長

私から、順次、御答弁いたします。

令和七年七月末現在、世田谷区で暮らす外国籍住民比率は三・二%であるのに対し、生活保護を受給している外国人は合計百九十三名で、受給者総数一万二百二十三名に占める割合は一・八九%であり、外国籍の方の割合が特に高いとは認識しておりません。また、国内全体の生活保護受給者に占める外国籍の方の割合は、六月末現在三・二三%であり、三三%が外国人とする言説は、区や国の統計データとは乖離があります。

続けて、平成二十六年七月十八日、永住外国人生活保護訴訟において、最高裁は、永住外国人は生活保護法の適用対象ではないという判断を四裁判官全員一致で下しましたが、同時に、外国人は行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得るとも判示されている観点から、外国人への生活保護は違法との主張は正確さを欠くものと考えております。
なお、外国人に対する生活保護は、昭和二十九年に当時の厚生省から発出された通知に基づき実施しています。
区で、生活保護を受給されている外国人の方の在留資格は、全ての方が永住者、定住者及び永住者や日本人の配偶者等の在留資格がある外国人の方で、御質問にあった出稼ぎに来ている外国人等、就労を目的とする在留資格の方々は受給できません。また、生活保護の審査も、国籍により変わるものではありません。
なお、昭和二十九年、厚生省の通知、生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置についてに基づく、外国人に対する保護等に関する決定は、行政不服審査法上の処分に該当せず、お話のとおり、日本国籍の方にできる不服申立てが、外国籍の方ではできないことは事実ですが、生活保護を受給できる方が適正に受給できるよう公正な運用に努めてまいります。

次に、国保関連です。高額療養費は、日本人、外国籍の方を問わず、医療機関等から提出される診療報酬明細書を国保法等、同一の法令、基準に基づき審査し支給を行うもので、国籍による優遇や格差はありません。また、外国籍の方についての不正な医療費の支給を確認した例もありません。区の国保被保険者は約十六万人、うち外国籍の方は約一万人で、全体の約六%を占める一方、国保の総医療費、高額療養費支給額に占める割合は、区ではいずれも約二%であり、財政を圧迫する要因とは認識しておりません。

◎加賀谷 危機管理部長

私からは、外国人の刑法犯、認知件数等についての状況、また、外国人は不起訴になりやすいとの言説に対する区の見解についてお答えいたします。

世田谷区の二〇二四年の外国人人口は、二〇〇四年と比較すると約一・七倍となる中、二〇二四年の世田谷区の刑法犯認知件数は、二十年前に比べ七〇・三%減の四千四百四十三件でございます。都内の刑法犯認知件数は、二十年前に比べ、六六・六%減の九万四千七百五十二件となってございます。また、近年の外国人入国者数は増加傾向にありますが、二〇二三年の都内の外国人刑法犯検挙数は千八百二十一件で、十年前に比べ二五・五%減少しております。
また、外国人の起訴率でございますが、犯罪白書では、令和五年の来日外国人の刑法犯の起訴率は四一・一%、日本人を含めた全体では、三六・九%で、来日外国人のほうが四・二ポイント高い結果となっております。このことからも、委員御指摘の外国人は不起訴になりやすいといった言説のような状況には、必ずしもなってはいないと認識しております。以上です。

◎田村 財務部長

私からは、外国人をめぐる相続税と住民税についての御質問にお答えします。

相続税について、税務署にも確認したところ、日本国内に財産を所有している場合、被相続人や相続人の日本国籍の有無にかかわらず、また、日本国内の住所の有無にかかわらず、相続税の課税対象となることから、外国人からは相続税が取れないとの指摘は当たらないものと認識しております。
また、住民税も当該年度の一月一日時点で、日本に住所を有している人であれば、外国人の方でも課税される税金でございます。相続が発生した場合には地方税法の規定にのっとって相続人に納税義務が承継されることとなりますが、こちらも日本人、外国人を問わず同様の規定が適用されるため、優遇などはございません。私からは以上でございます。