◆上川あや
二つ目の提案は、区内に点在する個性豊かな民間の美術館、博物館等と区との連携の強化です。
区の第四期文化・芸術振興計画が掲げる誰もが身近なところで文化・芸術に触れ、親しむことができる機会の充実に、区内の民間の美術館、博物館が持つ多彩な文化資産、専門人材、変化に富む企画展示が果たす役割は決して小さくないと思うのです。
ところが、現実には、区とそれら施設との連携、協力は、僅かに世田谷美術館と五島美術館相互の企画展百円割引が目を引く程度。区が、区内に大学附属の文化施設、特に博物館、資料館が多くある強みを全く生かそうとしていない、そんな現状を私は常々残念に思っています。例えば区内の昭和女子大学が二〇二〇年、その創立百周年を記念し、同大学の光葉博物館で開いた特別展のメインタイトルは「徳川将軍家を訪ねて」。何と無料観覧にもかかわらず、徳川宗家の御協力で歴代将軍直筆の絵画、幕末、外交文書に幕府が用いた銀印、教科書で習ったあの目安箱の鍵、天璋院篤姫の用だんす、皇女・和宮筆の和歌など貴重な展示物が目白押し。この機を逃せば世田谷では二度と見られないのではと思える豪華な企画展でしたが、区と同博物館との連携、協力はなく、私が訪ねた会場は人もまばらで、果たしてどれだけの区民がその開催を知っていただろうと残念でした。
また、区と区教委がかつて連名で発行してきたこのマップ、ページ数四〇ページに及ぶ厚手のリーフレット、歴史とアートに親しむせたがや文化マップには、それら民間の美術館、博物館、劇場、映画館、ギャラリー等の所在地が訪ねやすくマップに落とし込まれ、それぞれの住所、連絡先まで網羅的に紹介するページがありました。
しかし、同リーフレットの紙での発行が令和四年度で打ち切られ、その後、後継マップの公開がネット公開に移されると、歴史とアートに親しむの冠は外され、民間の美術館、博物館、劇場、ギャラリー等の網羅的な情報掲載も消滅、その内容は単なるお散歩マップとなっています。こうした経過を知るからこそ区に求めたいのは、実は区民に身近な民間の文化・芸術資産とその活動を積極的に区で把握し、区民に伝え、生かす連携の強化です。
その具体策として、まずは区内の民間の美術館、博物館等のイベント情報を含めたイベントカレンダーの作成、公開を求めますけれどもいかがでしょうか、区の見解を伺います。
◎渡邉 生活文化政策部長
最後に、区内の美術館、博物館等のイベントカレンダーの作成、公開についてでございます。
区では、第四期文化・芸術振興計画の将来像である誰もが文化・芸術を楽しめるまち世田谷、これの実現に向け、多様な手段による情報発信や文化芸術に触れ、親しむことができる機会を充実させることを計画に位置づけてございます。
具体的には、文化芸術に関する情報を集約し、発信する文化芸術ポータルサイトの開設に向けて現在準備を進めているとこでございます。区内には、五島美術館をはじめ様々な民間の美術館や博物館等、多彩な文化資源があるため、こうした施設の展覧会情報を集約し、文化芸術ポータルサイト、これで発信することで、区民がより気軽に文化芸術に触れる機会を得ることができるようになると考えてございます。
今後、まずは民間美術館等に区が作成するカレンダーへの掲載について御意見を伺い、御了承いただける施設から展覧会のイベントカレンダーを作成し、区のホームページ等で効果的に掲載できるよう検討してまいります。