2つ目の提案は、区内に点在する個性豊かな民間の美術館、博物館等と区との連携の強化です。

区の第4期 文化・芸術振興計画が掲げる「誰もが身近なところで文化・芸術に触れ、親しむことができる機会の充実」に、区内の民間の美術館・博物館がもつ多彩な文化資産、専門人材、変化に富む企画展示が果たせる役割は決して小さくないと思うのです。

ところが現実には、区とそれら施設との連携、協力は、わずかに世田谷美術館と五島美術館相互の企画展100円割引が目を引く程度。
区が区内に大学付属の文化施設、特に博物館、資料館が多くある強みを全く活かそうとしない現状を私は常々、残念に思っています。

例えば、区内の昭和女子大学が2020年、その創立100周年を記念し、同大学の光葉博物館で開いた特別展のメインタイトルは「徳川将軍家を訪ねて」。
なんと観覧無料にもかかわらず、徳川宗家のご協力で歴代将軍直筆の絵画、幕末、外交文書に用いられた銀印、教科書で習ったあの目安箱の鍵、 天璋院篤姫の用箪笥、皇女・和宮筆の和歌など貴重な展示物が目白押し。
この機を逃せば、世田谷では二度と見られないのでは?と思える豪華な企画展でしたが、区と同博物館との連携・協力はなく、私が訪ねた会場は人もまばらで、果たしてどれだけの区民がその開催を知っていただろう?と残念でした。

また、区と区教委が、かつて連名で発行してきた、このページ数、40頁に及ぶ厚手のリーフレット、「歴史とアートに親しむ せたがや文化マップ」には、それら民間の美術館、博物館、劇場、映画館、ギャラリー等の所在地が訪ねやすくマップに落とし込まれ、それぞれの住所、連絡先まで網羅的に紹介するページがありました。
しかし、同リーフレットの紙での発行が令和4年度で打ち切られ、その後継マップの公開がネット空間に移されると「歴史とアートに親しむ」のカンムリは外され、民間の美術館、博物館、劇場、ギャラリー等の網羅的な情報掲載も消滅。その内容は単なるお散歩マップへと退行しています。

こうした経過を知るからこそ、区に求めたいのは、実は区民に身近な民間の文化・芸術資産とその活動を積極的に区で把握し、区民に伝え、活かす連携の強化です。

その具体策として、まずは区内の民間の美術館、博物館等のイベント情報も含めたイベントカレンダーの作成、公開を求めますけれどもいかがでしょうか。区の見解を伺います。