◆上川あや
初めに、区と区教委、区の外郭団体がその事業協力者に掛けている保険から、事実婚、同性カップルへの補償が抜け落ちている課題について伺います。
区は二〇一五年十一月、全国に先駆け同性カップルを認めるパートナーシップ宣誓制度をスタート、二〇一八年四月には同性カップルへの差別を禁じる区条例を施行しています。以来、区は、私の議会提案に応じる形で、同性カップルへの権利保障を広げてきました。二〇二三年六月には、区の職員が公務災害等で死亡した場合、遺族に払われる死亡補償一時金について、また、その翌月には、区の要請に応じて水防活動や応急措置業務につき、死亡した区民等の遺族に支払われるについて補償一時金について、残された同性パートナーにも同額を支払う区の独自制度を立ち上げたのもその一例です。
ところが、私が区議会事務局の協力を得て調査を進めると、区や区教委、区の外郭団体がその事業協力者に掛けている保険では、事実婚や同性のパートナーに死亡保険金が支払われない事務が散見されると分かりました。
例えば、区がファミリー・サポート・センター事業の援助会員に掛けている保険では、男女の夫婦なら事実婚でも死亡保険金が出る一方で、同性パートナーとなるとゼロ円です。同じく、区教委が文化財ボランティアに掛けている保険に至っては、同性パートナーはむろん、事実婚の男女にすら死亡保険金はありません。公務につく区の職員の死亡には、区が独自制度を設けてでもその同性パートナーに遺族補償する一方で、区の事業に御協力くださる外部の方の死亡では、同性パートナー、事実婚に対し遺族補償がないなどという現状は全く道理に反し、差別的であるとすら感じます。今日、多くの保険会社が、配偶者に事実婚と同性パートナーを含め保険を販売しています。ぜひ区と区教委には全庁的にその保険契約を点検いただき、不足があれば均等処遇できる保険へと切り替える、また、それができない場合でも、区の職員同様、区で補償できる制度を整えていただくよう求め、区、区教委それぞれの見解を問います。
◎渡邉 生活文化政策部長
私からは三点、順次御答弁を申し上げます。
初めに、区が掛けている傷害保険についてでございます。
各所管課の事業におきまして、支援員、推進員や補助員等といった名称などで登録や委嘱等の形で御協力いただいている方々の万一の活動中の事故等に備え、各所管においては、それぞれ傷害保険等に加入しているところでございます。しかしながら、今回の調査によりまして、議員御指摘のとおり、加入中の一部の傷害保険では、受取人に事実婚や同性パートナーの方々が含まれていない、こういうことが分かりました。
これを踏まえまして、今後、区の各種事業で加入している傷害保険等について、まずは現状どういった種類や内容になっているのか調査を行い、加入している保険ごとに対応策を示し、全庁に対しまして、現状加入中の保険の点検とともに、受取人に不備があれば改善するよう徹底を図ってまいります。また、改善した結果についても集約を行い、漏れのないようにその把握に努めてまいります。
この全庁への対応によりまして、事業協力者のパートナーが事実婚や同性パートナーであることにより遺族補償がない、そういったことにならないように、改善に努めてまいります。
◎玉野 教育政策・生涯学習部長
私からは、事実婚と同性パートナーへの遺族補償への区教委の見解について御答弁申し上げます。
議員御指摘のとおり、今回の調査によりまして現在教育委員会事務局内の要綱においても、事業協力者のパートナーが事実及び同性パートナーだった場合に、傷害保険の遺族補償がされる場合、また、されない場合があるということが判明いたしました。区が掲げる世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の理念の下、教育委員会においても、事業協力者の事実婚のパートナーや、同性パートナーにも等しく遺族補償がされるよう、制度の整備が必要であると認識をしております。
区長部局が今後検討していく点検改善事務も踏まえ、条例の趣旨が教育委員会事務局の全事業に浸透するよう、要綱の整理及び保険の切替えなど、全庁を通して取り組む対策に適切に対応してまいります。以上でございます。