◆上川あや

初めに、政府がいまだ空襲被害者への補償を行っていないことについてです。

今月三月十日で東京大空襲から八十年、また、この夏、終戦から八十年を迎えます。
ところが政府は、いまだ自らが起こした戦争で犠牲を強いられた民間の戦争被害者に対し、原爆被爆者など一部を除いては救済の手だてを講じず謝罪一つしてきませんでした。他方で、補償や救済を求める立法運動はかねてよりあり、今の国会にも議連がありますが、政治情勢に翻弄され数十年、立法による救済もないままです。
また、現在の議連がまとめた法律案も、空襲等により障害を負った方だけを対象に一律五十万円の一時金を交付するといった内容で、家族を殺され、家、財産を失い、また、戦災孤児として生きてきたなど、被害の内容、状況も様々である中、本来あるべき救済にはほど遠く、それでも立法運動に関わる方々からは、終戦八十年の今年が立法においても最後のチャンスとの声が上がっています。

こうした国の無為無策と冷酷さに対し、区も無策のまま座視するべきではないと思っています。
既に名古屋市、岐阜市、浜松市などには空襲被害者見舞金があり、区も被爆者に対しては一九七五年から今年で五十年、見舞金を支給し続けています。ならば、空襲被害者らに対してもこの間の御労苦を慰め、また、救済の機運を高めるためにも見舞金を創設するなどの支援を求めます。区の御見解はいかがでしょうか。

◎田中 保健福祉政策部長

さきの大戦では、旧軍人軍属のみならず、民間人も甚大な被害を被っており、これらの戦傷病者や戦没者遺族等への援護については、戦傷病者戦没者遺族等援護法や、被爆者援護法に基づく援護等を国が中心となって実施しております。しかし、空襲被害者等の民間戦争傷害者などの方々については、被爆者を除いて国による援護行われておらず、今なお障害や後遺症に苦しみ、また、身寄りをなくしたことで過酷な人生を送らざるを得なかった方々がいらっしゃることは認識しております。
このような状況の中、一部の自治体では、空襲に起因する障害等がある方々に対して見舞金を支給しております。その決定に当たっては、身体障害者手帳や被爆者健康手帳の有無の確認等のほか、対象者が被災当時の状況を具体的に申し立てて、自治体が認定する仕組みになっております。
日本弁護士連合会の会長声明や、超党派の国会議員が、(仮称)特定戦災障害者等に対する特別給付金の支給に関する法律案要綱案を確定するなど、民間人被害者支援に向けた動きは見られるものの、現時点では法律も成立しておりません。
区は、戦後八十年という節目を迎える今年、戦争で傷つかれた方々が安心して過ごすことができるよう、専門家の意見を聞くなど支援の在り方など検討に着手してまいります。

◆上川あや

戦後八十年がたとうとしている今日も議員立法の成立はなく、また、国も自らその救済に一向に乗り出さない現状をどう見るのか、区長の御見解もお伺いします。

◎保坂 区長

さきの大戦で日本全国各地で空襲被害があり、多くの方が命を落とされ、あるいは相当大きなけがを負った状況が続いています。
部長答弁にもありましたが、日弁連や超党派の国会議員の動きはありますが、議員立法の長年の訴えがいまだ実っていない大変残念な状況でございます。
今年は戦後八十年の節目であります平和都市世田谷として、先行する他自治体の取組の詳細を参考にしつつ、どのように支援できるのか、また配慮するのがいいのか、具体的な検討に着手してまいります。

◆上川あや

ぜひお願いいたします。