障害者手帳の交付が受けられず、公的支援は何もない片目の視力を失った方々に、義眼の購入費助成等できないでしょうか?——とのテーマで伺います。
病気や事故で片方の目を失明しても、もう一方の視力が0.7以上あれば障害者認定はされず、公的支援もありません。
片目の失明は、国交省所管の自賠責の後遺障害等級でも8級に該当し、後遺障害により将来にわたり生じる収入の減、逸失利益も45%あるとされ、警察官や消防士、鉄道の運転手にもなれず、運転免許の取得にも一部制約がありますが、障害等級の上では健常者。このため一切の公的支援から取り残されてきた現状は大変、理不尽です。
片目の失明者には義眼を使用している方々も多くいます。
その使用の必要性は、当事者へのアンケート調査からも明らかです。
当事者の皆さん方が結成したNPO片目失明者 友の会が、その会員208名に行ったアンケートによると、片目が見えないことで、いじめや差別を受けた体験者は6割以上。その内容のトップは「容姿をからかわれたこと」であり、義眼の有用性、必要性は明白であるとともに切実です。
特に幼児期には、義眼の使用により、発達過程で生じる顔の左右差を防ぐことが期待できることからも義眼の装用は重要です。
しかし義眼に健康保険が適用されるのは眼球を全摘出した場合のみ。ところが実際は、失明しても医師の判断で眼球が残されるケースは多く、眼球が一部でも残っていれば眼球に被せるタイプの義眼は美容目的とされ、全額自己負担を強いられます。
また義眼は、一人ひとりの瞳の色や眼のかたち、大きさに合わせて作られるオーダーメイドで、作製費用は15万円前後と高いうえ、耐用年数はわずか2年です。
加えて見えない目は萎縮することからも繰り返し作る必要が出てきます。
このため特にその経済的ご負担が重くなるのは幼児期で、その成長に合わせ2~3カ月ごとに義眼を更新する必要があるため、ご家族の負担は甚大です。
そこでまず伺いますが、片目失明者にとっての義眼の必要性、またそれを更新しつづけることで生じるご負担を、区ではどのようにお考えになりますか?
区ではおととし10月から、がんの治療に伴い脱毛や乳房の切除をされた方々等がウィッグ・胸部補整具等を用いてアピアランス、つまり外見の補完をすることを支援するために、そのレンタル・購入費用に助成する、アピアランス支援事業を始めており、その補助の上限額は10万円となっています。
こうした区の事業と比べても片目失明者の方々の義眼購入費に補助することには、十分、合理性と必要性があると考え、その制度化を求めるものですが、区のご見解はいかがでしょう?