◆上川あや

本日はまず、消防団員が公務で死亡した際、遺族に支払われる弔慰金を同性カップルにも均等、平等に支払えないかというテーマで伺います。

東日本大震災で被災した東北三県で、津波などで死亡、行方不明となった消防団員は二百五十四名に上ると記録されています。このうち、公務災害等の認定がなされ殉職した消防団員は、平成二十四年二月二十九日時点で百九十七名に上ります。まさに命をかけ、郷土を守る最前線で消防団員の方々が亡くなったとき、それまで支えあい、暮らしてきた遺族のパートナーが異性か、同性かでその救済内容に雲泥の差が開く現状は極めて理不尽だと感じています。

こうした消防団員の公務災害死に対し、遺族を慰め支える制度として、現状二つの制度が知られています。
一つは、消防団員等公務災害補償等共済基金が市町村にその原資を支払う公務災害補償で、二十三区の場合、その事務を担うのは東京都の役割です。
もう一つは、消防団員等福祉共済から支払われる弔慰金及び援護金支給です。つまり救済手段は二重に準備されている。
ところが、事実婚の男女なら、今挙げた二つの制度で遺族の筆頭者として認められ、それぞれから救済を受けられるのに対し、同性パートナーはいずれの制度からも遺族として認められず、公務災害補償も弔慰金支給も何もない。私はそう理解しておりますが、区の御見解はいかがでしょうか。

◎河野 災害対策課長

委員御指摘のとおり、消防団員等公務災害補償等共済基金及び消防団員等福祉共済制度における遺族援護金や弔慰金等の受取人は、配偶者や子、父母など戸籍上登録のある方及び婚姻の届出を出していないが、加入者の死亡当時、事実上、婚姻関係と同様の事情にあった方が対象となります。法及び約款で規定する補償の受取人に事実婚の男女は含みますが、同性パートナーの方は含まれておりません。

◆上川あや

パートナーが同性では、いずれの制度からも等しい扱いは受けられず、排除されていると確認ができました。
続けて、さきに挙げた二つの救済手段の後者、消防団員等福祉共済の掛金、一人年間三千円を全額負担しているのは世田谷区だと理解していますが、その理解でよいでしょうか。

◎河野 災害対策課長

区では、優良消防団員の確保と消防業務の安全な遂行に寄与することを目的として、消防団等福祉共済制度に要する掛金の補助を実施しております。委員御説明のとおり、四月一日時点で加入された場合、一人当たりの掛金が年間三千円となっており、以降加入月に応じた掛金を区が全額負担しております。

◆上川あや

区がその掛金を全額負担している共済は、同性パートナーを遺族として扱わず、二千三百万円に上る弔慰金、百万円の遺族援護金等の支給対象からも排除しておりますが、このままでよいとは思えません。
区は私の呼びかけに応え、現状の水防法や災害対策基本法の解釈では遺族として認められることのない同性パートナーに対しても、区の要請で水防活動あるいは震災時等の応急措置業務に就き、亡くなられた方が出た場合、独自に遺族補償一時金を区単独で同額出す制度をおととし七月、スタートさせてくださいました。ならば、この町の安全のために日頃から鍛錬を重ね、いざとなればリスクの最前線に立たれる消防団員の皆さんへの補償をよりよいものとするために、消防団員に対しても同様の対処は図れるはずで、区には速やかな善処を求めるものですが、お考えはいかがでしょうか。

◎河野 災害対策課長

本共済制度は、消防団員の方が安心して消防・防災活動を行うために非常に重要であると考えておりまして、その考えの下、区として掛金を補助しているものです。
区ではこれまで、災害弔慰金や水防または応急措置の業務に従事した方への死亡補償一時金の支給、区職員の公務災害に関する補償制度等、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の理念に基づいた区独自の同性パートナーの方に対する補償制度を整備してまいりました。
発災時、災害現場の最前線で活動いただく消防団員の方々は常にリスクと隣り合わせの状況にある中で、少しでも安心して消防・防災活動ができるよう、団員の同性パートナーの方が配偶者と同等の補償を受けられる区独自の補償制度について、過去の事例を参考に検討を進めてまいります。
なお、本共済制度における東日本大震災の際には、被害を受けられた消防団員が多く、共済の原資が不足し、補償額が減額されたという事例があったことなどを踏まえますと、現時点では原資の状態により補償額が変動する制度であると認識しております。仮に本共済制度から補償を行う事案が起こった場合、同性パートナーの方への補償も、その時点の共済の補償額に倣うことになろうかと思いますが、まずは被害に遭われた方の御遺族が適切に補償を受けられるよう引き続き検討を進めてまいります。

◆上川あや

ぜひよろしくお願いいたします。