◆上川あや

産後の女性が安心して搾乳し、その母乳を赤ちゃんに届けられる環境づくりについて伺います。

産後の女性の中には、赤ちゃんが十人に一人の低出生体重児であるため入院していたり、産後早期に復職したなど様々な理由から、赤ちゃんとは離れ、自分で母乳を搾る搾乳を必要とするケースが少なくありません。
授乳期は母乳で胸が張ってくるため、一人でも定期的に搾る必要が出てきます。母乳が排出されずたまると、胸が硬くなり痛む。乳腺炎になり、インフルエンザのような高熱や悪寒、倦怠感が生じることもある。搾乳間隔を空けると母乳も減り、母乳育児の継続に差し支えるおそれも出てきます。他方で、体重二千五百グラム未満の低出生体重児には母乳を与えることが推奨されており、母乳を入院先に届けるため、数時間置きに搾乳する必要が出てきます。
加えて、厚労省の最新の乳幼児栄養調査によれば、妊娠中、母乳で育てたいと答えた割合は、「ぜひ」と「できれば」の合計で九三・四%と圧倒的で、母乳育児と復職とを両立させたいママさん方も多いのです。ところが、こうしたママさんが一歩家を出ると、気兼ねなく衛生的に搾乳できる場の確保は容易ではありません。

まず、検証の手始めにこの区役所から見てみましょう。昨年竣工した東棟、西棟のそれぞれに二か所の授乳室がありますが、その名称はずばり授乳室。ママさん一人の来庁で気安く利用できる御案内表記ではありません。実際、ママさん一人の搾乳では、不審な目で見られたり、ここ授乳室ですよと声をかけられ、嫌な思いをした方々もいるのだといいます。

こうした状況の改善を目指し、神奈川県では昨年、子育てNPOとともに、授乳室で搾乳もできることを知らせるシンボルマークを策定。県施設への貼付を始め、県内事業所にもその活用を呼びかけています。
一方、区の施設には、今挙げた授乳室含め、あかちゃんスペースが二百二十か所ありますが、そこでも搾乳に御利用いただけると分かる案内表記はないままです。

そこで第一に求めるのが区の施設の改善です。
まず、今述べたあかちゃんスペース二百二十か所でも搾乳してよいかの確認を区に求めます。
その上で、搾乳がオーケーなら、そうと分かる名称変更、例えば授乳室、搾乳室の併記ですとかミルクルームへの変更、神奈川県同様、一目で搾乳歓迎と分かるシンボルマークの策定、貼付など、改善策の展開を求めますけれども、いかがでしょうか。

◎松本 子ども・若者部長

私からは二点御答弁いたします。

初めに、あかちゃんスペースでの搾乳についてです。
区では、乳児と保護者が安心して外出していただけるよう、区の電子地図情報サービス、せたがやiMapにて、あかちゃんスペースとして、授乳やおむつ替え設備等の設置状況について情報提供を行っております。
二百二十か所のあかちゃんスペースでは、スペースが確保できない、また、カーテンや目隠しを設置できない等の理由で、粉ミルク用のお湯のみを提供している施設も一部ございますが、こうした施設を除き、搾乳していただくことに問題はございません。
議員御指摘のとおり、搾乳をしないことで胸の痛みや乳腺炎になる等の健康への影響が生じることもあるため、授乳期には定期的な搾乳の必要があります。搾乳での利用を希望した方がちゅうちょなく利用できるよう、各施設に対し、搾乳スペースとしての利用が可能となっているかを改めて調査し、搾乳スペースの案内を追加掲載してまいります。

次に、あかちゃんスペースのマークや名称の改善についてです。
現在のあかちゃんスペースのシールは、平成二十五年四月の要綱施行時に作成したものですが、当時、授乳専用のスペースがない施設も多くあったことから、職員に気軽に声をかけていただきやすいようなデザインとしておりました。
以降、デザインの変更をしておりませんでしたが、毎年情報の更新を行っておりますので、この機会を捉え、必要とされている方が搾乳のために気兼ねなくお使いいただけるよう、早急にデザインを見直すとともに、分かりやすい表示となるよう改善してまいります。
また、赤ちゃんを同伴していない場合でも、必要な方の御利用がより進むよう、今後、地域の子育て支援団体等とも意見交換等を行い、あかちゃんスペースの名称も含め検討してまいります。以上です。