◆上川あや
続きまして、がんの発症原因、アスベストを含む民間建築物の把握についてです。
国は過去の震災で被災建物のアスベストが飛散した教訓から、二〇〇五年から二〇〇八年にかけ、三度にわたり延べ床面積一千平米以上の民間建築物について、吹きつけアスベストの有無とその状況報告を自治体に求めましたが、区が当時調査を終えていたのは四十四棟だけ、その十倍以上、四百六十一棟は未回答のままに放置されておりました。
二〇一六年十一月、以上の申し上げたデータを御紹介した私より、区は毎年追跡調査をするべきではないかと求めたところ、調査は進んだはずなんですが、どこまでいったでしょうか、お答えいただけますでしょうか。
◎高橋 建築調整課長
区は国からの依頼に基づき、室内または屋外に露出してアスベストの吹きつけがなされている延べ面積千平米以上の民間建築物における吹きつけアスベストの状況について把握し、台帳の整備に取り組んできました。
本年六月までの状況は、調査対象建築物千五百九十九件のうち、報告済みの建築物は累計で千四百五十八件、回答率九一・一%となっています。前年度に比べて一・一%の向上でございます。
引き続き、吹きつけアスベストの状況把握に努めるとともに、関係所管と情報共有を図り、建築物の所有者等の適切な対応を促すように正確な情報提供と周知啓発に努めてまいります。
◆上川あや
一千平米以上の大規模建築物については九割方把握がされたということで安心いたしました。
他方で、国ではその後、行政評価の結果、平常時からのアスベスト使用建築物の所在情報の収集等、災害時に備え準備を行っている自治体は一部にすぎないとしまして、二〇一六年五月、新たな勧告を出しました。そこでは、一千平米未満の建築物であっても優先順位づけを行い、順次、当該使用の実態を把握し、その結果に基づきアスベスト台帳の整備を進める必要があると明記をし、一千平米未満の小規模建築物まで含めた台帳整備を掲げました。国が同勧告に先立って行った事前の調査からは、当時既にさいたま市、新宿区、横浜市、川崎市などが、その面積を問わず全民間建築物の台帳整備に乗り出していたことが確認をされました。
こうした先例も参考に、世田谷区もしっかり台帳整備をお願いしたいんですが、いかがでしょう。
◎高橋 建築調整課長
御指摘の延べ面積千平米未満の民間建築物については、対象となる建築物の数が膨大であるため、建築物の棟ごとにアスベストの使用実態について把握する方法が課題であるとされています。
国の調査マニュアルでは、調査の効率化を図るためには、対象建築物に優先順位をつけることが必要不可欠であるとし、そのためには調査対象建築物をリストアップするための建築物の概要を整理した台帳と調査結果を入力した台帳を整備し、データベース化する必要があり、そのための手順が示されております。
区としましては、効率的に調査を進めるためには、基本となる台帳整備が必要と認識しており、千平米未満の規模についても調査マニュアルを参考に、まずは調査対象となる建築物に関わる基本情報に関する台帳整備に着手してまいります。
◆上川あや
終わります。