区の「指定管理者制度運用に係るガイドライン」について伺います。
おととし11月の4定で、区立施設の管理、運営に当たる指定管理者の職員についても、性の多様性に応じた処遇の平等やハラスメント禁止を徹底させるよう区に求めました。
区の多様性尊重条例は第7条で性自認、性的指向、同性カップルへの差別を禁止し、 第6条で(事業者の責務)を定めています。
同責務で求められる内容を区のホームページは次のように書いています。
「事業者の皆さんには、働く全ての人がそのライフスタイルに応じて多様な生き方を選択できるよう、募集、採用及び昇進など、あらゆる場面で性別や性自認、性的指向、国籍、民族の違いによる不当な取扱いがないよう配慮し、事実上生じている不当な取扱いについても積極的に改善するようお願いします」 引用は以上です。
ところが、一昨年11月の私の議会質問をきっかけに、区が初めて指定管理者のLGBTQ対応を調べると、区の外郭団体を除く31事業者のうち、職員の人事、給与、福利厚生制度の一部にでも、同性パートナーを含む事業者は3つだけ。性的指向や性自認へのハラスメント禁止規定を整備した事業者も5つのみでした。
つまり区の選定事業者のほとんどが区条例の責務を忠実に守ってなどいないのです。
その是正を求める私の2度の議会質問を受け、区は本年3月「指定管理者制度運用に係るガイドライン」の改訂で、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」に基づく指定管理者への依頼について」と題する留意事項を加えました。
その意図を区のホームページは次のように書いています。
「本条例に基づき、指定管理者に対して、同性パートナーを含めた職員の処遇の平等や、性的指向に係るハラスメントの禁止等の遵守を求めることを記載しました。」
以上の説明に誤りはないですか?
今回の改訂で、今後は区の指定管理者が管理する区立施設においても、職員処遇の平等や、ソジハラスメントの禁止規定の整備が定着するのでは?——と一見、期待を抱かせる変更ですが、実態として、そのような効力はありません。
それが証拠に、同ガイドラインの改訂後、指定管理者の選定作業が始まった、梅丘図書館、ひだまり友遊会館および区立保健医療福祉総合プラザの指定管理者の選定でも、実際に区が選んだ各事業者に、同性パートナーに対する人事、給与、福利厚生制度の平等はなく、また、性的指向、性自認へのハラスメント禁止規定の整備もないと承知しています。
以上の指摘に誤りはないですか?
規定を整備してまで、同性カップルの職員に処遇の平等を担保する必要はないし、各種ハラスメント禁止規定の整備でも、LGBTへのハラスメントは書くまでもなく、許容される。
何らルールに基づかないアンオフィシャルな対応でも、時の担当者の出たとこ勝負でいいではないか?、とそういうことですか?
当然です。今のお答えからも、今回の改定がいかに実効性のない、小手先の対処であるかが解かろうというものです。
今回の改訂で何が問題かといえば、先に挙げた職員処遇の平等とハラスメントの禁止を「留意事項」として求める一方で、区は一向に評価も点検もしないのです。
つまり事業者に「お願いだけはしましたよ」と下駄を預け、自らはその結果について点検せず、何ら責任を取らない。こんないい加減な対応があるでしょうか?
この対処のどこに実効性があるのですか?
おっしゃるようにその効果は極めて限定的。区条例に定める事業者の責務への対応とはなっていないと見るべきです。
そこで以下、具体的な改善策の実行を3点求めます。
第1に、「指定管理者の選定基準」に「障害者対応」同様、LGBTQ対応の要素を入れ、きちんと対処する事業者と、そうでない事業者との間に点差をつけること。
第2に、区が指定管理者に毎年提出を求めている「自己評価シート」にも、障害者対応同様、同項目を入れ、必要な体制整備への自覚を促し、改善への努力を求めること。
第3に、区の所管課が毎年作成する「区の評価シート」にも同項目を入れ点検し、改善を促すとともに、モニタリングを継続的に図り、条例遵守を目指すこと。
以上の3点の提案について区の見解はいかですか?
実効性を伴わない、おためごかしの留意事項を、ぜひ実効性を伴う対応へと早期に改めて下さい。
また、本日取り上げた課題は、政経部だけが答弁すれば良い問題ではなく、指定管理者制度を利用する全ての所管部こそが関心をもち、フェアな対応を心がけていただかなければならないと考えます。
ぜひ自身の所管部のこととして捉え、取り組んでいただくよう求め、私の質疑を終わります。