◆上川あや

次に、加齢に伴う難聴者の急増に合わせた窓口対応の改善策です。

先日、聞こえに障害のある聾の性的マイノリティーを支援する当事者団体、ろうLGBTQ+連盟の設立パーティーに参加したときのこと、手話のできない私のアシストについてくださった読唇術のできる聾当事者の方から、聾、難聴者とのコミュニケーションツールに使えそうな音声文字化ソフトはいろいろあるけれども、使うならばこれがいいですよと教えられたのが、YYProbeというソフトです。

開発したのは、グループ全体の従業員数十二万人を超える大手自動車部品メーカーで、当初は会議などでの発言を文字化し、蓄積、分析することで従業員の知識や技術を可視化することを狙い自社開発をしたところ、二百人もの聴覚障害者が共に働く職場環境から、聴覚に障害のある人とない人とを結ぶコミュニケーション支援ツールとして採用されて日々進化。現在では社会に開かれたツールとして一般公開され、その無料版には時間制限はあるものの、二十五万ダウンロードと、今注目のアプリとなっています。
驚くのは、ほぼリアルタイムと言っていいその処理速度の速さと文字変換の正確さです。加えて、日本語、英語、中国語、ポルトガル語へのリアルタイム翻訳まで可能です。現在、その有用性への期待から、障害者、高齢者と職員とを結ぶコミュニケーションツールとして、愛知県岡崎市や山口県阿武町など十二の自治体が実証実験に入っており、新たに六つの自治体で実験を予定していると伺っています。

令和四年度に実施した区の高齢者ニーズ調査によれば、区内の六十五歳以上高齢者で聞こえに問題がないとした回答は五割にすぎません。当区においても、これら加齢性難聴者等に対応できるコミュニケーション支援ツールを窓口等に持つことは、区民にとっても、また職員にとっても優しくかつ効率的な事務改善につながるものと考えます。この実証実験及び導入に、さしてコストがかからないことは、区に情報提供したとおりです。私と同様、自身のスマホにアプリをダウンロードした区幹部皆さんの御感想はいかがでしょうか。また、当区も実証実験に入るよう提案いたします。それぞれ区の見解を問います。

◎菅井 DX推進担当部長

私からは、窓口対応ツールとしての音声認識アプリについて御答弁いたします。

お話しのリアルタイム音声認識アプリにつきましては、会話のスピードにほぼ追随できる速度で文字変換して表示し、変換の精度も高く、外国語の翻訳にも対応するなど、窓口でのコミュニケーション支援に有用な機能を有していると認識しています。
このアプリは既に複数の自治体で実証実験が進められており、加齢等により聞こえに支障のある高齢者等への御対応に効果を上げていると伺っております。区の窓口で取り扱う業務は多岐にわたり、日々来庁される方々の状況やニーズも様々であることから、こうした音声認識アプリの活用がどの窓口に適しているかなど、先行自治体の事例等を参考にしながら、関係所管と連携いたしまして、実証実験の実施も含めて今後検討してまいります。以上です。