◆上川あや

次に、区が公的に行ってきた遺族補償から同性パートナーへの補償が抜け落ちてきたことについて伺います。

まず、河川の増水時等に区の依頼を受け、水防活動に従事してくださる地域住民の方々、また、同じく災害時、区の依頼を受け応急措置に就いてくださる住民等の方々が亡くなった場合の遺族補償についてです。これらについては、区条例、水防又は応急措置の業務に従事した者の損害補償に関する条例に基づきカバーをされ、男女の事実婚なら補償対象となり、遺族補償一時金や遺族補償年金が支払われる一方で、同性パートナーは対象外、何ら補償もなく放置をされています。
同じく、区立学校の健診事業等に御協力をいただく地域の医療者の皆さん、学校医、学校歯科医、学校薬剤師の公務災害補償でも、男女の事実婚なら遺族補償の対象となる一方で、同性パートナーは対象外、ここでも遺族補償の一時金、年金ともに支払わない不平等が放置をされています。

区は、二〇一五年十一月、全国に先駆け、同性パートナーシップ宣誓制度を始めた際、区長と副区長が私の要請を入れ、区内二つずつある医師会と不動産関係団体のそれぞれに、制度の周知と、同性パートナーも家族として受け入れるようにとの要請をしてくださいました。加えて、昨年十一月の世田谷区病院長会においても、区から各病院長に対し、病状説明や面会、手術同意等において同性カップルを法的な婚姻関係にある親族と同様に受け入れるよう依頼をしてくださったはずです。

ところが、さきに述べたとおり、区立学校の事業に協力する学校医、学校歯科医、学校薬剤師の公務災害補償では、同性パートナーは遺族として扱われずに補償の対象外となっています。区が区内医療者に対し求めてきたことと自らがしていることが違うのです。区の男女共同参画と多文化共生の条例では、同性カップルに対する差別は禁止です。区は、率先して、これら遺族補償についても、平等性を担保する責任があるはずです。

新型コロナに罹患し死亡した国保加入者の傷病手当金の遺族支給に関しては、区は私の求めに応じ、この二月から同性パートナーに対する遺族支給を同額とする新制度を施行しております。区内で水防活動等に従事する方や、学校医等の遺族補償に関しても、国の法律に基づく遺族補償とはまた別に、区の独自制度を立ち上げることで、同性パートナーにも平等の遺族補償を担保していく必要があると考えます。

そこで伺います。
初めに、法務を所管する総務部長に伺います。法技術的には、今申し上げたような区の独自制度の構築で国による上位法の改正や法解釈の変更を待たずとも、実質的な平等を担保することはできると考えますが、いかがでしょうか。
その上で、危機管理部と教育委員会に伺います。水防活動の従事者、学校医等の遺族補償で現状の同性カップル排除を改めていく取組にぜひ前向きなお約束をいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。それぞれ見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。

◎池田 総務部長

私からは、法令と区独自の施策の関係について御答弁いたします。

区は、地方自治体として法令に反しない範囲において様々な区民サービスを独自に行うことが可能であると考えております。水防業務に従事した地域住民の方が亡くなった場合や学校医の方が公務により亡くなった場合などにおいて、亡くなった方の同性パートナーの方は、法制度により遺族補償の対象となっておりませんが、亡くなられた方の同性パートナーを対象に区が何らかの給付制度を独自に設けることは、既存の法制度と矛盾するものではなく、法制度を補完するものとして可能であると認識しております。引き続き、関係所管による制度の検討を支援してまいりたいと考えております。

◎菅井 危機管理部長

私からは、同性パートナーに対する水防等に従事した際の損害補償について御答弁申し上げます。

区は、水防法等の法令に基づきまして、水防又は応急措置の業務に従事した者の損害補償に関する条例を定めております。本条例では、水防等に従事した者が業務中にけがをした場合の療養補償や休業補償等のほか、亡くなられた場合の遺族補償及び葬祭補償を規定しております。支給対象者は、法令により、本人のほか、配偶者、子、父母などと定められており、同性パートナーは含まれておりません。
区といたしましては、性的マイノリティーも差別しない世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の趣旨に基づきまして、同性パートナーへの損害補償に向けた課題の整理を進める必要があると考えております。今後は、関係所管と連携いたしまして、区独自の制度策定について鋭意検討してまいります。

◎知久 教育総務部長

私からは、学校医等の公務災害補償についてお答えいたします。

教育委員会では、学校保健安全法に基づき、区立小中学校へ学校医及び学校歯科医、学校薬剤師約三百三十名の方々を配置しております。主な業務は、定期健康診断への従事や学校保健委員会への参加などで、月一日程度勤務していただいております。学校医等の公務災害補償につきましては、学校への往復路で交通事故に遭った場合や業務中に怪我をした場合などに、療養補償や休業補償などのほか、亡くなられた場合の遺族補償がございます。これらの補償は、法令により補償の範囲や金額、支給対象が定められておりますが、現行の法制度では、遺族補償の支給対象は、配偶者、子、父母などで、同性パートナーは含まれておりません。教育委員会といたしましても、関係所管と連携して課題の整理を行い、同性パートナーを支給対象とした独自の補償制度の構築に向けて検討してまいります。

◆上川あや

それぞれいただきました御答弁、改めるべきところは改めるという誠意が感じられまして、その点では感謝申し上げます。
保健所の対応も非常に多忙を極められているということは一方で存じているんですが、またその一方で、誠実さが求められる業務はたくさんあると思います。ぜひ、いただいた御答弁、有言実行でよい事務、サービスを提供していただくように改めてお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。