◆上川あや
区の新年度予算全てに賛成する立場から意見を申し上げます。
コロナ禍の下、忘れてほしくない三点を述べます。
第一に望むのは、平等取扱いの確保こそ、行政の基本原則であるということです。
区は、全国に先駆け、民族、国籍、性的指向、性自認で不当な差別的取扱いを行わない区条例を施行しましたが、各所管の事務点検はおざなりだと感じています。今定例会でも、事実婚や同性パートナーに死亡保険金が支払われない社協のボランティア保険や、議会での指摘から一年半を経ても改善がない災害弔慰金等の平等を問いましたが、一々議会で指摘しなければ、見直しがないのはなぜなのでしょうか。
区は、区内事業者に対しては事業活動における差別の解消と平等の確保を求めているのですから、率先垂範を求めます。次に、コロナ禍の緊縮財政にあっても、最も苦しい立場の区民に手を差し伸べる姿勢を忘れないでほしいということです。
保健福祉領域の質疑では、介護保険が使えない若年がん患者の在宅ターミナルケアに支援を求めました。区は四年前、私の質問に重要課題と受け止め、検討を継続していく旨、答弁しましたが、以来一度もがん対策推進委員会でも議論がなかった不作為を問いました。
対象となるAYA世代のがんによる死亡者は、令和元年度で八名です。決して財政を圧迫するレベルにはない一方で、全ての介護を自費で抱え込む御家族の負担は苛酷です。支援策の検討を急ぐよう改めて求めます。最後に、目先のコストにとらわれるあまり、区本来の責任を放棄し、より大きな税外収入を失う愚かさについてです。
都市整備領域の質疑で指摘したとおり、区が管理責任者である区道上には約六千三百件もの未届け、無許可の突き出し看板等があると分かっています。しかし、所管部は、区道の管理指導の最大の根拠となる実測調査の経費九百十万円の予算要求を取り下げました。その一方で区は、正直に区に道路占用許可申請を出し、設置の許可を得た突き出し看板等、二百七十八件に対してのみ、定期的な安全点検義務を課し、毎年千五百万円以上の道路占用料を徴収しています。違法な設置者ばかりが得と楽をして、正直者がばかを見る義務とはこのことです。
区の管理責任の放棄は明らかであり、調査経費を大きく上回る占用料収入をみすみす逃す判断も愚行です。この点でも再考を改めて求め、私の意見といたします。