★差別被害等への相談対応規定が整備されました。
区の多様性尊重条例の「苦情処理制度」では、①苦情、②意見、③相談の3つを受けつけるのに、差別被害などに対処する「相談」には、実務の規定もフローチャート図もありません。
条例の実効化を求めて上川が批判。区はそれぞれを整備しました。
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◆上川あや
私からは、男女共同参画と多文化共生を推進する条例の苦情処理制度にある問題点を取り上げます。
まず一つ目の問題点です。同条例の施行規則には、重大な問題点があると考えております。同条例の施行規則第七条は、苦情の申し立て等の手続を定めています。その第一項は、条例十一条第一項に規定する苦情、意見、相談の三点セット、それぞれについて届け出の書式を定めております。ところが、それに続く第二項のその処理に係る規定では、苦情と意見、この二つについてのみ処理方法を規定し、相談については何ら規定がない。おかしいと思うんですね。
区は、一年前の予算質疑でこの相談の処理、主には民民の差別の御相談等について、私に次のように答弁をしております。
委員御指摘のとおり、性の多様性や文化的違いに起因する不当な差別を受けることがないよう支援することは、条例第八条の区の基本的施策に掲げる性の多様性に起因する日常生活の支障を取り除く支援並びに国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる偏見または不当な差別の解消に該当いたしますので、施策上具体的な支援が必要と判断された場合には、苦情処理委員会の諮問も含めて対応するものです。
ところが、これに対応する規定が一切ないとしております。きちんと処理をする規定に改めるよう求めますけれども、いかがでしょうか。
◎小野 人権・男女共同参画担当課
条例施行規則第七条第一項では区への手続を規定し、第二項では処理後の結果通知を規定しております。第二号における相談については、制度設定当初、受けた後、検討し結果を出すという一方通行的な解決方法ではなく、相談者とともに考え、対話を繰り返しながら解決を図っていくものと考え、処理終了後について、苦情、相談のように規則に書面回答を規定しておりませんでした。性別や国籍、民族等の違いによる人権侵害、差別などに関し、区民から御相談があった場合、区は丁寧にお話をお聞きし、差別的発言や人権侵害に当たるような行為をした方に対しては、区から条例の趣旨をお伝えし、男女共同参画や多文化共生の意義、人権尊重の重要性を御理解いただくように取り組むこととしております。それでもなお民民による当事者間の解決が難しい困り事については、東京法務局人権相談などの専門相談機関にも御紹介をしております。
苦情処理の運用を開始して二年近くが経過した現在、相談についてはさまざまなものが想定されることが見えてまいりましたので、処理結果通知による回答が必要な場合もあるかと考えております。相談に関する対応、回答方法につきましては、世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会、世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会とも相談の上、御指摘の条例施行規則の見直しも含め、その改善を検討してまいります。
◆上川あや
第二の問題は、同じく御相談の処理についてはフローチャートの検討もないことです。
先日開かれた同条例の審議会を傍聴しましたところ、前出の苦情、意見、相談の処理にかかわる苦情処理委員会でどう苦情等を処理するのか、事務の改善案が示されました。そこで示された資料では、原則として受け付けた苦情等は全て苦情処理委員会に意見を聞くと記され、事務のフローチャート図も示されましたが、同審議会の終了後、区の担当者に相談についても苦情処理委員会に原則かけるのですかと問いますと、相談については別だというお話です。つまり、ここでも区は苦情と意見、この二つについてのみフローチャートを備え、事務の流れを明確化し改善をしたいと申している一方で、相談への対処については全く無視をしております。差別事案への対応は迅速性が求められることから、私も常に苦情処理委員会にかけることがベストだとは考えませんが、条例規定に基づき正式に相談書の提出を受け付ける以上、審議会や苦情処理委員会にも、都度その報告があってしかるべきですし、区民に対しても、その処理の経過や結果、区の考え方が示されるべきだと考えます。
相談対応についても、フローチャートの作成を含め事務をしっかり整えるよう求めますけれども、いかがですか。
◎小野 人権・男女共同参画担当課
現在、区のホームページでは男女共同参画・多文化共生に関する苦情、意見の申し立て、相談の受け付け、苦情処理委員会の役割、苦情処理の流れなどを御案内しております。平成三十年四月に苦情処理制度を開始してからこれまで二件の申し立てがございました。いずれも申し立て受け付けから結果をお知らせするまでに数カ月の期間を要したため、委員より進捗状況がわからないとの御指摘をいただいたことから、昨年八月には標準処理期間を五カ月と定め、御案内をしたところでございます。
現在、申し立ての対応経過の見える化について検討を進めているところで、条例に基づく審議会に諮りました改善案とフローチャートは苦情、意見を中心とした基本パターンでお示ししたものでございました。今後、委員御指摘の意見への対応につきましても、フローチャートをつくっていくべきものと考えております。
さらに、審議会での意見、また区の保健福祉サービス苦情審査会の流れなどを参考に、性別等や国籍、民族の違いに起因する差別的取り扱い等で困っている区民の方の相談につながるよう、区のホームページを含め、広報の仕方を改善してまいります。
◆上川あや
最後に、同条例に基づき苦情の申し立てをした区民としての私の経験を通して問題だと思うのは、苦情処理の流れが余りにも不透明だという点です。
私が苦情を申し立てたのは、区が同性をパートナーとする区の職員の休暇制度の平等を何年たっても改善しないことについてでしたが、同内容で同じ日に苦情の申し立てがなされた豊島区では、同区の苦情処理委員会による審議の過程が三回にわたり、会議の開催日時、会議の配付資料、出席者名全員、同日の会議録に至るまで逐次ウエブ公開をされておりました。これらを全てブラックボックスにおさめて処理をした世田谷区の対応に落胆いたしましたが、この点も改善をお願いしたいと思います。いかがでしょう。
◎小野 人権・男女共同参画担当課
区の苦情処理状況につきましては、世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会への報告をするとともに、年度末には区のホームページで公開をしております。具体的には、申し立ての概要、事前ヒアリング内容、また処理結果として、申し立て等主訴に対する苦情処理委員会の答申と区の改善策などを掲載しております。
お話しいただきました豊島区の例を参考にいたしまして、今後は苦情や意見等が施策に反映するよう、区民が利用しやすい仕組みづくりを進めてまいります。
◆上川あや
透明性を確保するということですね。
◎小野 人権・男女共同参画担当課
そのようにしていきたいと考えております。
◆上川あや
しっかりお願いいたします。