◆上川あや
初めに、同性をパートナーとする区職員、教職員の休暇制度の平等を求めて伺います。
区は、平成二十五年九月に条例化した基本構想で、性的マイノリティーであることで差別されないことを明文化しています。昨年成立した世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例でも明確に性的指向と性自認を理由とした差別を何人たりともしてはならないと禁止をしています。
ところが、区と区教委の職員間において、いまだに明確な制度上の差別が残されています。
それは今回取り上げる課題、職員の休暇制度からの同性カップルの排除です。区は、同性をパートナーとする職員等の休暇制度を異性のパートナーと同等にするよう求めた私の平成二十八年第四回定例会の一般質問に対し、職員の福利厚生面における同性愛者等、性的マイノリティーの皆さんに対して差別等があってはならないとの基本認識を示し、職員の休暇制度についても、なるべく速やかにそういう権利保障の実現という視点でバランスよく実現を図ってまいりたいと答弁しましたが、以来、二年半たつ今も何ら改善はないままです。
区は、平成二十九年九月、前出の条例第七条の差別禁止の規定案につきまして、私が同性カップルに対する差別も認めないとわかる規定とするべきと求めたのに対しても、差別の解消等の条項における性別等という用語については、定義において性的指向を含むと規定していることから、同性カップルに対しても差別をしてはならないことを規定していると明確に答弁しています。つまり本区の条例上も同性カップルに対する差別は禁止です。ところが、法的婚姻をしていない職員のカップルであっても、相手が異性であれば婚姻に等しい休暇制度、介護休暇、慶弔休暇が認められるのに対し、相手が同性となると家族に関する休暇制度は一切適用されず、パートナーを亡くした翌日から出勤を強いられるのが現状です。
当区が何ら手を打たずにきたこの間、千葉、大阪、堺、福岡、横須賀、熊本、枚方市の七市で職員の同性カップルに対する休暇制度の平等は達成されました。さらに区の外郭団体の中にも、世田谷区社会福祉協議会、多摩川緑地広場管理公社と相次ぎ休暇制度の平等を確保する団体が出てまいりました。区は、国内で最も初めに議会で休暇制度の平等を求められながら、あと何回、あと何年、他の自治会の後塵を拝すれば、区は改善ができるのでしょうか。
こうした状況に業を煮やし、私は四月四日、男女共同参画と多文化共生の推進に関する条例第十一条第一項の規定に基づく本件の是正を求める苦情申し立てを行いました。区と区教委はどう対処するおつもりなのでしょうか。苦情処理委員会にかけるおつもりがあるか、調整を要する特別区人事委員会に働きかけているのか、取り組みの現状と今後のステップ、見通しについて、区と区教委それぞれの説明を求めます。
あわせて、区の行政手続条例第六条は、行政庁に標準的な処理期間の設定を求め、これを定めたときは公にしなければならないと定めております。しかし、前出の苦情処理制度にその設定はありません。
私の苦情申し立てからはや二カ月、全く放置されているようにしか見えませんが、区に不都合な苦情を際限なく放置のできる現行制度の欠陥はすぐにでも改められるべきです。区の見解を問います。続けて、区の外郭団体、職員の処分についても改善を求めます。
さきに説明したとおり、区の外郭団体の中にも、休暇制度の同性カップルへの適用を初め、処遇の平等を確保する事例が出てまいりましたが、依然一部の取り組みにとどまっております。現在、十一ある区の外郭団体で休暇制度を一部でも認めたのは二団体にすぎず、事業者のハラスメント禁止規定に至っては、区が条例で差別を禁止する性的指向、性自認を明記したところは、世田谷区社会福祉協議会のみです。
一昨年二月の人事院規則の改正では、性的指向や性自認に関する偏見に基づく差別もセクハラに当たると明示をされ、禁止をされました。同じく昨年改定された厚労省のモデル就業規則でも、性的指向、性自認に関する不愉快な言動等がセクハラに当たることが明文化をされました。区の対応はこの点でも全くの不徹底。外郭団体で差別的な状況を放置しながら、どうして区民、事業者に差別の禁止を求められるのでしょうか。区の外郭団体のハラスメント禁止規定についての改善と処遇の平等確保を改めて求めます。区として指導を徹底するお考えがあるのかどうか、見解を問います。
◎宮崎 副区長
私からは、職員の休暇制度の関係について、同性パートナーの職員の関係でございます。
区では、これまで同性パートナーの職員に対する結婚祝い金及び弔慰金を支給する事業を区職員の互助会の給付として行っているところです。区職員の任用や給与等の主な項目につきましては、特別区人事行政運営要綱に基づきまして、二十三区の共通基準として定められておりますが、この休暇制度につきましては、特別区人事委員会と協議した上で各区で定めることとなります。既に人事委員会とは事実上の協議を始めております。
同性パートナーシップ宣誓制度を初め、多様な性を含めた全ての人が尊重され、参画できる社会を目指す第二次男女共同参画プランを推進している当区といたしましては、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例に定める事業者の責務といたしまして、差別や格差のない庁内体制の整備に取り組むことは大切であると認識しております。職員の休暇制度につきましても、苦情処理委員会の御意見等を踏まえまして、その改善について検討してまいります。
以上でございます。
◎池田 教育政策部長
私からは、二点御答弁申し上げます。
まず、同性をパートナーとする教員の休暇制度についてでございます。
区立小中学校で働く教員につきましては、東京都教育委員会が任命権を持っており、教員の勤務時間、休日、休暇などについては東京都の条例等により定められております。現在、東京都の条例等には同性パートナーの関連規定はないことから、世田谷区の取り組み状況などについて東京都教育委員会に伝え、問題提起をさせていただきたいと考えております。
◎松本 生活文化部長
私からは、男女共同参画と多文化共生推進条例に基づく苦情処理の期間設定についてお答えをいたします。
世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例では、男女共同参画及び多文化共生施策に関する苦情、相談への対応として、区長は、申し立てまたは相談を受けたときは速やかに調査等を行い、必要に応じて適切な措置を講ずる必要があると認めるときは世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会に諮問し、その意見を聞くと規定しております。また、施行規則では、苦情または意見の申し立てに係る処理を終了したときは、処理結果通知書により申立者に対し通知すると規定しておりますが、お話しのように具体的な標準処理期間は定めておりません。
今回の申し立ては、その内容から苦情処理委員会で意見をいただく必要があると考えておりますが、職員の人事制度にかかわる内容のため、特別区人事委員会との協議などが必要なことから時間を要している状況にございます。申し立ての内容により回答までの時間が異なってまいりますが、標準的な対応期間などにつきましては、他自治体の例や区の保健福祉サービス苦情審査会なども参考にしながら、男女共同参画・多文化共生推進審議会の意見を伺い、利用者目線に立った改善に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます
◎中村 政策経営部長
私からは、区の外郭団体職員の処遇について御答弁いたします。
昨年の世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の施行に伴い、区の外郭団体は、条例の定める事業者の責務について率先垂範して取り組みを進めることが重要です。この間、所管部を通じて条例の趣旨について各外郭団体へ通知し、団体の指導、調整に際して、条例の趣旨に沿った団体運営を進めるよう働きかけをしてきたところです。
現在、区の外郭団体十一団体において、同性パートナーを有する職員にも該当するよう休暇制度を規定している団体は二団体ございます。また、禁止されるハラスメント行為として、性的指向や性自認に関する偏見に基づく言動を含むものと解釈、運用している団体は七団体ございますが、明文化しているのは一団体にとどまっております。
今後、外郭団体の事務局長などがメンバーとなっている外郭団体連絡協議会などにおきまして、厚生労働省のモデル就業規則なども示しながら、ハラスメント禁止規定の明文化を含め、条例の趣旨に沿った処遇改善の検討を進めるよう求めてまいります。
以上です。
◆上川あや
区長に再質問させていただきます。
休暇制度の平等についてです。
私が性的マイノリティーの差別のない庁内体制の整備を求めてからもう四年が経過しました。一向に改めない休暇制度を取り出して、改めて聞いてからまた二年半が経過をいたしました。そして、今回の御答弁は検討、四年前と同じです。時間をかけ過ぎではないでしょうか。
みずからの事務を改めることなく、なぜ区民、事業者に差別は禁止ですよと言えるんですか。現状の区の職員間の処遇の平等がないというのは差別だと考えています。これに対して、行政の長としての指導力を私は疑います。どう対応するんでしょう、お答えください。
◎保坂 区長
上川議員の再質問にお答えします。
リーダーシップ、指導力ということに疑念があると、この件について御指摘をいただきました。
確かにこの休暇の制度について進んでいないというのは事実で、その点においては、私のそこのところの集積が不足をしていたと感じます。同時に、同性パートナーシップの宣誓書受領証の仕組みについては、その後、他自治体がたくさんいわば制度を構築したことから、区としてもいわゆるバージョンアップをしていこうということについて取り組みを進めてきました。
これは先般、発表したところでありますけれども、今回、課題になっている休暇制度については、手当等人事制度の根幹にかかわる問題がゆえに、特別区人事委員会との協議を本格化させるということで指示をしていきたいと思います。この間、そういった御議論を始めてきているということなので、加速するようにしたいと思います。
◆上川あや
ただいまの答弁なんですけれども、加速は当初から行うべきだったと思います。