◆上川あや

平成二十九年度世田谷区各会計決算に賛成の立場から意見を申し上げます。

初めに、多文化共生のまちづくりについてです。
多文化共生の条例が本区で施行されて半年、現在、多文化共生プランの検討が進められておりますが、事前の調査もない中での検討で支援の薄さは明らかです。昨年、法務省が公表した外国人住民に対する差別の実態調査では、当区からの回答で、過去五年間に住む家を探した方のうち、外国人であることを理由に入居を断られた経験が五〇・〇%に、外国人お断りと書かれた物件を見たので諦めた経験も四〇・九%に見られ、ともに全国平均に比べ一〇%以上悪い数字でしたが、同プランの居住支援の中身が実質ゼロであるということに驚きます。現実にある困難を踏まえた支援策の検討を改めて求めます。
また、全国でもトップクラスに大学が多く、留学ビザでの居住者が三千人を数える当区で、留学生活継続への支援策も、卒業後の就労支援も考えられていない現状に、区の多文化共生施策への考察力の欠如を感じます。学長懇など既存のネットワークを生かせばニーズの把握は十分可能であるはずで、具体策の早急な検討を改めて求めます。

加えて、子ども・子育て応援都市を宣言した当区で、小中学校の学齢期にある外国籍の子どもたちの六割強、六百四十名以上について区教委が就学の有無すら確認せず、平気でいることも大問題です。しっかりとしたフォローアップを求めます。
在留外国人の七割以上がアジア出身者であり、なおかつその数が急速に伸びる中、区の国際交流施策、中でも子どもたちの教育交流先の拡大が欧米系でしか考えられないことに、区のアジア軽視の姿勢、長期的視点の欠如があらわれていると思います。今の子どもたちが巣立ち、働く近未来の日本では、働く仲間の多くはアジア出身者となり、私たちの介護を担う人材にもアジア出身者がふえていることでしょう。近隣アジア諸国との理解増進は当区にとっても重要課題です。しっかりとバランスのとれた施策推進を求めます。

保健福祉領域で取り上げた区内の災害時拠点病院の非常用電源が日ごろきちんと整備も点検もされていない事実も問題です。地元自治体としてのしっかりとした施策の強化を改めて求めます。

また、区の障害者雇用率の誤算定の問題でも、障害者雇用促進法の本旨は、障害種別にかかわらず採用を進めていくことであり、これまでのように身体障害者のみの雇用では許されない見地からバランスのとれた雇用を推進するよう改めて求めまして、レインボー世田谷の意見といたします。