◆上川あや

外国籍の方々への居住支援について伺います。
昨年十二月の定例会で、この問題を私より取り上げました。区からは支援に前向きな御答弁をいただいたはずなのですが、多文化共生プラン(素案)の書き方は、実質ゼロ回答と言うべきもので、納得ができません。
従来、区の民間賃貸住宅に関する居住支援の対象は、高齢者、障害者、ひとり親家庭の三者だけでした。しかし、日本賃貸住宅管理協会が家主に実施した意識調査では、区が支援対象とする高齢者には六〇%が、障害者に対しても六八%の家主が拒否感を抱くとした一方、区が支援対象としていない外国人に対しても、六一%もの家主が拒否感を抱くと回答しています。
また、昨年、法務省が公表した在住外国人に対する差別の実態調査には、世田谷区からも百二十名もの区民が回答し、過去五年間に住む家を探した経験のある区民のうち、外国籍であることを理由に入居を断られた経験が五〇・〇%に、日本人の保証人がいないことを理由に断られた経験が四〇・九%に、外国人お断りと書かれた物件を見たので諦めた経験も四〇・九%に見られました。
区は、ここに支援するべき区民ニーズがあるとは考えないのでしょうか。まず基本認識を伺います。

◎佐藤 住宅課長

委員お話しの調査結果につきましては、大変残念な状況と認識しております。
区では、平成二十九年三月に世田谷区居住支援協議会を設立し、住宅政策と福祉政策との連携によって、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への居住支援に関する課題の検討を行っております。昨年度からは、世田谷区住宅委員会の提言もありました単身高齢者の入居支援策に取り組んでまいりました。外国人の方の居住支援につきましても、取り組むべき課題と認識の上、今年度に入り、担当課と連携しながら、居住支援協議会の場を活用し、会員である不動産団体等も含め、情報の共有等検討を始めたところでございます。

◆上川あや

この四月に施行された世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例第八条の基本的施策で、区は、外国人等が安心して暮らせるための生活支援を明記しています。居住支援は、この外国人等が安心して暮らせるための生活支援の中でも生活基盤そのもの、区の支援策の中でも根幹をなすべきものだと考えるのですが、違うのでしょうか。

◎佐藤 住宅課長

世田谷区の基本計画におきましても、多様性の尊重を分野別政策と掲げ、女性や子ども、高齢者、障害者、外国人、性的マイノリティーを理由に差別されることなく多様性を認め合い、人権の理解を深めるため、人権意識の啓発や理解の促進に努めることとしております。また、世田谷区住宅条例におきましても、全ての区民が地域の個性を生かした魅力的なまちづくりを進めつつ、良好な住生活を主体的に営むことができる権利を有することを確認し、その充実を図ることを、住宅及び住環境の維持及び向上についての基本理念として定めております。外国人への居住支援は、こうしたことを踏まえましても、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例における生活支援として重要であると考えております。

◆上川あや

ところが、多文化共生プラン(素案)にある居住支援の記述は次の二つだけです。
一つ目は、高齢者・障害者・ひとり親世帯の外国人へのお部屋探しサポート。二つ目は、高齢者・障害者・ひとり親世帯の外国人への保証会社紹介制度です。これは、既存の高齢者・障害者・ひとり親世帯への居住支援に関しては、その国籍を問わずに適用されますよと当然のことを書いているだけのことで、外国人支援ではないはずです。つまり全くのゼロ回答。全く人をばかにした記述だと思います。
外国人が安心して暮らせるための生活支援は、条例が定める区の基本的施策であり、責務であります。きちんと支援策を検討し、意味ある記述をするよう求めますけれども、いかがでしょうか。

◎佐藤 住宅課長

外国人であることのみを理由に入居を断ることは、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例においても差別の解消等うたっているとおり、あってはならないことと認識しております。外国人の方の民間賃貸住宅への入居受け入れに当たりましては、家主から、貸し主から、住宅提供を困難にしている理由としてよく挙げられることといたしまして、賃貸借契約に使われる用語や生活習慣の違いに関する賃借人への説明の難しさ等がございます。これらに対しまして、国が発行する外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドラインの活用や、お部屋探しの相談に応じる支援団体等の紹介など、賃貸人の不安解消に資する取り組みの検討とあわせまして、条例でうたっている差別解消の観点からも対応が必要と考えております。
区といたしましては、今後とも引き続き、居住支援協議会や庁内担当課と連携を図り、不動産団体や借り主側としての外国人の方の御意見も伺いながら、外国人の居住支援ツールの整備等、意識啓発も含めて方策の検討を進めてまいります。
御指摘の多文化共生プラン(素案)におきます居住支援策につきましても、居住支援協議会や関係所管と調整を図り、プランの策定に当たり検討してまいります。

◆上川あや

しっかりお願いいたします。