◆上川あや

災害時拠点となる区内病院の非常用電源について伺います。
まず、区内には、厚労省の指定要件に基づき都が指定する災害拠点病院は三カ所、これらを補完する災害拠点連携病院が四カ所あるということですが、二種類ある病院の指定要件と、指定を受けた病院名、災害時想定されている受け入れ人数について御説明をお願いいたします。

◎伊藤 世田谷保健所副所長

東京都が作成する災害拠点病院及び災害拠点連携病院設置運営要綱によると、大地震等の発災時において、主に重傷者の収容、治療を行う病院として、厚生労働省が示す指定要件に基づき、都道府県が指定する災害拠点病院と、主に中等傷者や容態の安定した重症者の治療等を行う病院として東京都が指定する災害拠点連携病院がございます。
指定要件につきましては、それぞれ細かく定められておりますが、主な内容といたしまして、災害拠点病院は二十四時間緊急対応を行い、発災時には被災地内の傷病者の受け入れや搬出の拠点となることや、診療施設が耐震構造であること、通常時の六割程度の発電容量のある自家発電等を保有し、三日分程度の燃料を確保することなどがあります。
災害拠点連携病院は、災害時の医療について相当の知識及び経験を有する医師が診療に従事していることや、災害時に病院機能を維持するため、自家発電機等を保有し、電源の確保は行われていることなどがあります。
また区内の災害拠点病院は、至誠会第二病院、都立松沢病院及び関東中央病院の三カ所で、災害時においては、入院患者については通常時の二倍の約三千二百人を、外来患者は通常時の約五倍程度の受け入れを想定しております。
一方、区内の災害拠点連携病院は、世田谷下田総合病院、東京明日佳病院、国立成育医療センターと、昨年新たに指定されました玉川病院の四病院です。災害時の受け入れ人数につきましては、都の設置運営要綱では特に定まっておりませんが、災害時には区の医療救護本部が情報を把握し、医療救護活動の統括を行ってまいります。

◆上川あや

病院の配置だけを考えますと、思った以上に偏りなく、全区的に指定病院はあるように感じました。災害拠点病院が三カ所、災害拠点連携病院が四カ所、計七カ所の全てに非常用電源が備わっているということですが、実際にどれだけ機能するかどうかが重要です。それぞれの非常用電源の連続稼働時間についてもお調べいただくよう求めましたけれども、御報告をお願いできますでしょうか。

◎伊藤 世田谷保健所副所長

非常用電源の稼働時間につきましては、施設の規模や構造等により、備蓄できる発電機の種類も異なること、また、電力の使用量によって増減はあるようですが、先日確認したところ、災害拠点病院では八時間から七十二時間、災害拠点連携病院では六時間から七十二時間の稼働が可能とのことでございます。

◆上川あや

私もいただきました資料では七十二時間もつ病院が三カ所ある一方で、六時間から八時間しかもたない病院も複数あるというのが実情で、安心にはほど遠いと感じました。夜間に電源がなくなれば、病院機能の大半が失われたも同然になるものと懸念いたしますが、きょうはさらに懸念を深める実情があることを御紹介したいと思います。

六月に起きた大阪北部地震に関連する七月十八日のNHKニュースを読み上げます。
大阪北部地震、揺れ強かった地域の病院、六割が非常用電源の点検を怠る。大阪府北部で震度六弱を観測した地震では、最大で十七万件の停電が起きましたが、揺れが強かった地域にある病院のおよそ六割で、消防法で義務づけられた非常用電源の点検が行われなかったことがNHKの調べでわかりました。多くの人が利用する病院や公共施設などでは、非常用電源の設備を作動させて行う負荷運転という点検や、機械内部の詳しい点検を一定の期間ごとに行うことが消防法で義務づけられています。
NHKは、先月、六月の地震で揺れが強かった大阪府内の六つの市に情報公開請求して調べたところ、地震の前のことし四月末の時点で、およそ六割に当たる、少なくとも百三十八の病院で負荷運転が行われていなかったことがわかりました。この中には、災害の際に救急医療の中核を担う災害拠点病院も三カ所含まれていました。
引用はここまでです。

実際、大阪北部地震では、大阪・吹田市にある国立循環器病研究センターで停電時、非常用電源が機能しませんでした。その後の調査では、パネルのふぐあいや送電線のショートが見つかりましたが、センターは少なくとも五年間点検も試運転もしていなかったということです。同様な整備不良による非常用電源のふぐあいは、それ以前の震災でも起きています。
日本内燃力発電設備協会によりますと、二〇一一年の東日本大震災時には東北地方の約四千八百台のうち、津波の影響を除く二百九台が実際には作動せず、二〇一六年の熊本地震でも、百四台のうち十三台が機能せず、その原因の多くが整備不良と見られているということです。
皆さんもこれをお聞きになりますと、区内の状況はどうなのだろうと不安に思われるのではないでしょうか。区内の点検状況についてもお調べをいただくよう求めましたので、御報告をお願いいたします。

◎伊藤 世田谷保健所副所長

発災時に被災地内の傷病者等の受け入れや搬出の拠点となる災害拠点病院や災害拠点連携病院におきましては、病院機能を維持するための自家発電機を保有し、非常時に使用可能なことを検証していくことが重要であると認識しております。
区内の災害拠点病院の七カ所につきましては、全ての病院で定期的に法定点検を行っておりますが、消防法に定められております負荷運転につきましては、災害拠点病院では一カ所、災害拠点連携病院も一カ所のみの実施状況でございます。

◆上川あや

区内の指定病院の二カ所でしか負荷運転は行われていない。つまり災害時、救急医療の中核を担う区内病院の大半で、法で義務づけられた点検すら行われていないということです。この状況を受けて、区はどう是正を図るおつもりなのでしょうか。事態を放置せず、強く是正を働きかけていただくよう求めますけれども、いかがでしょうか。

◎伊藤 世田谷保健所副所長

病院に係る指導監督の権限は、医療法により都道府県にあること、また非常用電源の保守点検実施の報告先及び指導等の管轄は消防署等の関係機関であったため、区ではこれまで特に把握をしてまいりませんでした。
しかしながら、お話しのありました大阪府北部地震や熊本地震などの状況やこのたびの区の調査などを踏まえまして、医師会や災害拠点病院等から構成する災害医療運営連絡会及びその部会、その他医療関係者が集まる会議等で非常用電源の確保及び点検状況について確認を行ってまいります。
また、六月に消防庁より消防用設備等の点検の基準等の一部改正が公布されておりますが、こうした法改正などの情報共有を図るなど、災害時において非常用電源が正常に稼働されるよう働きかけを進めてまいります。

◆上川あや

終わります。