◆上川あや
初めに、多文化共生プラン素案について一点、基本的なところで修正を求めたいと思います。
この四月から施行された世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例では、民族、国籍差別が禁止されました。一方、国のヘイトスピーチ対策法は、民族、国籍差別一般は禁止せず、ヘイトスピーチそのものも禁止していない上に、法律の正式名称、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律とあるとおり、本邦出身者へのヘイトスピーチ、例えばアイヌや沖縄の人々へのヘイトスピーチは対象外で、配慮のない立法ということで批判が続いております。この点、世田谷区の条例はアイヌの方々も包含する書き方で、好ましいと考えてきたんですけれども、今回のプランはいただけません。
冒頭の「計画の背景」と巻末の「関連資料」には条例上の「民族」の表記がありますが、肝心の計画本文では「外国人等」で統一しています。しかも「計画概要」の表紙には、わざわざ「『外国人』の定義について」とありまして、条例第八条第六号に掲げる「『外国人等』」と同様だとしています。条例の該当部分を読みますと「外国人、日本国籍を有する外国出身者等」となっています。つまり、あくまでも外国籍か、外国にルーツを持つ人たちだけが対象なんですね。
アイヌを先住民族と認めた衆参両院の決議もありますし、日本は単一民族国家ではありません。北海道から離れて首都圏で暮らすもアイヌも多い中、配慮がないと感じます。平成二十三年六月には政府の手で北海道外アイヌの生活実態調査が行われ、東京からの回答が最も多く、全国平均に比べ生活保護世帯が三倍以上、高校中退者も六倍近く高いことなどが報告をされ、道外で生活するアイヌの方々でも差別を受けた経験者が二割を超えるということです。こうした方々も包含する記述とするべきだと考えますが、見解を伺います。
◎梅原 国際課長
(仮称)世田谷区多文化共生プラン素案では、外国人等は「外国人、日本国籍を有する外国出身者等」と定義し、言語や文化の違いにより、行政情報を初めとしたさまざまな情報が容易に得られず、そのために生活上の不便や不安がある方全てを想定しております。委員からも御指摘をいただきました世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例で、国籍、民族等の異なる人々の多文化共生を掲げていることを踏まえまして、多様な方を対象としているということが伝わるよう、審議会とも御相談をしながら表現を工夫し、基本理念である「誰もが共に参画・活躍でき、人権が尊重され、安心・安全に暮らせる 多文化共生のまち せたがや」に向け、おのおのの施策を着実に推進してまいります。