◆上川あや
世田谷区職員のハラスメント対応について伺います。
現状、区のハラスメントに関する基本方針は、セクシュアルハラスメントに関するものと、パワーハラスメントに関する二種類しかありません。区の懲戒処分の指針を見ましても、明記をされたハラスメントの累計は今挙げた二つだけです。
昨年一月、改正男女雇用機会均等法及び改正育児・介護休業法が全面施行され、区を含む事業者には職場での妊娠、出産、育児休業等を理由とした嫌がらせ、いわゆるマタハラを防止するために必要な措置を講じることが義務づけられましたが、これに対応した基本方針も、懲戒処分の指針も、今の世田谷区にはありません。法の施行から一年九カ月、区は打つべき手を打ってこなかったのだと私は認識をしています。マタニティハラスメント、マタハラに関してもきちんと区の基本方針を定め、懲戒処分の対象となるよう明記することを求めますけれども、いかがでしょうか。
◎大塚 人事課長
ハラスメントへの対応についてでございますが、区ではこれまで、平成十年に職場におけるセクシュアルハラスメントに関する基本指針を策定いたしまして、平成二十八年には、職場におけるパワーハラスメントに関する基本指針を策定しております。また、職員からの相談窓口を設置し、個別の事案に対応するとともに、研修等を通じまして、ハラスメントの防止や意識の向上に全庁的に取り組んでいるところでございます。
委員お話しのとおり、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が改正されまして、例えば職員が育児休業の申請をした際に、上司が申請を取り下げるよう求めるなどの妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントを防止するため、区にも事業主として方針の明確化や、その周知等が義務づけられたところでございます。
現在区では、これまでの二つのハラスメント指針に加えまして、妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントも含めた新たなハラスメント指針の検討を進めております。また、指針の策定とあわせまして、懲戒処分の指針についても改定してまいります。
◆上川あや
当区のハラスメントの防止措置に関しては、このほかにも重要な部分が抜け落ちたままだと私は考えています。
本年四月より、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例が施行されました。民族、国籍に対する差別も、性的指向、性自認に対する差別も禁止となりました。区は同条例で区内事業者に対しては、その事業活動及び事業所の運営において同条例の趣旨に沿い、必要な措置を講じるよう努めなければならないと努力義務を定めております。であるならば、本区においても、民族、国籍差別であるレイシャルハラスメント、性的指向、性自認の英語訳、セクシュアルオリエンテーションとジェンダーアイデンティティなんですが、これに対するハラスメント、頭文字を四つ並べてSOGIへのハラスメント――これはソジハラスメントと読むのですが――についても、きちんと方針を明確化し、対処するべきだと考えます。
この点、東京都東大和市では、東大和市職員ハラスメント防止指針として、この六月、さまざまなハラスメントを総合化し、冊子にまとめて公表し、職員理解の徹底を促しております。そこでは、さきに挙げたセクハラ、パワハラ、マタハラはもちろん、国籍差別、宗教差別を含むモラルハラスメント、そして最後に挙げましたソジハラスメントまでも別項目として列挙し、詳述し、大変充実した基本方針となっています。
同様の取り組みは、お隣狛江市にもございまして、これらと見比べますと、当区の対応のおくれは非常に明らかだなと考えました。ぜひ世田谷区でも総合的にハラスメント対策に取り組んでいただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。
◎大塚 人事課長
お話しのとおり、区はこの四月に、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例を制定いたしました。区職員についても条例の基本理念を十分理解し、日々の職務に当たるべきものと考えております。
また、この条例の制定以前から、セクシュアルハラスメントに関する基本指針においては、委員から御指摘もいただき、性的な言動の範囲に性的少数者に対する言動が含まれることなどを盛り込み、職員の意識啓発に努めてまいりました。ハラスメントは個人の尊厳を不当に傷つけるものとして許されない行為であり、現在さまざまなハラスメントが社会的にも認知されてきているものと認識しております。
先ほど申し上げました新たなハラスメント指針の策定に当たりましては、御指摘の点を踏まえるとともに、他自治体の例も参考にしながら、職員がより理解しやすい、幅広い内容となるよう検討を進めまして、働きやすい職場環境づくりに向けて取り組んでまいります。
◆上川あや
続きまして、ハラスメント被害を申し出る苦情相談窓口についても、一言申し上げたいと思います。
さきに挙げた当区の二つの基本方針を見ますと、セクシュアルハラスメントについては、職員が気軽に相談できる相談苦情担当窓口を設置すると書かれ、パワーハラスメントについても幅広い苦情相談体制を整備するとは書かれておりますが、現実にはそうなっていないと私は捉えています。現状では、あくまでも区の総務部副参事、職員厚生課長や同課の係長に苦情相談をするほかなく、組織の上司からのハラスメントであっても組織そのものに届け出なければならず、客観性、第三者性が極めて薄いと感じます。
さきに挙げました東大和市やお隣狛江市、また中野区の新しい指針では、職員団体の代表者も含めた苦情処理委員会が設置されることにもなっておりまして、組織の都合で握りつぶしにくい、より客観性の高い制度が担保されております。世田谷でも同じような制度改革が望ましいと求めますけれどもいかがでしょうか。
◎大塚 人事課長
職場におけるハラスメントにつきましては、職員の仕事に対する意欲や自信を喪失させ、ひいては心身の健康を損なう要因にもなり得るものであり、職場の秩序や職務の遂行を阻害し、区政の効率的な運営に大きな影響を及ぼすものでございます。
これまで、セクシュアルハラスメントとパワーハラスメントについて、相談窓口を設け職員からの相談に応じてまいりましたが、職員にとってさらに利用しやすい仕組みとしていることも重要であると考えております。
職員がハラスメントに関する相談をしようとしたときに、例えば苦情処理委員会といった第三者機関の存在は、その公平性が高まり、相談しやすくなるなどの利点もあるものと認識しております。全ての職員が働きやすい環境で意欲を持って職務に専念することができるよう、他自治体の取り組みも参考にしながら、職員がより利用しやすい相談体制について引き続き検討してまいります。
◆上川あや
さきに挙げた中野区のハラスメントの防止に関する基本方針では、苦情処理委員会に女性の管理職員、幹部の代表も入れるということを規定しておりまして、同様な配慮も必要と考えますが、一言いただけますか。
◎大塚 人事課長
処理委員会に女性をということでございますが、御指摘の趣旨も踏まえまして、よりよい相談体制を検討してまいります。
◆上川あや
ぜひよろしくお願いいたします。以上で終わります。