◆上川あや

続いて、不法な区管理水路への架橋、点検、指導を徹底せよと題して伺います。

この春、ウエブ上に気になる記事を見つけました。無許可の橋、札幌に五百カ所、届け出や占用料催促へと題した朝日新聞の記事です。
二〇一六年三月、札幌市内に土地を所有する男性が家を建てるため、土地の前の川に橋をかけたいと市に問い合わせたところ、市は、橋の設置には市の許可と占用料の支払いが必要だと説明をしました。ところが男性は、近くには無許可の橋があると指摘、市民の苦情を受け付ける市のオンブズマン室に申し立て、市が調査をしたところ、市条例で指定した普通河川にかかる橋、千六百六十カ所のうち、実に五百カ所が無許可であったことがわかりました。市は、許可を受け占用料を支払っている人との公平性や治水上の観点から、橋の設置の経緯などを調べ、届け出を促していきたいとしておりました。
同種の報道は、二〇一六年五月の京都新聞にも見られます。
京都市では、水路を渡らないと家や駐車場、工場などに行けない通路橋を市民が設置する場合、水路区域を占用するための許可と占用料の納付が必要と市の条例で定めております。市の調査では、同年三月時点で市内に通路橋が四千八百五十件あり、うち三千二百カ所が無許可でありました。占用料は一平方メートル当たり年七百五十円です。当時、通路橋の占用料収入は年千二百五十万円でしたが、全てが申請された場合、約三千六百五十万円にふえるとのことでした。
市は、通路橋は生活や企業活動には必要だが、許可を得て占用料を払っている人もおり、不公平をなくすためにも無許可の設置者は理解をしてほしいとし、二〇二〇年度までに無許可状態を解消し、占用料徴収の徹底を図るとのことでした。

同様の無許可橋が区内にもあるのではないかと道路指導課に確認をしたところ、橋をかける際に占用許可と占用料の納付を必要とする区管理水路は、開渠の部分だけでも二十六キロメートルもありましたが、占用許可を受けている橋はたったの十一本、占用料の支払いはたったの一件だけで、その他、無許可の橋があるかどうかの調査は全く行われていないということで、大変驚きました。現状は全くのざる、管理が管理になっていないのです。水路の安全管理の点からも、占用料をお支払いいただいている方との公平を期する点からも、無許可で不法な橋は一掃されなければなりません。
区管理水路の全体状況とその占用許可状況、占用料の設定の説明と点検、指導の徹底を求めますが、いかがでしょうか。区の見解を問います。

続いて、不法な突き出し看板の点検、指導を徹底するようにも求めます。
道路指導課による指導の不徹底は、水路に限ったことではありません。建築基準法上、高さが四メートルを超える看板は工作物確認申請が必要となります。また、道路に突き出た突き出し看板は道路占用許可申請が必要で、自治体が定めた屋外広告物条例、景観条例等に従い、看板の色合いや大きさも合わせなければなりません。
それらの許可を得た上で、二年に一度の更新手続と安全点検の報告義務もありますが、公益社団法人日本サイン協会によれば、これらの法令を遵守した看板はわずか二、三程度であろうということです。
実際、富山市が二〇〇八年から一一年にかけ、市道上の突き出し看板を調査すると、全体千二百件のうち、許可を受けていたのは二百五十件で、実に八百六十件、全体の七一・六%は無許可のままであったそうです。中には、既に廃業し所有者がわからないものや、幅や高さが基準を超え、通行人に危険な看板もあり、市が指導の徹底に乗り出すきっかけとなりました。
また、宮崎市も環境美化を目的に二〇〇五年、市道上の突き出し看板や日よけ、雨よけ、置き看板などの全体状況を調査。その結果、設置物一万一千百件のうち、実に七割近い七千五百件が道路法違反だったということです。道路法上、置き看板はそもそも禁止です。歩道に突き出す看板や日よけも、高さ二・五メートル以上、幅一メートル以内と定められ、車道上の日よけ禁止で罰則もありますが、実に三千七百件がそれらの禁止物であったそうです。また、基準を満たしていても、市に占用申請した上で占用料を支払う義務がありますが、未申請の約千五百件は、当然その納入もないままでありました。
これらの先例からわかるのは、従来の性善説に基づく管理がいかにずさんで、抜け穴だらけであるかということです。

さて、当区の状況はどうかといえば、御多分に漏れず、区道上の突き出し看板の調査は全く行われておりませんでした。区に届け出のある突き出し看板等もたったの二百六十件、誰がこの広い世田谷で、たった二百六十件の突き出し看板しかないなどという数字を信じられるのでしょうか。ずさんもいいところです。
区道には区民が歩き、子どもたちの通学路も存在します。安全指導を徹底するべきです。占用料徴収の公平性の観点からも、正直者がばかを見る現状での管理は一掃されなければなりません。
道路占用の規制と占用料の設定、占用許可数と占用料収入のそれぞれについての説明と全区的な調査と指導の徹底を強く求めますが、いかがでしょうか。区の見解を問います。

◎小山 道路・交通政策部長

私からは、道路、水路の管理について二点御答弁申し上げます。

まず、区管理水路への架橋、点検、指導についてでございます。
区管理水路は、市街化の進展に伴い、用水路としての田畑に給水しておりました機能が薄れ、現在、開渠として残っているものです。閉鎖管理をしている区間も非常に多くありまして、そこの箇所も含めまして約二十六キロメートルございます。
占用許可の対象となる橋梁は、生活や建物を建築する上において、通路として必要となるものに限定されております。現在、占用許可している件数は八件で、そのうち七件は占用料の減免措置が適用されており、残り一件は営利目的であるため、年額約七万四千円の占用料を徴収しております。
無許可の橋梁が存在するのではないかという御指摘がございますが、日常の道路パトロールや水路の定期的な清掃作業を実施しているものの、現段階では無許可の橋梁の存在について正しく把握できていない状況はございます。このため、まずは現地調査に取り組み、現状の把握を行い、占用許可対象物件なのか、撤去対象物件なのかを判断し、その上で、公平性を期す観点からも、許可対象のものは占用申請させ、撤去対象は撤去指導などを徹底してまいります。

次に、道路内への突き出し看板などへの点検、指導についてでございます。
建築物等から道路に突き出す看板や日よけは、占用許可の対象となっております。現在、道路占用を許可している突き出し看板等は二百六十件あり、そのうち十七件は、日よけとなっております。占用料は減免措置があるものの、突き出し看板においては、表示面積一平方メートル当たり年間一万八千三百円で、平成二十九年度徴収した占用料の合計は、日よけを含め約千六百五十万円でございます。
世田谷区では、平成二十二年度から二十三年度にかけまして、商店街の道路上に出された立て看板、はみ出し商品などの実態調査を行いましたが、突き出し看板や日よけの調査は行っておりません。しかし、道路パトロールや通報により危険箇所が確認された場合は、改修などの指導をしております。
まずは、商店街等の関係団体や建築物の所管とも連携し、占用許可基準を満たしていないもの、占用許可基準を満たしているが占用料を納めていないもの、危険なものの実態を調査し、公平性の確保、安全管理や啓発活動の観点から対策を検討し、占用許可の未申請のものは申請させ、危険なものは安全確保を指導するなど、状況の改善に取り組んでまいります。
以上です。

◆上川あや

水路と道路の占用について再質問いたします。
それぞれ全区的な調査と指導の徹底をお答えいただきましたけれども、スケジュール感はいかがなんでしょうか、お伺いいたします。
また、未届けの看板に、本来、安全点検義務を課すべき都市整備政策部ですか、そちらの状況がお留守なんですね。どう取り組む考えでしょうか、あわせて伺います。

◎小山 道路・交通政策部長

再質問にお答えいたします。
問題解決を先延ばしさせないためにも、スケジュール感を持って取り組むことは非常に大切なことと必要性を認識しております。現段階では、無許可の橋梁、突き出し看板等の数が不明で、改善に向けた全体作業量が把握できていないため、具体的なスケジュールはお示しできない状況にございます。
しかしながら、御指摘ありましたように、宮崎市など突き出し看板等の調査に業者委託により短期間で調査を終えたということも聞いてございます。こうした事例を参考に実態調査を進め、その結果に基づき、全体作業を把握した上で、具体的なスケジュールを立て、できるだけ速やかに対応を図ってまいりたいと思います。以上です。

◎渡辺 都市整備政策部長

私からは、突き出し看板に対する安全点検などについて、建築行政所管として再質問にお答えさせていただきます。
議員お話のとおり、道路占用許可申請がなされていない場合、屋外広告物条例の申請も無届けとなっていることが考えられ、看板の設置者等へ手続などの周知が重要であると認識しております。
本日付の「区のおしらせ」におきまして、一定の屋外広告物の表示には申請が必要であるということを御案内してございますが、今後も定期的に区報やホームページに掲載し、屋外広告物条例の手続、また、安全な看板の設置や日ごろからの点検につきまして注意喚起するなど、区民への周知を重ねるとともに、道路指導所管とも連携して対応してまいります。以上です。

◆上川あや

区長にも再質問いたします。
京都市では、普通河川の不法な架橋を一掃しようと取り組み始め、たった一年の取り組みで占用料収入が六・五倍にふえたといいます。
当区は、長年、不法な状態を点検もせず放置をしてまいりました。多額の占用料を毎年払っている人が恐らく三割程度いる一方で、七割近い人たちは全く手続もせず、払っていない。多くの未収金があるはずなんです。こういった現実についてどう考えるのか、お答えいただきたいと思います。

◎保坂 区長

上川議員の再々質問にお答えします。
現段階で、所管答弁がありましたように、全体が把握できていないということなので、他自治体の例も鑑みて、なるべく実態をスピーディーに把握することが必要だと考えます。
また、占用料について、多くの占用料が未納だったという実態の例も御紹介いただきました。公平性の観点から、是正していかなければならないと思っております。
また、道路許可申請と屋外広告物条例の申請がともに無届けであるケースがあるということですので、とりわけ安全の観点、また、都市景観という観点からも、注意喚起、周知、啓発も含めて取り組みを進めていきたいと思います。