◆上川あや

初めに、視覚障害者に対する移動支援事業、ガイドヘルプの改善について伺います。

本定例会の区長招集挨拶で、昨年八月に発生した視覚障害者の転落死亡事故を踏まえ、移動支援従事者派遣事業では、視覚障害者の通勤を対象にするよう改めます、視覚障害者が転入や転職時に移動支援サービスが利用できるようにしますとの表明がございました。命のかかわる同事業です。同様の配慮が都内六区では既に実施されてきたもので、遅きに失してきた感はありますが、あるべき方向性として支持し、歓迎いたします。

区では、転入や転職時、職場への移動経路になれるまでの一時的な付き添いとして、新たに三カ月を限度にガイドヘルプの利用を認めるという方向性だとしておりますが、その改善内容が通勤時に限られたことに配慮の不足を私は感じております。
東京都が二月に発表した学校基本調査で、当区は都内でも三番目に大学数の多い学園都市でありました。大学生の総数は六万七千人以上、大学進学を機に上京、本区に転入してくる学生も少なくない中で、なぜ新たに通学する学生に同じ安全策を講じようとはなさらないのでしょうか。通学時の危険性は通勤時と同じはずです。今回の改善に合わせ善処を求めます。区の見解を伺います。

◎片桐 障害施策推進課長

障害者にとっての移動支援は、日常生活を送る上での基本的なサービスと考えております。とりわけ、視覚障害者にとってその重要性は高いものと認識しております。そのため障害者総合支援法におきましても、同行援護が制度化されているところです。
しかしながら、国の制度では年間を通じて定期的な利用となる通学や通勤については利用を認めていないことから、区では、父母が疾病などにより長期にわたり送迎できない場合、小中高や特別支援学校に限り、地域生活支援事業の移動支援事業の中で、月に二十三時間までの利用を認めております。
区では、昨年発生した視覚障害者が地下鉄ホームから転落し亡くなるという痛ましい事故があったことを踏まえ、この四月から転入して間もない方や、転職により通勤場所が変わった場合などに通勤になれるまでの間、移動支援サービスを利用できるようにいたしました。通学になれるまでの支援ということでございますが、視覚障害者の安全の確保という点では、通勤と同様に捉えていく必要があるものと考えております。対象とする範囲や期間など、具体的な検討を行ってまいります。

◆上川あや

次に、区が六十五歳以上の高齢者、介護者をサービス対象に実施をしてきたはり・きゅう・マッサージサービスに従事する視覚障害者の安全対策についてです。
同事業は、高齢者の健康維持、障害者を介護する家族のリフレッシュを目的に、区が準備をした十八の区立施設を会場に、委託先である世田谷区視力障害者福祉協会の施術者から、はり・きゅう・マッサージサービス、いわゆる三療サービスを受けていただくというもので、特に就労が困難な視覚障害者の就労支援策としても考えられてきたものです。
ところが、区は同事業に携わる視覚障害者にガイドヘルプの利用を認めてはきませんでした。通勤を含む経済活動にガイドヘルパーの派遣は一切認められないというのが区の一貫した従前の方針だったことがその原因です。このため、ときたまの事業協力によって歩きなれることのない歩車道の分離さえない区内の道を、毎回身の危険を感じながら区の事業に視覚障害者の方々が協力をするという不条理が繰り返されてまいりました。
私からは、二〇一三年の三定で、せめて区の独自施策である緊急介護人派遣制度で、その移動の安全を確保するべきだと求めましたところ、区は翌年度からその適用を認めました。
しかし、今回の改正で通勤にガイドヘルプ使用は認めないというルールは崩れ去ることになります。
ならば、事業に協力する視覚障害者の方にも当然ガイドヘルプの利用を認めるべきと考えます。月二十時間までに制限されている緊急介護人派遣の利用回数をそのために減じるべきではありません。区の見解を伺います。

◎片桐 障害施策推進課長

区では、世田谷区視力障害者福祉協会に委託し、区民センターや地区会館等に施術師を派遣し、障害者を介護する家族や高齢者にはり・きゅう・マッサージを行う事業を実施しております。はり・きゅう・マッサージに従事する施術師は、年度の変わり目に従事する会場が変更となる場合もございます。今回の移動支援の拡大に当たっては、転入間もない時期の通勤とともに、転勤等により勤務場所が変更となる場合にも適用することとしておりますので、はり・きゅう・マッサージの施術に当たる方についても、状況を伺いながら、制度を運用する中で視覚障害者の安全確保の観点から適切に判断してまいりたいと考えております。

◆上川あや

適切な判断は当然認めることだと思いますので、しっかりお願いいたします。