◆上川あや
平成二十八年度の世田谷区各会計決算五件に賛成する立場から三点の要望を申し上げます。
初めに、多様性を認め合い、人権を尊重し合えるまちづくりについてです。
人口減少が進む中、性差別なく活躍できる社会の構築がますます求められています。在住、来訪外国人がふえ続ける一方で、ヘイトスピーチが顕在化している今こそ、文化的マイノリティーを差別しないまちづくりが必要です。さらに、本年五月には、経団連も初めてLGBTへの差別禁止を会員企業に求める提言を公表、本区のLGBT支援の取り組みにようやく社会が追いついてきています。区が検討を進めている男女共同参画と多文化共生の条例は、まさに時宜を得た取り組みであり、しっかりと中身のある条例とするべきです。
本会議で指摘したとおり、既に都内全区市の過半数十四区十二市に男女共同参画条例が存在し、不当な差別をしてはならないとする差別禁止規定を持たない条例は、制定年度の古いたった二区だけです。今日、差別禁止規定を置くことは、補充質疑で取り上げた苦情処理規定とともに、男女共同参画条例の制定において標準装備と言えるものです。恥ずかしくない条例規定の検討を改めて求めます。第二の要望は、平素からの事務点検の大切さについてです。
本区の身体障害者手帳診断料助成事業が平成三年の創設以来見直されておらず、その助成対象が区内医師会所属の指定医で診断を受けた場合のみと限られていることは課題です。現状ではたった六・二%の手帳取得者しか支援されていず、実態と乖離をしています。他の自治体同様、全ての医療機関の診断を助成対象とするよう求めます。
区教委が設置する文化財の案内看板の点検評価もおろそかです。この更新は、従来壊れていますよと外部から指摘を受け、行われてきたということです。昨年、区教委が業者に委託した調査で更新が推奨された箇所は、表示板の判定で四分の一強、支柱を含めた本体判定で六分の一弱に上りました。読めない看板など無用の長物です。その老朽化は区民の安全にもかかわる課題です。更新を求めます。最後に、働き方改革についてです。
平成二十二年度の決算認定で、区職員の労働時間の把握がいかにいいかげんであるかを問いました。このとき大変驚き、改善を求めたことの一つは、職員の退勤時のタイムレコーダーの打刻が毎日行われるルールになっていず、出勤簿の退勤時間が空欄ばかりであったことでした。これでは過労死が出ても正確な時間の把握は残らない状況です。
今回区は、世田谷区版働き方改革の一環としてその見直しを打ち出しましたが、人材の適正管理こそ区政の基本です。この点もしっかりとした改革を求めまして、レインボー世田谷の意見といたします。