★若年層のがん支援策の検討が始まりました。
2017年3月策定の「健康せたがやプラン後期」に「思春期・若年成人世代のがん患者に対する支援の検討」を新規の取組として明記。2017年11月29日の「がん対策推進委員会」でも課題提起され、支援策の検討が始まりました。
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◆上川あや
続いて、制度のはざまに置かれている若年層末期がん患者の在宅療養についてです。
国内では、毎年二十歳から三十九歳の若年成人の二万人弱ががんに罹患し、三千人以上が死亡しているとされます。この年齢層は、他と異なり生存率の改善がこの二十年ほとんど見られず、また、進学、就職、昇進とキャリア形成の途上にあり、収入や貯蓄が他の年齢層より少なく、学費や育児などへの出費もかさみ、医療費に割ける余裕も他の年齢層より少ないと指摘をされています。
しかし、四十歳未満の末期がん患者では介護保険は使えません。二十歳未満の患者であれば適用される小児慢性特定疾病の補助対象にもなりません。まさに制度のはざまに置かれ、ないない尽くしの末期がん患者なのです。このため、同じ介護サービスを週三回受けた場合、自己負担額は介護保険利用者の七倍以上にも膨らむと積算をされております。このため、兵庫県は、昨年度、この年代の末期がん患者を対象に、若年者の在宅ターミナルケア支援事業を立ち上げました。その適用が認められれば、介護保険同様、訪問介護サービスと福祉用具のレンタルが患者の一割負担で利用できます。助成負担は県と市町村の折半で四五%ずつです。質問通告の時点で神戸市や姫路市など県内十四市町で実施されており、患者、その御家族を支えております。また、ほぼ同様の事業が本年六月より横浜市でも市の単費でスタートいたしました。
本年三月、がん対策推進計画を策定した本区でも、同様の支援策導入をぜひ検討し、御自宅で家族と最後まで安心して生活できる体制整備を図っていただきたいと考えます。区の見解を伺います。
◎辻 世田谷保健所長
私からは、若年層の末期がん患者への支援策導入についてお答えをいたします。
区の人口動態統計によれば、平成二十七年にがんで亡くなった二十歳から三十九歳の区民は十一名ですが、国の統計等を参考に区の人口と比較してみますと、死亡者の数倍程度新規患者がいるものと推測ができます。平成二十七年十二月に国が策定したがん対策加速化プランでは、思春期及び若年成人世代、いわゆるAYA世代のがん患者につきましては、世代特有の課題等を整理し、対策を検討していく必要があると記しております。末期がん患者さんとその御家族の苦しみは耐えがたく、また、在宅療養を選択した場合の経済的負担は、若年層の患者にはさらに重いものとなっていると思われます。
区は、ことし三月に策定した世田谷区がん対策推進計画におきまして、がん患者や家族が、理解や必要な支援を受けながら安心して生活している地域の実現を基本目標の一つと掲げ、がんの予防を基本とする総合的ながん対策に取り組んでいるところでございます。区は、現在策定中の国の次期がん対策推進基本計画の方向性や動向等を注視し、先進自治体の実績等も参考にしながら、若年世代のがん患者が住みなれた場所で安心して過ごすためのターミナルケア支援への方策の検討を重要課題と受けとめまして、現在策定中の健康せたがやプラン(第二次)後期計画に記し、検討を継続してまいります。以上です。