◆上川あや

初めに、自転車通勤する職員の加害事故リスクについて伺います。

この問題を取り上げるのは、おととし11月以来、二回目です。
前回の質問時、区に自転車通勤を届け出ていた職員数は千二百六十五名です。区の職員のざっと四分の一が自転車通勤をしておりました。しかし、区は自転車保険の加入状況を把握しておりませんでした。漫然と保険加入を含めた交通安全を呼びかけていただけという状況でした。
こうした状況下、移動距離二キロ以上の自転車通勤の職員にも通勤手当が支給されていると知り、驚きました。現在、その額は年間、これは自転車通勤だけです。四千二百万円だそうです。職員自身が自転車通勤の途上の事故で負傷または死亡したケースでは労災保険が適用とされますが、事故に巻き込まれた被害者の方はカバーされることはありません。賠償責任は運転した職員が負うこととなりますが、本人が死亡、または資力がなく賠償できないケースでは、区が使用者責任を問われる可能性が出てまいります。
自転車通勤では、本人がけがをするだけではなく、加害事故を起こすリスクが電車通勤の数十倍にも膨らむということなんですが、こうした職員に自転車保険への加入を促す制度的担保は何一つありません。交通安全講習会の出席義務すら課しておりません。区民に自転車保険等の加入を呼びかけておきながら、自前の職員の保険加入に対しては無関心、そうした姿勢を私が問題視して質問を投げかけたのが前回でした。

その後、区は自転車保険加入の状況の調査を始めました。本庁舎で自転車通勤者の駐輪場使用申し込みの際に、保険加入の有無を確認するとともにリーフレットを手渡して、交通安全と保険加入の勧奨をするということになったと報告を受けております。その結果ですが、昨年四月の時点で、本庁舎に自転車通勤する職員の加入率は五一・五%、ようやく半数でした。
勧奨二年目になることしですが、その割合は六七・五%と伸びたようには見えますが、なお三人に一人は無保険で、この世田谷区内を職員は走っております。現状の身内に非常に甘い対処を疑問に思います。
一般企業のマイカー通勤では、社内規定を整備し、任意保険への加入を条件に許可制とするなど、一定のリスク管理を行っている会社が多いと聞きます。これを自転車保険としても適用している会社がふえているそうです。
区の自転車通勤に対しても同様の措置を検討できないでしょうかと考えております。現状の単に加入を呼びかけるだけではない、加入率改善の工夫を求めます。区の見解を伺います。

◎松永 職員厚生課長

通勤は、一般的に職員が住居と勤務地の往復を行うことですが、通勤の際に保育園の送迎を行うなどさまざまな事情もありまして、通勤にどういった手段や経路を利用するかは、個々の事情に応じて、一義的には職員本人の自由意思で選択するものと考えております。また、本質的な意味において、使用者である区が限定や制約することはできないものと考えております。
ただ、一方、自転車保険への加入につきましては、都条例はもとより、世田谷区では自転車利用憲章を制定し、区民に対しても保険の加入を呼びかけているところでもございますので、その自治体に勤務する職員としては率先して加入すべきものと思いますが、個人の実費負担を伴うものでもありまして、職員が自覚と責任のもと、自発的に加入していくことが望ましいと考えております。そのため、この間もさまざまな機会を通じまして保険加入への呼びかけを続けております。
自転車の安全で適正な利用の促進に向けては、区職員が率先して行動する姿勢が大切だと考えます。特に通勤や公務で自転車を利用する職員においては、公務通勤災害防止の観点からも、自転車安全利用意識の徹底とともに保険加入もすべきと考えます。その実現に向けまして、さらに具体策を検討してまいります。

◆上川あや

区民に自転車保険の加入を促す施策をとる以上、当の職員が未保険のまま、区内を毎日通勤できる、それを区が積極的ではないにせよ容認しているというのでは話になりません。しっかりと範を示してください。

区の自転車保険への対応では、もう一つ大きな課題があると思います。先ほど挙げた自転車保険加入率六七・五%、これは二年続けて交通安全のリーフレット配布と加入状況の調査、勧奨を行った、本庁舎だけのデータなんですね。どういうことかというと、自転車通勤している人の過半は本庁以外の職員なんですが、それについてはデータが出てまいりませんでした。すなわち、やっていることが本庁とほかのところでは違うんですね。
九月現在、本庁以外で九百五十一名の職員が自転車通勤をしていると把握しておりますが、彼らについてのデータがないということで、管理が非常にいいかげんだというふうに私は感じております。改善を求めますけれども、いかがでしょうか。

◎松永 職員厚生課長

区では、平成二十七年度より本庁舎での自転車通勤者の駐輪場使用申し込みの際、保険加入の有無の確認を行うとともに、駐輪場利用者に対して自転車安全利用五則の配付を行い、安全運転と保険加入について注意喚起を行っております。
この調査では、お話しにありましたとおり、保険加入率が昨年五〇%であったものが、本年九月現在で六七・五%と増加しており、一定の啓発効果はあったものと考えております。しかしながら、御指摘のとおり、本庁の利用者のみを対象としているため、区職員の保険加入全体像までは把握していないのが現状です。
今後の職員の自転車安全対策等を推進するためにも全体の把握は必要と考えますので、調査方法も含めまして検討してまいります。

◆上川あや

今後もしっかりデータを見てまいりますので、お願いします。