具体的な成果

★「座れる場づくりガイドライン」が策定されました。

 

2018年3月末、所管横断的に座れる場づくりのアイデアをまとめた「座れる場づくりガイドライン」が策定されました。関係所管がこれを手引きとすることで整備を促す取り組みです。
また2018年度から商店街等を対象にベンチ設置助成も始まります。

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◆上川あや

ロコモに対応したひととき座れるまちづくりについて伺います。

この質問は三回目になります。ロコモティブシンドローム、通称ロコモとは、骨や関節など運動器の衰えが原因で、自分で移動する能力が低下をし、要介護になる危険性が高い状態を言います。当然長い時間は歩くことができません。国内の該当者は四千七百万人とも言われ、進行すると要介護や寝たきりのリスクが高くなります。ところが当区では、どの部も街角で座れる場所の確保に動いてはくださらない。大変嘆かわしいことです。
そこでまず、高齢福祉部に伺いますが、こうした方々の急増に世田谷のまちづくりが追いついているとお考えになるでしょうか、現状認識を伺います。

◎瓜生 高齢福祉部長

要介護状態になるリスクが高くなるロコモティブシンドロームを予防し、友人などと交流して活動的な生活を送るためにも、高齢者が閉じこもらずに安心して外出できる環境整備は大変重要と考えております。
散歩の途中で気軽に休んだり、トイレ利用できるところが町なかに不足しているとの認識から、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどに御協力をいただき、現在、三十七カ所、高齢者お休み処を開設し、高齢者が外出しやすい環境づくりに努めております。
今後の超高齢社会を見据え、安心して外出し、歩くことで健康づくりができるよう、外出の途中で一息つくことのできる場の充実が必要であると考えております。高齢者お休み処の拡充や、社会福祉協議会で設置している町なかのベンチを含め、緑道や区道などでも工夫を凝らし、高齢者に優しい地域づくりに関係部署と連携して取り組んでまいりたいと存じます。

◆上川あや

残念ですけれども、現在、横の連携などありません。
区は、ユニバーサルデザイン推進計画で、誰でも使えるトイレとベンチ等の休憩施設のネットワークを整備するとうたっております。しかし、だれでもトイレに移動距離五百メートル以内に一カ所という整備目標がある一方で、ベンチ等に整備目標はそもそもありません。
お隣、三鷹市では、歩道のある幹線道路では百メートルから二百メートル置きに、河川沿いや遊歩道では五十メートルから百メートル置きにベンチを整備するという目標がありますが、当区に目標はありません。
運輸経済研究センターの研究報告によりますと、一般的な人が歩くのに抵抗を感じない距離は三百メートルだそうです。一方で、高齢者になるとこれが急減して百メートルと短くなります。

そこで伺いますが、区が掲げるベンチ等、休憩施設のネットワーク整備では、そもそもどういう密度が望ましいとお考えなのでしょうか。また、世田谷でも数値目標の設定が必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。

◎渡辺 都市整備政策部長

ベンチのネットワークにつきましては、公園や緑道のベンチ、歩道に設置されたベンチやバス停ベンチ、そしてさまざまな公共施設に設置されたベンチなどがありますが、目標とする数値の設定は現在ございません。
委員の言われますロコモティブシンドロームの方々を初め、高齢社会では、憩う、集うだけではなく、休むという視点から座れる場所の確保が必要になっていると考えております。
三鷹の計画におきましても、歩道や遊歩道を除いた一般の地先道路には目標数値はないと聞いておりますが、区といたしましてはユニバーサルデザインの視点から、休めるベンチにつきましては、町なかにおいて必要な事項であると考えております。
一般的には、委員が言われます百メートルから三百メートルという数値があるようですが、現在は区としての統一的な見解はございません。今後、福祉所管とも連携しながら、目標や現実的な手法について調査検討してまいります。

◆上川あや

しっかりお願いいたします。

かなめになる道づくりなんですが、この無策がまたひどいんです。おととし三月の質疑では、区役所裏の高規格の道路、歩道も広い補助一五四号線にベンチ一つつくらず二キロメートル延伸したことの反省を求めました。
ところが、ことし三月に見直されたばかりの道づくりプランを見ますと、驚くことにベンチ整備についてはただの一言も言及がありません。何ら反省がありません。これを反映して、ユニバーサルデザイン推進事業の二十七年度のスパイラルアップ、評価・点検を見ても「公園の整備にあたり、適宜ベンチを設置した」と書くほかは、バス停ベンチを二基設置、歩道にベンチを二基設置したとあるだけです。このうち、後段の歩道の二基は、補助一五四号線の開通後に議会から指摘を受け、追加整備したものです。つまり後々、言われなければ整備はしない、これが世田谷区の道づくりです。
これから設置する道路については、ひととき座れる場所の確保をあらかじめ念頭に置いて整備するよう求めますが、区の見解はいかがでしょうか。

◎小山 土木部長

歩道にベンチを設置することは、これからのまちづくりとして大切なことであると考えております。
区のユニバーサルデザイン推進条例では、歩道にベンチを設置する際には、歩道の有効幅員を確保し、歩行者の支障にならないようにすると示されております。
御指摘がありました広い歩道を確保いたしました補助一五四号線におきましては、梅ヶ丘から世田谷通りまでの区間に三カ所のベンチを設置いたしました。
今後、都市計画道路など新たに整備していく道路の設計におきましては、公園など周辺施設の設置状況を考慮するとともに、歩道内におけるベンチの向きなどの検討を行いまして、沿道の方々の御理解を得ながらベンチの設置に努めてまいります。

◆上川あや

最後に区長に伺いたいんです。
ロコモに対応した座れるまちづくりのためには、庁内で連携して取り組む必要があると考えます。現状では置ける公園にベンチを置くという当然のこと以外何もしていません。道づくりに座れる場所を確保するという視点が欠如しておりますし、公共施設の敷地、その外構を使った整備も有効であるはずなのに、スパイラルアップではただの一カ所もそのような報告は挙がってまいりません。この状況を直視するべきだと考えます。
お隣、三鷹市では狭い歩道上が多い、世田谷と同じです。これにあわせてオリジナルの座面が狭いベンチを整備するようにつくる、あるいは公共施設の接道面も改修して、腰かけのスペースをとらない石を置くなど、各部が横つなぎになって工夫をしています。区でも同様に所管横断的に取り組む必要があると考えますが、区長の見解を伺います。

◎保坂 区長

ただいま各所管が答弁しましたけれども、まさにこの課題は横つなぎ、横断的に取り組むべき課題だと思っております。車座集会でも、座りたいんだと、ないので石垣に座っているおばあちゃんがいる、こういったお話が出ました。三鷹市で、ほっとベンチでしょうか、つくられている、工夫をされているということで、なるべく現場で見てまいりたいと思いますし、関係所管が一体となってロコモの症状の方に対する福祉的まちづくりを進めてまいりたいと思います。

◆上川あや

ぜひお願いいたします。私ごとですけれども、私の両親も歩くことが困難になって、世田谷に呼ぶと非常に切ないんです。おそば屋さん一軒食べに行くのでも途中座りたいのに何もない、こういう状況を改めてください。自分たちの将来に起こることなんですから、よろしくお願いいたします。以上で終わります。