◆上川あや

続けて、二〇二〇年の東京五輪への対処についてです。

先月二十六日、政府は二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックで事前合宿の誘致など各国との交流を促進するホストタウンの第一弾として、四十四件の登録を発表しました。ホストタウンの取り組みは、全国の自治体と二〇二〇年大会に参加する国が、イベントや事前合宿などで交流を図ることで、地域の活性化や観光振興を目指そうとするもので、当区の大蔵運動場へのアメリカ選手団の受け入れの目的とも合致するものです。
今回、東京からは武蔵野市がルーマニアの、調布市がサウジアラビアの受け入れ自治体ホストタウンとなることが決まりました。多摩川を挟んだ川崎市、さらにその隣の横浜市もイギリスのホストタウンになることが決まりました。

一方、世田谷区は地方交付税の不交付団体であり、現状、国が考えているスキームでは財政的にうまみがないということから、ホストタウンには応募をしなかったということです。しかし、東京オリンピックをめぐっては計画変更があらゆる分野に及んでおり、今後のスキームにも変化の可能性は多分にあるように思えます。都内で初めて五輪の事前キャンプ地に選ばれた世田谷区が、財政的にうまみがないだけの理由で、みすみすホストタウンの名を返上するのはいかがなものなのでしょうか。
いずれにせよ、当区はアメリカ選手団を受け入れることになります。ならば、国際交流の促進、オリンピックの機運の醸成に向け、堂々とホストタウンに名乗りを上げ取り組むべきと考えます。いかがでしょうか、区の見解を伺います。

また、今回の第一次登録で、神戸市がイギリス、オーストラリア二国の、柏崎市がモンテネグロ、セルビア二国の、長野県駒ヶ根市がベネズエラ、ネパール二国のホストタウンになることが決まりました。逆に、英国は横浜、川崎、神戸市ほか、一県五市をホストタウンにすると決めたそうです。そもそも一国一自治体というルール自体がなく、世田谷区が複数国のホストタウンになることも、また可能だということです。
区内には、アフリカ四カ国の大使館、欧州、アフリカ二カ国の総領事館もあります。これら国々のアスリートとの交流も意義のあることだと考えます。また、区内には日本体育大学や日本女子体育大学を初め多くの大学の体育施設もあることから、今後、当区がアメリカ以外の国のキャンプ地に選ばれる可能性もあるかもしれません。キャンプが決まったアメリカだけにこだわらず、スポーツを軸として多くの国と交流の幅を広げていく姿勢で区も臨むべきと考えます。区の見解を伺います。

◎五十嵐 スポーツ推進担当部長

私からは、ホストタウンについてお答えいたします。

ホストタウン構想は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、全国の自治体が住民などと大会に参加する選手や大会参加国などとの交流を通じて、スポーツの振興や教育文化の向上などを図るもので、東京二〇二〇大会の開催効果を全国津々浦々まで波及させることを目的としているものでございます。

御指摘のとおり、世田谷区は昨年十一月に、都内で初となるキャンプの誘致にかかわる覚書に調印し、今後アメリカ選手団と区民とのさまざまな交流事業を計画していく予定でございます。そのため、ホストタウンに登録することでアメリカ選手団のキャンプを広くPRできるとともに、国際交流の推進や機運醸成の効果、財政面などの有意性に期待しているところでございます。
現在、ホストタウンの二次受け付けが始まっており、随時申請が可能ですので、区といたしましても、国の担当部署と調整いたしまして、申請の事務が整い次第、速やかに手続を行ってまいります。
また、アメリカ合衆国以外の国との交流の可能性につきましては、まずはキャンプ実施が決定しておりますアメリカ合衆国との交流の成功を第一に考えております。今後、テストイベントや本大会のときに多くの国の選手が来日されますので、他の国々につきましても、情報の収集に努め、スポーツを通じた交流の可能性があれば取り組んでまいります。