◆上川あや
がんの手術などにより喉頭を摘出し、声を失った方々への支援策について伺います。
2008年9月の本会議で初めてこの問題を取り上げました。喉頭がんや咽頭がんの手術で、声帯を含む喉頭を摘出すると、呼吸の出入り口は襟元にあけられた気管孔というところに移りまして、鼻や口元で呼吸ができなくなります。こうした方々の声の回復法は、胃に飲み込んだ空気をげっぷの要領で口元に戻し、食道の粘膜を震わせる食道発声が日本では主でした。しかし、この方法では、大多数の人は話せるようにはなりませんで、コミュニケーションの不全が残ることが重要な課題でした。
一方、欧米では、この間、なれた外科医なら十五分程度で済む手術で大多数の人が声を取り戻して、社会復帰しています。これが前回取り上げましたシャント法というリハビリテーションです。しかし、その普及は日本では五%程度の患者にとどまっているそうです。普及を阻む壁の一つは、日常必要な器具の交換に費用がかかること、その費用を区の日常生活用具の適用で見ることはできませんかというのが私からの前回の問いでした。
その後、区には御理解をいただきまして、世田谷では二種類の器具が日常生活用具適用となりました。患者さんの御負担は所得に応じて、ゼロ円から三割へと大幅に低下をし、喜ばれました。患者会では、この世田谷区の支援策を好例として、全国の自治体に陳情を重ねまして、来年度は約五十の自治体にこの支援策が広がる見込みとなっているそうです。
ところが、このところ、おくれて支援を始めた自治体のほうが支援の内容が充実しております。世田谷区が支援対象とする品目は二品目。これが豊島区では四品目、練馬区では九品目ということで、上限の額はそう変わらないんですけれども、商品選択の幅が広いんです。世田谷でもぜひこの器具の選択の幅を広げていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
◎若林 障害施策推進課長
区では、重度障害者・児の日常生活を容易なものとすることを目的に、自立生活支援用具等の日用生活用具を給付する事業を行っておりまして、現在、五十九品目が給付対象となってございます。
手術等で声帯を失った方が使用する人工喉頭や取り込む外気を加温、加湿するために装着する人工鼻につきましては、平成二十二年度より品目に加えているところでございます。また、ひげそりに似た器具を喉の部分に当てまして、音源を口腔内に導く電動式の人工喉頭についても給付をさせていただいております。本年度の給付実績は、人工鼻が二名、電動式人工喉頭は八件でございます。
人工喉頭、人工鼻につきましては、新たな器具もさまざまに開発されているとのことでございますので、今後もそうした情勢の変化にも配慮し、品目の内容を見直すなどの検討を行ってまいります。
◆上川あや
ぜひ柔軟に速やかにお願いいたします。